【策に溺れた感のある初陣】 〜第100回 天皇杯 4回戦 レバンガ北海道vs山口パッツファイブ マッチレポート〜
第100回 天皇杯 4回戦
北海道86-60山口
スターティング5
北海道:関野・クリーナー・島谷・盛實・ウェルシュ
山口:重冨・山口・プレストン・マックスウェインJr.・富田
-1Q(22-16)-
立ち上がりは両チームともにペイント内からのシュートで得点を取り合う。山口は9.重冨のアタックで4得点を挙げ、先手を取った。
4-6のスコアで早めのタイムアウトを取った北海道は、15.島谷のドライブアタックと5.クリーナーの3Pシュートで逆転に成功する。
ここからはリードチェンジを繰り返す展開が続く。
北海道は2.ラモスのミドルショットや25.アレンの速攻からの得点、山口は8.末廣のアタックなどで得点を重ねた。最終盤、山口がシュートの形を作れない中、14.星野のジャンプショットと2.ラモスの3Pシュートを沈めた北海道が7-0のランを作り、22-16とリードを奪った。
-2Q(22-17)-
山口の仕掛けに対して、粘り強くボールを回し、ペイント内へのアタックでファウルをもらう北海道。ディフェンス面では山口のペイント内へのアタックに対して、個々の選手の距離感を狭くしてスペースを消す対応を見せていた。
山口は一度のアタックでペイント内のスペースを作り出すことができなくなり、オフェンスが停滞。9.重冨、77.川上のフリースローとディフェンスで何とか試合をつないでいった。
中盤以降は徐々にペースが山口へ。素早いローテーションディフェンスをベースにオフェンスへつなげ、21.マックスウェインJr.と15.プレストンの連続得点で2点差まで追い上げる。
しかし、ここで流れを変えたのが北海道2.ラモス。3本の3Pシュートとオフェンスファウルのドローンによって、一気に山口を突き放した。
2.ラモスの活躍で重苦しい雰囲気を打破した北海道が44-33とリードを広げて前半を終えた。
-3Q(28-12)-
後半に入ると、山口が北海道のペイントアタックを警戒するディフェンスに変更。アウトサイドからのシュートを許容する姿勢を見せる。
それを見た北海道はすかさず3Pシュートを放ち、0.関野が2本沈めてみせた。
山口はオフェンス面でもアウトサイド中心の作りに変更を見せる。ただ、15.プレストンの3Pシュート1本にとどまり、リードを広げられてしまった。
プラン変更によって、後半の入りに失敗した感のある山口は、15.プレストンのドライブアタック、8.末廣のペイントダイブによってリズムを取り戻すが、北海道にショートコーナーのスペースを許し、点差を詰めることはできなかった。
中盤から終盤にかけては、北海道のプレスの前にターンオーバーが連続してしまい、厳しい展開となった。
北海道は速攻とフリースローで着実に得点を重ね、山口の緩手をきっちり咎め、72-45と大きなリードを奪うことに成功した。
-4Q(14-15)-
4Qは、前半と同じような戦いぶりを見せる山口だが、思ったようなシュートチャンスを作り出すことができず、ようやく作ったシュートも決めきれないという展開が続いた。
ただ、ディフェンスは再び強度を取り戻し、北海道のオフェンス精度が欠いたことも手伝って、失点を防ぐことに成功する。
最後まで戦い続ける山口だったが、大きな流れを掴むことはできず、そのまま敗戦となった。
終わってみれば86-60と北海道が快勝で次のラウンドへと駒を進めた。
-試合後の感想-
各クウォーターのレポートのところには書かなかったものの、山口はディフェンス面でおもしろい対応を見せ、前半は北海道と十分渡り合っていた。
高い位置でのトラップディフェンス、ゾーンに見せてからのマンツーマンへのチェンジングなど、特に1Qは様々な仕掛けを見せていた。
これらの仕掛けのベースには厳しいチェックと素早いローテーションがあり、難しいシュートを打たせてリバウンドを拾うことにつなげられていた。
ラモスの3Pシュートにやられてしまったものの、ディフェンスのパフォーマンスとしては悪くなかったと感じる。
だからこそ残念だったのが後半立ち上がりのディフェンスプランだった。
明らかに北海道のペイントアタックを警戒するポジション取りをしており、3Pシュートは許容するプランを組んでいたように見えた。
島谷に対して、彼のドライブアタックを警戒することは分かるのだが、関野や盛實まで開けることは果たして妥当だったのだろうか。
前半のディフェンスが失敗していたならまだしも、北海道も十分嫌がっていたように見えていたので、個人的にはプラン変更という選択自体が少し残念だった。
この変更を見逃さず、すかさず3Pシュートを決めていった北海道と関野はさすがだった。
昨シーズンのレビューに書いた通り、40分間やり続ける遂行力と自分達のスタイルの構築がポイントだと感じていることもあり、策に溺れた感のある後半立ち上がりをどのように総括して、シーズンにつなげていくのかを楽しみにしたい。
個人的には、前半のディフェンスには今シーズンの希望を感じた。このディフェンスを40分間やり続けることをベースにしたバスケットに期待したいと思う。
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