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"B3 Research" 〜第100回 天皇杯 2次ラウンド 東京ユナイテッドBC マッチレポート〜


プレビュー

アウェイ立川での開幕節を1勝1敗で終えた山口。ホーム開幕戦ではTUBCを迎えての連戦となる。
TUBCは第1節が抜け番だったため、今節が24-25シーズンの開幕戦だ。

すなわち、TUBCの直近の公式戦は2週間前の"天皇杯"ということになる。

その天皇杯では2試合をこなした。最終的に2次ラウンドを突破したFE名古屋に敗れる形となったが、非常に良い戦いを見せていた。

今シーズンのTUBCで警戒すべきは40分間強度の落ちないディフェンスである。
鹿児島から新加入の長尾を基準にチーム全員がプレッシャーをかけ続けてくる。マンツーマンディフェンスを軸に、運動量が増えることを厭わず、スイッチやトラップを駆使しながら素早いローテーションでズレを作らせないことを目指しているように思う。

このディフェンスは名古屋に対しても十分通用していた。あの並里成をトラップに嵌めてボールを掻っ攫うシーンも作っていたほどだ。

今節の山口のガード陣には一瞬たりとも気の抜けないボール運びが求められる。

では、オフェンス面はどうか。
オフェンスも十分強烈なものを見せていた。良いディフェンスから速攻というパターンはもちろんだが、長尾とビックマンのピックアンドロールを起点としたセットオフェンスもかなり厄介なものに見えた。
特にガスティスは、インサイドの強さや外から飛び込んでくる迫力があり、要注意となる。

また、天皇杯ではベンチから出てくるメンバーが良い仕事を見せていた。川島の3Pシュートの決定力はさすがなものがあり、小倉や宮田もここぞの場面でシュートを決め切る力を持つ。今林が入るとオフェンスのリズムが変わり、彼のドライブを起点としたアタックは大きなアクセントとなっていた。

このように、ディフェンス力を軸に個々の能力を生かしたオフェンスを展開する完成度の高いチームである印象だ。

山口としてはTUBCのディフェンスの圧に飲まれないことが何よりも重要である。仮にミスが出ても、自分たちのディフェンスで取り返すぐらいの圧で押し返すプレーに期待したい。

第100回 天皇杯 4回戦 
TUBC108-74FTS
(19-21,27-15,31-19,31-19)

スターティング5
TUBC:上田・チョル・徳川・ガスティス・長尾
FTS:池原・佐々木・松永・ドラマネ・廣山

-1Q-

両チームともにアグレッシブなディフェンスを見せる中、先に流れを掴んだのはTUBC。
22.ガスティス、7.チョルのオフェンスリバウンドからの得点や50.長尾のプッシュから14.チョルのゴール下の得点で10-2と先手を取った。
タイムアウトで流れを変えたいFTSは2.池原、10.佐々木がTUBCのプレスに負けずにリングへのアタックを見せ、45.ドラマネのゴール下の得点を作った。
さらに、ボールをよく回して、73.廣山の3Pシュート、そして10.佐々木の連続得点で逆転に成功。
FTSの強度の高いディフェンスに手を焼いていたTUBCも、終盤は0.上田の得点などで反撃を見せたが、最後は14.的場がディープスリーを決め、19-21とFTSが2点のリードとなった。

-2Q-

2Qの入りは再びTUBCのペース。シュートブロックからそのまま2.川島がレイアップを決めると、その川島が3Pシュートと速攻から計7得点を挙げ、逆転に導いた。
45.ドラマネを休ませるFTSは何とかフリースローをもらってついていく展開。
ただ、インサイドの高さに分があるTUBCが速攻の出し合いの中で、7.チョル、25.リースのゴール下の得点と0.上田の3Pシュートでリードを広げた。
終盤は22.ガスティスの連続得点と2.川島の3Pシュートで点を取るTUBCに対して、フリースローと10.佐々木のシュート力でやり返すFTSという構図になり、46-36とTUBCが逆転し前半を終えた。

-3Q-

後半立ち上がり、TUBC46.今林の連続ドライブアタックが冴え渡り、10-0のランと一気にリードを広げる。
また、前半と同じか、それ以上のディフェンスを披露し、FTSのアタックを封じていった。10.佐々木や73.廣山のシュート力の高さによって得点を許すシーンはあるものの、素早いローテーションによって、簡単なシュートは打たせていなかった。
離されてもおかしくないFTSだったが、インサイドの厳しいチェックを継続し、ディフェンスから粘りを見せる。一時は3Qのスコアで12-12と追いつくところまで持っていった。
ただ、ここで流れを掴んだのはTUBCだった。
7.田口の3Pシュートで悪いムードを切ると、22.ガスティスの得点の後に、2.川島が連続3Pシュートを沈める。13-2のランを作り、一気に試合を決めてしまった。
TUBCが強さを見せて、77-55と大きなリードを奪ってみせた。

-4Q-

4Qもディフェンスの強度が落ちないTUBC。0.上田、23.小倉の3Pシュートや46.今林、50.長尾のドライブアタックでさらにリードを広げていく。
インサイド陣の3人も立て続けに得点を重ね、100点ゲームに持ち込むTUBC。
勝負は決まってしまったものの、FTSの最後まで奮闘を見せる姿勢には好感が持てた。2.池原のボール運び、13.中原、10.佐々木、73.廣山をはじめとしたシュート力の高さはこの強度の高いTUBCのディフェンスにも負けない力強さを見せていたと思う。
最終スコアは108-74。TUBCは見事な戦いで5回戦へと駒を進めた。

-ひとこと-

FTSは整備されたディフェンスと高いシュート力を持つ良いチームだった。
強度増し増しディフェンスのTUBCは長尾がシーズンに入ってもこの感じで激ハマりし続けたらプレーオフは堅そう…


第100回 天皇杯 5回戦 
FE名古屋92-75TUBC
(21-17,25-20,24-25,22-13)

スターティング5
名古屋:並里・佐土原・内尾・保岡・オマラ
TUBC:上田・徳川・ガスティス・リース・長尾

-1Q-

試合は名古屋が先手を取る形となった。
18.内尾と8.佐土原のコンビネーションからシュートチャンスを作り、54.オマラのオフェンスリバウンドで先制すると、54.オマラのアタックから8.佐土原が3Pシュートを決めて5-0の入りとなる。
先制を許したTUBCは、ボールマンへの厳しいチェックとリバウンドで奮闘を見せるが、名古屋のディフェンスに対してズレを生み出すことができず、少しずつ点差を広げられてしまう。
名古屋がディフェンスで上回り、16-4でTUBCに最初のタイムアウトを強いることに成功した。
タイムアウト明けも名古屋のペースであったものの、5.バッツのフリースロー後のポゼッションで名古屋が見せたゾーンディフェンスに対して、0.上田がオープンスリーを決めたところから流れが一変。
リバウンドからの速攻で0.上田のレイアップ、ディフェンスの仕掛けから誘発したターンオーバー後のポゼッションで33.宮田が3Pシュートを決めて、TUBCが0-8のランをやり返した。
最終盤も33.宮田のアシストから25.リースのゴール下の得点、
スティールからの速攻で22.ガスティスのバスケットカウントが生まれ、さらに点差を縮め、1Qを終えた。
21-17と名古屋の4点リードとなった。

-2Q-

2Qの立ち上がりは名古屋が21.笹山と13.中村の得点で再び先手を取る展開。
ただ、TUBCも50.長尾の得点とアシストで追いかけ、中盤にかけても一進一退の展開が続いた。
名古屋が3.並里のアタックや23.保岡の3Pシュートで得点を挙げれば、TUBCも11.徳川のフリースローや0.上田のシュートやアシストで得点を挙げる。
両軍ともに強度の高いディフェンスを展開していることもあり、見応えのある攻防が続いた。
ただ、名古屋のディフェンスがTUBCのシュート局面で最後まで圧をかけていることもあり、少しずつTUBCのポゼッションが失敗し、リードを広げる流れとなった。
前半終わって46-37と名古屋が9点のリードを奪った。

-3Q-

後半も両者が激しいディフェンスを見せて、試合が展開していく。
名古屋は速攻で着実に加点をしながら、3.並里や18.内尾のシュートで得点を奪う。
対するTUBCは、やや苦しい体勢からのシュートになりながらも、0.上田の3Pシュートや11.徳川の得点で何とか試合を繋いでいった。
ただ、名古屋のディフェンスの圧が少しずつTUBCを上回り、名古屋がペースを掴んでいく。
スティールからの速攻や32.ハーパーの3Pシュートが決まり、この試合最大の18点のリードを奪った。
しかし、タイムアウト取った後、TUBCが粘りを見せる。
22.ガスティスのフリースローで名古屋のランを止めると、高い位置での連続スティールから2.川島の3Pシュートが立て続けに決まり、点差を10へ縮めることに成功。名古屋のタイムアウト明けも、4.田口の連続スティールから4点を奪い、一瞬で2ポゼッション差まで迫った。
その後は互いに得点を奪い合い、70-62と名古屋の8点リードとなった。

-4Q-

4Qは2.川島のスティールからのレイアップによる得点でTUBCが先制。そして、50.長尾とのピックアンドロールから22.ガスティスがゴール下のシュートを決めて、名古屋がタイムアウトを取る展開となった。
タイムアウト明けも3.並里をトラップに引っ掛け、25.リースの得点で2点差となり、さらには速攻から7.チョルが沈めて同点。最初の3分半は完全にTUBCのペースだった。
しかし、ここからの名古屋が強かった。
3.並里の個人技で流れを切ると、激しいローテーションディフェンスから速攻につなげ、23.保岡の3Pシュートと18.内尾のゴール下の得点で再びリードを奪った。
その後は、18.内尾や23.保岡を中心としたディフェンスでTUBCを圧倒し、オフェンスではゲームをコントロールしながら、速攻と遅攻を使い分けて着実に得点を積み重ねていった。
同点に追いつかれた後は、22-5と底力を見せつけた名古屋。TUBCの積極性に苦しめられながらも、92-75で勝利を挙げ、2次ラウンドの突破がかかる一戦へと駒を進めた。

-ひとこと-

内尾と保岡のディフェンスは笑ってしまうぐらいすごかったけど、TUBCも素晴らしいゲームを見せた。
この試合は川島、田口、宮田、今林辺りのセカンドユニットがめちゃめちゃ良い仕事をしてた。
TUBCはこれを40分間×52試合続けられるかどうか。続けられれば、昇格争いには絡んでくるだろうなと。

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