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【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #12


GAME1
三重73-78山口
(19-18,20-21,14-26,20-13)

2023年の最終節。その対戦相手はヴィアティン三重。三重とは第4節で対戦しており、その時は1勝1敗の痛み分けとなった。
ここまで三重は8勝14敗で山口とは1ゲーム差となっている。両チームともに上を目指す上では連勝がほしいところだ。

9.重冨のドライブからキックアウトして、11.山口の3Pシュートで先手を取った山口だったが、11.笹山、2.マーティンの連続3Pから10-0のランを作り三重がリードをする展開となった。
序盤の三重のオフェンスを止めることができなかった山口であったが、中盤以降は三重のピックアンドロールに対してボールマンへのチェックができるようになった。8.ピアースのオフェンスリバウンドや35.ドッドのインサイドの強さにやられるシーンはあったものの、まずまずのディフェンスであったと思う。
オフェンス面はアウトサイドのシュートが来ない中で、ディフェンスストップからのファストブレイクで効果的に得点を挙げていた。
1Qは19-18で三重の1点リードとなった。

2Qもディフェンスの強度が継続する山口。三重のピックアンドロールに対してもマークが混乱することなく、ずれを作らせずターンオーバーを誘発することができていた。ただ、オフェンス面でシュートタッチが悪いこと、もったいないターンオーバーが出てしまうことで流れを掴めずにいた。
三重の23.田中のドライブアタックを止められず両チームともに9得点ずつでオフィシャルタイムアウトとなった。
タイムアウト明けも大きなペースは動かず、短いランを互いに積み重ねていく展開。三重はオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントが良いところで飛び出し山口にペースを渡さなかった。
山口のこの試合の得点源は何といってもファストブレイクである。シュートタッチが上がってこない中で試合を繋いでいるのは山口のアイデンティティとも言える速いバスケットだった。
前半は39-39と内容、スコアともにイーブンの結果となった。

3Qは山口が前半から見せていた良いディフェンスが実を結ぶ展開となった。ずれを作らせない厳しいチェックとローテーションでペイント内を封鎖。14.ジャクソンのブロックショットも光り、開始から4分半を無失点に抑えた。
その間に速い展開のオフェンスと14.ジャクソンのゴール下で0-10のランを作りリードを奪った。
その後は2.マーティンの個人技に苦しむ場面もあったが、終始ディフェンスはうまくいっていた。
三重のラストポゼッションでは7.ケンドリックがスティールからのダンクを決めて53-65と12点のリードとなった。

4Qは35.ドッドのオフェンスリバウンドからのフリースローと2.上松の狙い過ぎたパスのターンオーバーから11.笹山の3Pシュートで三重が5-0のスタートを切った。山口のタイムアウト明けも32.吉川と2.上松の受け渡しのところでミスが出て、11.笹山の3Pシュートが決まり4点差。試合の行方が全く分からない展開となった。
山口は7.ケンドリックのドライブでスコアを動かすが、11.笹山の3Pシュートと35.ドッドのインサイドの強さによって、67-70と点差を詰められてオフィシャルタイムアウトに突入。
三重は35.ドッドのポストアタックを中心に逆転を狙う。しかし、そのポストアタックに対して山口は1.エイブラムの1vs1のディフェンスを中心に対応を見せる。アウトサイドのシュートに対しても全員でリバウンドを確保し、オフィシャルタイムアウト明けから残り14秒までを2失点で抑えてみせた。
4Qの山口のオフェンス自体はボール回りが悪くなっていたが、ペースをコントロールしたオフェンスによって時間を消費できたこと、小さいスペースでジャンプショットを沈めた1.エイブラムと9.重冨の2本が大きく、何とか逃げ切りに成功した。

最終スコアは73-78。
良いディフェンスから先にペースを掴んだ山口が、見事なゲームコントロールによって、反撃を見せる三重を振り切り、GAME1を勝利で飾った。

GAME2
三重78-71山口
(20-22,13-20,26-11,19-18)

1Qは両チームとも前日とは違う形のオフェンスを見せた。三重は1.宮崎、11.笹山、23.田中のガード陣のドライブアタックを中心としたオフェンスとなった。この3人で14得点となり、前日とは異なる得点バランスを見せた。
山口はファストブレイクも見せながら、フィニッシュの局面で3Pシュートを多投した。8.下山の3本の3Pに始まり、11.山口のシュート含めて4本の3Pシュート成功となった。
また、山口は中盤で25.田中を起用。その25.田中はドライブからの得点とアシストを挙げる活躍を見せた。
1Qは20-22と山口の2点リードとなった。

2Qは立ち上がりに7.佐脇、34.高松の2本の3Pシュートで三重がリードを奪い返す入りを見せる。しかし、山口も32.吉川の2本のドライブからのレイアップと7.ケンドリックのジャンプショットで再逆転を果たす。
オフィシャルタイムアウト付近の時間帯は速いトランジションが続く中、両チームともにシュートを決め切れないシーンや、ターンオーバーが出てしまうシーンが多く膠着した状態となった。
そんな流れの中、少し前へ抜け出したのは山口だった。30-35から1.エイブラムが3Pシュートを含む7得点でリードを広げることに成功、この1-7のランの最後には高い位置のダブルチームでボールを奪って1.エイブラムのダンクが生まれるという良いプレーも飛び出した。
前半を終わって33-42と山口が9点リードとなった。

3Qは山口が9.重冨のアタックを起点に得点を重ねる入りを見せた。しかし、8.下山のフリーなるための動き出しをオフェンスファウルと判定されたところから流れが三重に。ピックアンドロールを活かしながら2.マーティン、8.ピアースを強調しながら、要所で1.宮崎の3Pシュートも生まれて12-0のランを見せる。
14.ジャクソンのインサイドと32.吉川のアタックなどでタイムアウトを取らずに踏ん張りを試みる山口であったが、終盤には不用意なターンオーバーを連発してしまい、再び三重に9-0のランを作られて逆転を許した。
山口の12点リードで始まったクウォーターであったが三重が59-53と6点のリードを奪い返すこととなった。

3Qで流れを掴んだ三重は4Qに入ってもその流れを継続する。ターンオーバーでオフェンスが失敗することはあるものの、シュートを放つことができれば、高い確率で決め切ることができていた。オフィシャルタイムアウトまでで5/6のフィールドゴールの成功となりリードをキープした。
一方の山口はなかなかシュートが入らない中、ターンオーバーを1本に抑えて9.重冨と8.下山の3本シュートなどで何とか追いすがる。
三重の6点リードで迎えたオフィシャルタイムアウト明け。三重の35.ドッドのポストアタックを守り切る山口だったが、オフェンスに時間がかかってしまったことで、4点を詰めるにとどまってしまう。
そんな中で、徹底したポストアタックから三重が35.ドッドと2.マーティンのゴール下の得点で山口を突き放した。
最終盤は山口の3Pシュートが決まらずに三重が余裕を持った形でファウルゲームに突入。そのまま逃げ切り78-71で勝利となった。

三重は3Qに掴んだ流れを最後まで離さず、見事な戦いを見せた。序盤はガード陣中心のアタック、終盤は外国籍のポストアタックと多様なオフェンスを展開。山口に的を絞らせず、逃げ切りに成功した。

山口はプレーオフが遠ざかる痛恨の敗戦。結果論にはなるが、タイムアウトを我慢した3Qで相手の流れを切ることができず、4Qもそのまま押し切られる展開としまった。
年明け以降は厳しい対戦相手が続くが、上位陣からの勝利が必要となっている状況の中で、更なる上積みを期待したい。

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