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【ペイント内を巡る攻防】〜24-25 B3 第5節 山口パッツファイブvs岐阜スゥープス マッチレポート〜


GAME1
山口87-90岐阜 
(26-16,32-24,21-23,18-17)

スターティング5
山口:コラム・重冨・山口・プレストン・川上
岐阜:古賀・エドソムワン・コート・ローガン・岩松

-1Q-

先週のGAME2で悪い流れを断ち切った岐阜。
この試合もその流れを継続する入りを見せた。
ベースにあるのはアグレッシブなディフェンスからの速いオフェンスだ。
4.エドソムワンのペイント内でのシュートで先制すると、2.古賀のペイントタッチを起点に13.岩松のスリー、そして直後に10.コートが15.プレストンからボールを奪い、13.岩松がフリーの3Pシュートを決めて8得点。
山口のタイムアウト明けも、15.プレストンのドライブを引っ掛けてスティール、速攻から2.古賀のドライブで、2-12のランを作った。
山口は、オフェンスリバウンドを確保し続けながらも、アウトサイドのシュートが全く決まらないという序盤早々のポゼッションが響き、その後のペイント内へのアタックが窮屈になってしまった。
4.コラムの個人技で得点を挙げるものの、タフショット後のリバウンドやスティールから岐阜のスピードが生きる展開となっていた。
しかし、77.川上の3Pシュートの成功から流れが少し変わり、4.コラムのスリー、スティールから9.重冨のレイアップと山口にもリズムが生まれてくる。
終盤には、外国籍選手の関係でのゴール下のフィニッシュや11.ローガンの3Pシュートで再び岐阜が加点。前節からの良い流れを継続した岐阜が16-26とリードを奪った。

-2Q-

11.山口と24.卜部のスリーの入れ合いで始まった2Q。山口のオフェンスの成功率が高く、点差を詰める流れとなった。
31.富田のドライブや4.コラムのスリーなど全てのポゼッションで得点を挙げ、3点差まで詰め寄ることに成功する。
ただ、岐阜も42.フォトゥや2.古賀のドライブで簡単にスコアを重ねていく。特に、2.古賀のスピードにここまでの山口は対応ができておらず、彼のところでスコアができる流れになっていた。
山口は岐阜のディフェンスが整う前のペイント内へのアタックで岐阜のファウルを獲得し、フリースローで加点。さらに31.富田の2本のスリーと15.プレストンのオフェンスリバウンドでの押し込みで逆転に成功。
その後は互いに得点を取り合う展開となるが、
同点で迎えたラストプレーで7.高橋が難しいフローターを沈め、48-50と岐阜が2点のリードをキープした。

-3Q-

3Qの山口は15.プレストンのインサイドの支配力でオフェンスを展開。彼の7得点と77.川上の飛び込みからスコアを挙げた。
対する岐阜も13.岩松のスリーの後は、4.エドソムワンのダンクと13.岩松のドライブアタックにてペイント内の得点を作り出す。
中盤辺りの時間は、4.コラムのフローターと9.重冨のドライブ、ジャンプショットで山口が前へ出る展開となった。

しかし、後半も止まらない2.古賀のドライブでの得点、23.サンブのスティールからダンク、そして2.古賀のトランジションスリーとスティールから7.高橋のレイアップで再び岐阜が逆転に成功。
直後に、この試合好調の31.富田にスリーを許すが、山口のターンオーバーにも助けられ、42.フォトゥのドライブでファウルをもらって得点を追加。
最後には、31.富田からボールを掻っ攫い、23.サンブのダンクが時間いっぱい間に合って69-73と岐阜が2点のリードを広げるクウォーターとなった。

-4Q-

4Qも24.卜部のペイント内への飛び込みでファウルをもらって岐阜が先に得点を挙げる展開となった。
ただし、山口も21.マックスウェインJr.の攻撃力でファウルをもらいながら、離されずについていくことができていた。
そして、13.岩松、11.ローガンのスリー失敗のリバウンドを確保した山口は、返しのポゼッションで31.富田のスリーが決まり、再びリードを奪う。
しかし、シュート成功後の戻りが遅く、7.高橋にペイント内に飛び込まれて失点。さらに、ターンオーバー後の岐阜のオフェンスで、ピックプレーの流れから2.古賀にペイント内に飛び込まれて失点。
警戒すべき岐阜の得点パターンを簡単に許し、3点ビハインドでオフィシャルタイムアウトへ突入となった。

タイムアウト明けも42.フォトゥのドライブで得点を挙げる岐阜だったが、13.岩松が2本のフリースローを失敗すると、11.山口の3Pシュートと4.コラムのフリースローで再び山口が逆転。
このリードを守りたい山口だったが、不運な形でこぼれたオフェンスリバウンドを11.ローガンに拾われて失点。そして、ボーナスのフリースローを11.ローガンに2本揃えられて3点差に。
オフェンス面では、ここで77.川上のアタックが連続で失敗。
直後の岐阜のポゼッションは懸命の守りで24秒バイオーションを獲得するが、9.重冨のドライブから15.プレストンのダンクでの得点の後、11.ローガンのドライブから42.フォトゥの合わせで得点を許し点差を詰められず。
残り15秒3点ビハインドのオフェンスは、11.山口の3Pシュートを作るものの、それを決め切れずリバウンドを岐阜に確保され万事休す。

最終盤のポゼッション、この試合ここまで一番得点を取っていた31.富田がコートに立っていない中で、オフェンスを成功させられなかった山口。
この判断はどうだったのかという疑問は残るが、岐阜がやりたいバスケを山口に押し付け続けていたのが勝因だったことは間違いない。
接戦を制した岐阜が87-90で先勝を飾った。

-試合後の感想-

どちらが勝ってもおかしくない接戦の試合展開となったが、内容的には岐阜が勝利に値した試合だったと感じている。

なぜなら、山口が岐阜の抑えるべきポイントを1試合通して抑えられていなかったからである。

直近の4試合の岐阜の印象として、素早い攻守の切り替えと積極的なペイント内への飛び込みに強みのあるチームだというのがあった。

特に、2.古賀・7.高橋の2人の飛び込みを抑えないといけないと個人的には思っていたのだが、GAME1は42.フォトゥのドライブも含めてここを全く抑えることができなかった。

展開的には4Qに31.富田のスリーで逆転した後の2つのポゼッション。7.高橋、2.古賀にそれぞれ飛び込まれて失点したシーンが特に痛かった。

スタッツ的にも、2.古賀に16得点、42.フォトゥに18得点、この2人に2Pシュートだけで31得点を許し、ペイント内を攻略されたことが窺える。

試合を見ていても、岐阜が山口の守備を嫌がっていないというか、横浜戦や立川戦GAME1のような強引なペイントアタックではなく、スペースを簡単に見つけて次々と飛び込んでいた印象を受けた。

相対的な感覚となってしまうが、岐阜がこれまで対戦してきた相手と比べて、山口のペイント内のディフェンスの距離感が広く、ヘルプのポジション取りやローテーションが甘かったということなのかもしれない。

ただ、横浜や立川(GAME1)と違い山口のディフェンスを難しくさせた13.岩松の存在は忘れてはならない。この試合も序盤に立て続けに決めた3Pシュートがあったが、この印象があるかないかで、ペイント内に対する守り方が変わってくるのは想像がつくところである。

岐阜にとっては、彼がここ2試合、自身の持っている力を発揮し始めたことで、良い流れで試合を進められるようになったと言えるのではないだろうか。

山口も彼の存在が無ければ、これまで岐阜に勝ってきたチームのように、ペイント内を徹底して封鎖することができたかもしれない。
とは言え、ここ2試合は当たってしまっているのでGAME2も13.岩松の3Pシュートは入るものとしてプランを組む必要がある。

ペイント内の封鎖と13.岩松の3Pシュートをどうやって両立して守るのかがGAME2のポイントとなるであろう。


GAME2
山口66-77岐阜 
(20-14,15-22,11-22,20-19)

スターティング5
山口:栗原・コラム・重冨・山口・プレストン
岐阜:古賀・エドソムワン・コート・ローガン・岩松

-1Q-

GAME2の立ち上がりも岐阜が良い入りを見せる。
2.古賀のサイドを横切るドライブからボールを回して11.ローガンの3Pシュート、速攻から2.古賀がスピードで抜け出してレイアップを決めて0-5のスタートを切る。
一方の山口は、岐阜の圧力を破れず苦しいオフェンスが続いていたが、この試合スターター起用の3.栗原、そして4.コラムがタフショットの2Pシュートを決めると流れが変わる。
11.山口のスキップパスから3.栗原の2本目のスリー、そして11.山口のトランジションスリー、オフェンスリバウンドから4.コラムにもスリーが生まれ、リードを奪うことに成功。
すると、GAME1ではあまり見られなかった岐阜のディフェンスでの仕掛けのフェーズに入る。
ゾーンの構えからマンツーマンに変更して時間を削り、32.吉川に対してブリッツを仕掛けてボールを奪取。そのまま得点につなげて悪い流れを断ち切った。
しかし、15.プレストンのゴール下の強さで流れも関係なく山口が得点を挙げると、ラストプレーで77.川上の3Pシュートに対して22.増本がファウル。
フリースローを2本成功させた山口が20-14とリードを奪う1Qとなった。

-2Q-

2Q最初のオフェンスで、15.プレストンのポストプレーで相手を引きつけて21.マックスウェインJr.が3Pシュートを決めるという良い入りを見せた山口。
ただ、その後のシュート選択が悪くスコアを重ねられないでいると、2.古賀のペイント内の飛び込みと4.エドソムワンのインサイドの強さを生かされて岐阜にリズムを与えてしまう。

1Qの入りから守備では岐阜の選手をペイント内に入れさせない方法を選択し、中に入ってきてから囲むのではなく、とにかく強い圧力をかけて3Pラインの外に追いやっていこうというプランが見えていた山口。
しかし、この時間帯は自分たちのオフェンスの終わり方が悪い中で、そのプランの遂行ができなくなってしまっているように見えた。

うまくいかない時間の中で、13.岩松と42.フォトゥのピックアンドロールを32.吉川のスティールで凌ぎ、速攻から77.川上のレイアップで得点し、何とか1点のリードを持ってオフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明けは再び岐阜のピックアンドロールを山口8.末廣がスティール。そのまま得点を挙げてリズムを掴むと、9.重冨のペイントタッチから8.末廣のスリーが決まって、一転して山口が7-0のランを作った。
その後は少し強度の落ちた山口ディフェンスに対して、岐阜の2.古賀が躍動。ドライブから得点、アシストを生みながら、自身がペイント内でボールを受けてシュートを決めるシーンも作るなど、このクウォーターだけで8得点2アシストの活躍を見せた。
最後には7.高橋がドライブで9.重冨を置き去りにして得点を挙げ、35-36と岐阜が逆転を果たして前半終了となった。

-3Q-

3Qも前半終わりの良い流れをつなげた岐阜がペースを掴む。
4.エドソムワンの強さで得点を挙げると、コーナーから13.岩松のスリー、そして速攻から4.エドソムワンがダンクシュートでバスケットカウントの3点プレーを完成させた。
山口は序盤の3Pシュートを成功できず、岐阜の速攻を許し、点差を広げられる流れになってしまった。
ディフェンスではピックプレーに対して近い距離感で守り、スティールを奪うシーンを作るものの、それを得点に繋げることができずスコアを動かせない時間が長く続いた。
タイムアウトで流れを切りたい山口だったが、直後のオフェンスで9.重冨が高橋からボールを奪われて得点を献上。傷口を自ら広げると、22.増本にもコーナースリーが生まれ、岐阜が優位を拡大した。
岐阜がそのアグレッシブさで山口を飲み込み、46-58とリードを広げた。

-4Q-

反撃に転じたい山口は、1分が経過したところで17.パクセジンを投入し、ビックラインナップでの戦いを決断。
ただ、すぐに21.マックスウェインJr.がファウルアウトで退場となってしまう。
それでも、ビックラインナップを継続する山口は、岐阜に3Pシュートを打たせる回数を多くしてスコアを止めることに成功した。
ただ、オフェンスで高さの優位を生かすことができず、22.増本にもうまく守られながら、ターンオーバーを連発し、チャンスを逸してしまった。
点差が変わらず迎えたオフィシャルタイムアウト明け。
反撃に出たい山口のシュートがとにかく決まらない。そんなに悪い形でのシュートだとは思わないが、ことごとくリングに嫌われて時間だけが経過していった。
4.コラムの3Pシュートが1本決まってからは、ファウル覚悟のディフェンス、そしてファウルゲームを仕掛けて奇跡を目指してプレーができていたが、岐阜が何とか凌ぎ切り66-77のスコアで連勝を3に伸ばした。

-試合後の感想-

山口視点では、GAME1からの修正として、ディフェンス面での心意気を感じた試合だったが、それを40分間遂行できなかったという印象が残った。

2Qの終盤で強度が落ちたように感じたのだが、体力的な問題というよりは、そのきっかけはシュート選択の悪さだったと思う。

自分のマークマンを抜き切ったり、速攻でゴール前まで運んだりした後、相手がギリギリのところで戻ってきた際に、そのままシュートに持ち込もうとして少し無理な体勢でのシュートとなり、点数にならないシーンが数回あった。

外で空いている選手がいる中で、私にはそれが少し無理な選択に感じた。そのまま決め切ることができれば良いものの、決められなければ相手に流れがいってしまう。

この試合はそんな展開となり、自分たちからオフェンスのリズムを手放してしまったように見えた。

もちろん、後半の岐阜の畳み掛けようは素晴らしく、山口のシュートが入らない中で、自分たちがよく走り、得点を積み重ねていっていた。

ただ、やろうとしていたことが見えた上で、自分たちのプレーをきっかけに崩れてしまったように見えたのが、悔やまれる試合となった。

やはり遂行力が大事なことであると痛感させられる2日間となった。

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