
【ディフェンスをどう考える?】 〜24-25 B3 第12節 山口パッツファイブvsさいたまブロンコス マッチレポート〜
GAME1
山口91-98さいたま
(24-33,24-20,22-22,21-23)
スターティング5
山口:コラム・山口・プレストン・吉川・川上
さいたま:シットン・ワトキンス・秋山・佐藤・川邉
-1Q-
連勝を果たした前節と同じメンバーで臨んださいたまは、立ち上がりからクリーンなオフェンスで得点を重ねる。
1.ワトキンスが14.佐藤とのスクリーンの掛け合いからフリーになり、ペイント内から先制点を挙げると、ローポストでボールを受けてからそのままシュートを決め4得点を挙げる。
その後も、高い位置から制限をかけたい15.プレストンの裏を取り、立て続けに得点を挙げ、一人で9点を積み重ねた。
対する山口は、外角のシュートを決め切れない中で、ディフェンス面でフワッとした対応が続いてしまう。
状況の打開を図ったオールコートプレスも簡単に掻い潜られ、14.佐藤にクイックスリーを献上。この試合も2-12と出だしで躓いてしまった。
タイムアウトを取った山口は、15.プレストンと4.コラムにペイント内をアタックするスペースを作り、スコアを動かすと、31.富田のドリブルからの3Pシュート、9.重冨のドライブで得点を挙げ、オフェンスのリズムは取り戻した。
ただ、ディフェンスは相変わらず劣勢な状態が続く。
この時間はさいたま11.秋山のプレーが素晴らしかった。粘り強いドリブルから1.ワトキンスのインサイドを使い、フリースローでの得点を作ると、速いタイミングで放った3Pシュートを成功させる。
その後はベンチから出てきた37.吉田のドライブと3Pシュートが次々と決まり、大量得点を挙げるさいたま。
この試合もスクリーンをかけられた後にスイッチを行う意思を見せる山口だが、効果的になっているとは言えない練度だった。
特に、37.吉田に対して9.重冨から31.富田にスイッチして守ろうとしたシーンが三度ほどあったが、その全てで対応が遅れ、簡単に37.吉田のシュートを許してしまっていたのが非常に気になった。
それでも、終盤に21.マックスウェインJr.のドライブから17.パクセジンのコーナースリーや21.マックスウェインJr.の3Pシュートで点差を返した山口が何とか一桁点差に戻すことに成功。
24-33とさいたまが大量得点でリードを奪った。
-2Q-
互いに時間を使ったボール回しから、フリーな選手を作り出し3Pシュートを成功させる入りを見せた2Q。
山口が1Qの後半から見せている21.マックスウェインJr.と17.パクセジンの同時起用で少しずつ流れを押し返していく。アウトサイドからの21.マックスウェインJr.のアタックを見せながら、17.パクセジンのインサイドで攻める形が効果的で、その17.パクセジンが得点を量産する。
すると、さいたまのシュート精度が少しずつ落ちていく中で、ディフェンスリバウンドを確保してから自分たちのオフェンスにつなげ、77.川上と4.コラムの3Pシュートで得点差を詰める。
同点に追いつくチャンスは仕留められず、スイッチ後のミスマッチから16.松井にシュートを決められるが、4点差に詰め寄ってオフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明けのさいたまは、速いタイミングでの仕掛けを狙いながらも、強引なアタックを行わず、ボールを丁寧に回してファウルを獲得し、フリースローにて確実に得点を挙げる。
対する山口は、ペイント内へのアタックをなかなかさせてもらえず、外回りになる中で、3Pシュートを放つものの、11.山口の1本の成功にとどまり、点差を詰めることができない。
すると、再びさいたまの11.秋山が躍動。
トランジションの速さでシュートチャンスを作ると、3Pシュートとフリースローにて連続得点を挙げ、さいたまがリードを戻す。
それでも、11.山口の3Pシュートと21.マックスウェインJr.のジャンプショットで得点を挙げて2Qを終えた山口。
最終的には点差を詰め、48-53とさいたま5点のリードと変わった。
-3Q-
3Q開始からビックラインナップを採用した山口。反撃に転じたいところだが、外角からのシュートを決め切れずに時間が過ぎていく展開となる。
一方のさいたまも、1.ワトキンスのインサイドと37.吉田の3Pシュートの成功があるものの、それ以外の選手のシュート精度が上がってこず、こちらも思うように得点を重ねられない展開となった。
9.重冨の3Pシュートで2点差まで詰め寄った山口だったが、さいたまが1.ワトキンスのオフェンスリバウンドから得点を返すと、37.吉田の連続スリーとオフェンスファウルの誘発、さらには51.ビエリツァの3Pシュートでビックランを作り、再び点差が二桁に広がった。
その後は15.プレストンを投入し、ペイント内から確実に得点を重ねる山口だったが、さいたまも21.マックスウェインJr.とマッチアップする51.ビエリツァがミスマッチを的確に突いて、ペイント内から得点を挙げてリードをキープした。
互角の攻防が続いた3Qはタイスコアとなり、70-75で4Qの戦いへと突入した。
-4Q-
4Qは21.マックスウェインJr.の51.ビエリツァに対する粘り強いディフェンスと11.山口のチェックによるオフェンスファウルによってさいたまの攻撃を立て続けに止めた山口が、32.吉川のドライブによる得点と、スティールからのブレイクによって連続得点を挙げる入りを見せる。
その後の攻撃もストップし、逆転のチャンスを掴んだ山口。
しかし、77.川上の不用意なパスを11.秋山にスティールされて得点を献上すると、0.シットンのドライブを止められずバスケットカウントによる3点プレーを与えてしまう。
大事なところでのターンオーバーを切り替えられない山口は、3Pシュートに頼るオフェンスが立て続けに失敗し、16.松井の連続得点をを許す。
0-10のランを作られて傷口をさらに広げてしまった。
さいたまの12点リードで迎えたオフィシャルタイムアウト明けは、その直前の良い流れを引き継いで、16.松井によるKJタイムが発動。ボディフェイクで11.山口を外しながら、2本の3Pシュートを成功させ、勝利を手繰り寄せる活躍を見せる。
山口は、11.山口の3Pシュートや15.プレストンのインサイドで得点を挙げるも、前述の通りさいたまのオフェンスを止められず、点差を詰めるには至らなかった。
終盤は得点にこそ繋がらないものの、時間を使っていくさいたまに対し、山口は速いタイミングでのシュートを作ることができず、またファウルゲームの試みもアンスポーツマンライクファウルを取られ、反撃は届かず試合は終了。
序盤で奪ったリードをうまく使って試合を進めたさいたまが91-98先勝となり、3連勝を飾った。
-試合後の感想-
さいたまは先週の試合に続き、11.秋山が大活躍。山口の前の試合に対する分析もあったのか、速いタイミングでの仕掛けが非常に効果的だった。
その仕掛けから簡単にペイント内でフリーになり、得点チャンスを作りながら、この試合も高い3Pシュートの確率を誇り、16得点6アシストでチームを引っ張った。
また、4Qで自身がスティールされた後に見せたスティール返しも値千金だった。山口が逆転を狙うポゼッションでのスティールから得点を奪い、そこから0-10のランを生んで勝利を引き寄せた。
このプレーがこの試合の勝敗を分けたといっていいだろう。
また、この試合は37.吉田と16.松井の活躍も大きく目立った。37.吉田はシーズン序盤に見せていた圧巻のパフォーマンスを披露。コート上を支配して今シーズン最多の27得点を挙げた。
16.松井は4Qの勝負所でのシュート精度の高さで勝利を決定づける活躍を見せた。試合全体でも18得点と本来持っている力を発揮した。
役者が活躍し、持ち前のオフェンス力でハイスコアゲームに持ち込んださいたまが順当に勝利を飾ったと言える試合だった。
山口は新潟戦のGAME2で見られたスイッチディフェンスの曖昧さと速い仕掛けに対して後手に回って対応できない部分がこの試合の立ち上がりにも出てしまった。
さいたまが狙っていたような印象も受けたが、2試合続けての入りの失敗は大いに反省が必要だ。
立て直した後の戦いぶりはこの試合も決して悪くなかっただけに、試合の入りが非常に悔やまれる。明日は攻守においてシンプルなプレーで入ることも選択肢としてありなのではないかと感じた。
試合終盤のミスやそこからの崩れ方も反省が必要な点であることは間違いないが、個人的にはそもそも大きなビハインドを序盤に背負ってしまうことの方が重大であると考えている。
追いかけることに力を注がなくて良い試合展開を明日は期待したいところである。
GAME2
山口71-83さいたま
(16-11,19-35,14-16,22-21)
スターティング5
山口:コラム・山口・プレストン・田中・富田
さいたま:シットン・ワトキンス・秋山・佐藤・川邉
-1Q-
立ち上がりは3Pシュートを立て続けに放つさいたま。
山口のスイッチディフェンスはさいたまのシューター陣に制限をかけられているとは言い切れないように見えたが、それでもペイント内から遠ざけることはできており、外角からのシュートを落とさせていた。
山口は31.富田のオフェンスリバウンド、15.プレストンのインサイドでの押し込み、スティールからのイージーバスケットにより得点を挙げ、7点を先制する入りとなった。
さいたま最初の得点は14.佐藤のスリー。2枚のスクリーンを使って14.佐藤をフリーにするデザインされた形だった。
ただ、さいたまがスコアを動かした後も、山口が得点を重ねる。15.プレストンのインサイドや31.富田のコーナースリーが決まって、3ポゼッション分のリードを奪った。
ディフェンス面では時よりさいたまのスクリーンプレーに簡単に外されてしまう場面はあるものの、昨日よりは距離感を近く制限をかけられていた。
さいたまは37.吉田の突破力により、何とか得点チャンスを作り出しているという印象ではあるものの、彼が6得点を作り出し試合をつなぐには十分な点数となった。
1Qは16-11で山口が先取となった。
-2Q-
2Qの出だしはさいたまが勢いを持って山口に襲いかかる展開。
前日好調だった16.松井のジャンプシュートを作り出し得点を挙げると、ファストブレイクから山口のマークが混乱している隙に0.シットンのバスケットカウントで3点プレー、37.吉田の合わせの飛び込みで得点と、一気に0-7のランを作り、逆転に成功した。
勢いに乗ったさいたまは、さらに16.松井がほんの少しのスペースからシュートをねじ込んで5得点、リバウンド後の速攻から37.吉田のドライブで2得点を追加した。
山口は、スクリーンがなかなかかからず、厳しいシュートが続き、クリーンなリバウンドからさいたまに走られる展開を作ってしまっていた。
それでも、21.マックスウェインJr.の力強いドライブと9.重冨のタフジャンパーで連続得点を挙げ、序盤の悪い流れをストップ。
さらに、さいたまが1.ワトキンスと51.ビエリツァをベンチに下げている時間の中で、15.プレストンのポストプレーで優位に立つ。
その15.プレストンへのダブルチームの隙をついて大外でフリーな選手を作り、31.富田が2本、9.重冨が1本3Pシュートを沈め、同点に追いついてオフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明けは3Pシュート攻勢で再びさいたまがリズムを掴む。ここも16.松井のシュートが火つけとなり、11.秋山、86.志冨田が続き、リードを奪った。
また、31.富田と0.シットン、21.マックスウェインJr.と1.ワトキンスのミスマッチを的確に突くオフェンスも効果的で、インサイドで相手を押し込み、ファウルをもらってフリースローで加点をしていった。
山口は15.プレストンのポスト起点のオフェンスが1.ワトキンスの投入によって対応され、形づくりに苦慮。時間を使わされて厳しいシュートが続く中、フリースローの確率も低く、再び引き離されてしまった。
ラストプレーで15.プレストンと17.パクセジンをうまくペイント外に誘き出し、11.秋山のドライブコースを作って得点を挙げたさいたまが、35-46と逆転に成功し、前半を終えた。
-3Q-
後半最初のプレーで1.ワトキンスのきれいな3Pシュートが決まったさいたま。直後の51.ビエリツァのインサイドアタックも成功し、良い流れを継続する入りとなった。
ただ、山口もその後のさいたまのペイントアタックを、15.プレストンの強さやヘルプのタイミングの良さによって見事にストップ。
そこからオフェンスにつなげ、15.プレストンや4.コラムのインサイドアタックを中心に得点を重ねていった。
ただ、中盤から終盤にかけての時間は再びさいたまのペース。3.今池、28.川邉がドライブからつなぎの得点を挙げると、スモールラインナップの山口に対して、0.シットンと11.山口のミスマッチから0.シットンが4得点、さらには3.今池のトランジションスリーが飛び出し、リードを広げた。
ビックラインナップの優位を生かして、得点を挙げたさいたまが49-62とリードを奪って3Qを終えた。
-4Q-
4Qの出だしは32.吉川のスリーで入る山口に対して、ラインナップの優位を生かして0.シットンのポストアタックで得点を挙げたさいたま。
3.今池と32.吉川が互いにドライブをやり合ってスコアを動かし、互角の攻防が繰り広げられた。
その後も、山口は4.コラムのスリーなどで得点は挙げられているが、21.マックスウェインJr.と15.プレストンか4.コラムがインサイドを支えるという時間が長く続く中で、0.シットンと11.山口や77.川上のミスマッチのところから攻められて失点を重ねてしまっていた。
ようやく17.パクセジンを投入して、ラインナップを揃えるが、トランジションでマークがずれている中で、0.シットンにスリーを決められてしまい、着実に逃げ切り体勢に入られてしまった。
14点差で迎えたオフィシャルタイムアウト明けは、山口がさいたまのディフェンスをストップし、反撃体勢を整えていく。
11.山口のドライブと21.マックスウェインJr.のスリーが決まり、点差を一桁に戻す。
ただ、点数に余裕のあるさいたまは、厳しいオフェンスの中でも、少しずつでも時間を使い、山口の反撃のチャンスの芽を摘んでいく。
時間の少ない山口は3Pシュートを立て続けに放つものの、確率が上がってこず、逆に残り1分を切ったところで11.秋山のディープスリーを決められて勝負ありとなった。
2Qで試合をひっくり返してからは盤石の試合運びで逃げ切りに成功したさいたま。
アウェイの2連戦で完勝を飾り、借金を2まで減らすことに成功した。
-試合後の感想-
前節の金沢戦で調子を取り戻したさいたまに対して、完敗を喫した山口。
さいたまのオフェンス力を前にディフェンスが機能しない2日間となってしまった。
GAME2はGAME1よりも、ディフェンスが機能していると言えるポゼッションも多かったと思うが、全体的には簡単に相手を外してしまい、クリーンなシュートを打たれるシーンが多かった。
特に、1Qは結果的に11点に抑えていたが、それでも山口のディフェンスが完璧にハマったとは言えない内容だったように感じた。
ノースリーが合言葉である中で、8本の3Pシュートの試投を許したことは、さいたまの強引さを感じた部分はあれど、目指すディフェンスからは少し遠いものになっていたと思う。
改めて、12月の戦いぶりは、ディフェンスの再構築が必要と言わざるを得ない内容だった。
その中で、今一度、目の前の相手に自由を与えないというシンプルな考えに立ち返ることもありなのではないかと感じた2連戦だった。