【チームを牽引した32と明暗を分けたアウトサイドシュート】〜24-25 B3 第7節 山口パッツファイブvsヴィアティン三重 マッチレポート〜
GAME1
山口72-61三重
(14-15,17-12,17-12,24-22)
スターティング5
山口:コラム・末廣・重冨・山口・プレストン
三重:宮﨑・佐脇・マクレイ・高松・ドッド
-1Q-
ホームでの初勝利を目指す山口は、三重に対してペイント内を意識したようなディフェンスで試合に入る。
対する三重はペイント内に固執することなく、中を見せながらアウトサイドから積極的にシュートを放っていく。
その中で、7.佐脇が立ち上がりの4分で3Pシュートを2本成功。34.高松も2本中1本沈め、三重がチームとしてのリズムを掴んでいった。
山口のオフェンスは、シュートの決定力に欠き、速攻からの15.プレストン、4.コラムのアタックと9.重冨、32.吉川のドライブアタックからのレイアップによる得点にとどまっていた。
中盤以降、互いにセカンドユニットがコートに立つ時間が増えると、流れが少しずつ山口に。
前節勝利の鍵となった15.プレストン、17.パクセジンのコンビが4.マドゥアバム、12.アブの2人を完全にシャットアウト。
オフェンスでは、32.吉川が3Pシュートの成功も含む7得点2アシストの大活躍でチームを牽引した。
終盤は互いにシュート精度が上がらずにスコアが止まり、14-15とロースコアの展開の1Qとなった。
-2Q-
2Qもとにかくシュートが入らない両チーム。
十分な体勢でシュートを放っているものの、それが外れてトランジション局面となり、ディフェンスをしきれないうちにまたフリーでシュートを放って、それが外れて…という展開が続いていた。
その中で、32.吉川のペイントタッチからパスを受けた31.富田が最初のシュートで3Pシュートを決めると、フリースローと21.マックスウェインJr.のミドルショットで山口が7-0のランを作り、リードを奪ってオフィシャルタイムアウトへ突入。
2Qの三重はアウトサイドのシュートが入らないことを踏まえ、インサイド陣のポストアップからの形にオフェンスが偏重。それに対して山口は、9.重冨や32.吉川が加わってダブルチームを仕掛けてストップに成功していた。
タイムアウト明けもその構図は大きく変わらなかったが、山口のオフェンスもドライブからのレイアップ以外でシュートが決まる予感がせず、点差が変わらず進んでいった。
終盤になるにつれ、三重のガード陣が山口へのプレスを若干強めたことで、2Pエリアにスペースが少し生まれたのか、山口のペイントアタックの成功率が向上。15.プレストン、8.末廣、32.吉川が2点ずつを挙げリードを広げにかかる。
ただ、その後はスコアを動かせず、1.宮﨑にフリースローを与えて前半を終了。
31-27で折り返すこととなった。
-3Q-
後半になり、少しテンションが上がったように見える山口だが、上がったことで前半は抑えることができていたペイント内のスペースが空き、三重の得点が伸びる展開となった。
34.高松のドライブインや25.マクレイ、35.ドッドのオフェンスリバウンド、チームファウルによるフリースローで追い上げを見せた。
一方の山口は前半同様オフェンスに苦しんでおり、オフェンスリバウンドの確保も含めたシュート本数の担保によって何とか逆転を許さずに、得点を重ねていた。
ただ、ここでも32.吉川の投入から山口が流れを掴む。
まずは、唯一無二の武器であるスティールで三重のオフェンスをストップ。秀逸な手の出し方で2度ボールを奪った。そして、オフェンスでもドライブインと外に流れながらのシュートでファウルドローン。フリースローを決めて立て続けに4得点を挙げる。
すると、チームディフェンスも好転し、4.コラムからのスティール、3秒バイオレーションと流れを引き寄せるようなディフェンスも飛び出した。
48-39と終盤に畳み掛けた山口がリードを広げることに成功した。
-4Q-
4Qは4.コラムの2本の3Pシュートで得点を挙げる山口に対して、4.マドゥアバム、12.アブ、35.ドッドのインサイドを強調して2点を重ねる三重という出だしの構図に。
その後も21.マックスウェインJr.が3Pシュートを決めた山口は、この3本のスリーと32.吉川、21.マックスウェインJr.の見事なドライブでリードを広げる。
リードを少しずつ広げられていく三重であるが、アウトサイドからのシュートが入らない中で、試投数自体も減ってきてしまい、ペイント内の攻略に全てをかけるオフェンスになっていた。
もちろん、インサイド陣の強さで得点は挙げるものの、山口に守られるシーンもあり、決して高い成功率を保てているわけではなく、点差がなかなか詰まらなかった。
点差を維持したまま、クロージングの時間まで持っていった山口は着実に時間を使いながら、ターンオーバーもせず、オフェンスを完結させることができていた。
21.マックスウェインJr.のミドルジャンパーと32.吉川のドライブアタックが決まって勝負あり。
3Qの終盤辺りから抜け出した山口が72-61でホーム初勝利を飾った。
-試合後の感想-
互いにシュート精度に苦しんだこの試合。
32.吉川の攻守に渡った大活躍が山口の勝因だったことは間違いない。
スタッツを見ても驚異的な数字を残しており、チームトップの17得点に7アシスト3スティールとチームを大きく引っ張った。
チームとして考えると、互いにアウトサイドシュートが決まらない中で、そのシュートを打ち続けた山口と、シュートを放つことをやめてしまった三重という部分で結果が分かれたのではないかと感じる。
3Pシュートという分かりやすい数字でその違いを比較すると、成功率は山口22.6%、三重17.6%とそこまで大きな差はなかった。
ただ試投数は山口31本、三重17本と大きな差があき、成功数が山口7本、三重3本という結果となった。
最終スコアが11点差であることを考えると、3Pシュートの成功でついた12点の差がほぼそのまま試合結果に直結したという見方もできるであろう。
三重は開始4分で3Pシュートを3本成功させてから残りの34分間で1本も成功できず、山口はそれを受けてペイント内のディフェンスに注力することで三重の得点を抑えることができた。
シュートを打ち続けられるかどうかは気持ちの問題ももちろんあるのかもしれないが、今年の山口にとってみればオフェンスリバウンドを確保できるという自信があることもその一因となるのではないだろうか。
この試合も14本のオフェンスリバウンドを確保し、セカンドチャンスからの2Pも大事なところでチームを助けていた。
互いに苦しい試合の中で、大きなインパクトを残した一人の選手の活躍と、チームとしての振る舞い方の差で山口が少し上回った試合だったように感じる。
GAME2
山口88-72三重
(29-17,19-21,22-16,18-18)
スターティング5
山口:コラム・末廣・重冨・山口・プレストン
三重:宮﨑・佐脇・マクレイ・高松・ドッド
-1Q-
両チーム同じメンバーをスタートから送り出したGAME2。
速い攻撃から9.重冨のレイアップ、15.プレストンのポストアップからの得点、8.末廣のスリーで山口が先手を取る。
対する三重は、35.ドッドのインサイドをとにかく強調するオフェンスを展開。GAME1よりも素早いタイミングで彼に入れることを意識しているように見え、それによってペイント内にスペースを作っていた。1.宮﨑もドライブで進入し、彼らで得点を重ねた。
その後は山口の3Pシュート攻勢が炸裂。4.コラムの2本と17.パクセジンの計3本のスリーが生まれ、前日とは異なる姿を見せる。
三重は山口32.吉川がコートに投入された後のオフェンスに苦戦。ポストアップに対する32.吉川のヘルプにインサイド陣が形を作れず得点を伸ばすことができなかった。残り23秒を切ってからは自陣で連続してターンオーバーを出し、さらに5失点。
32.吉川投入後の約3分間を13-5と圧倒した山口が29-17と大きなリードを奪った。
-2Q-
2Q序盤は三重にペースが渡る。
まずは25.マクレイのインサイドアタックから4得点、そして1.宮﨑のトランジションスリーで幸先の良いスタートを切る。
ただ、山口も32.吉川のレイアップのこぼれを拾った17.パクセジンの得点、32.吉川のジャンプシュート、32.吉川のペイントタッチからパスを受けた31.富田のコーナースリーと、大エース32.吉川のプレーを軸に流れを完全には渡さない。
10点差で迎えたオフィシャルタイムアウト明けは三重が再び速い展開からリズムを持ってこようとする。25.マクレイがインサイドから得点を積み重ね、チームのオフェンスを引っ張っていた。
ただ、ペイント内を攻める以外の形がなかなか生まれず、山口には8.末廣、4.コラムの2本の3Pシュートを献上。得点効率の差で点差が縮まっていかないという流れが続いた前半だった。
前日からアウトサイドシュートの確率を向上させた山口が48-38と10点のリードを奪った。
-3Q-
後半に入っても三重のオフェンスに大きな変化はなく、25.マクレイ、35.ドッドのポストアップや1.宮﨑のドライブインから得点を挙げていく。
対する山口は、25.マクレイの壁を前にゴール下のシュートを決めきれないシーンはあるものの、8.末廣、11.山口のアタックによるフリースローで着実に得点を挙げていった。
ここまでの拮抗した流れから先に抜け出したのは山口。
三重35.ドッドのポストアップにダブルチームにいったことでフリーになった34.高松に3Pシュートを許した後からだった。
嫌な流れになってもおかしくないところで、4.コラムがトランジションスリーを決めると、ボールを回して8.末廣のドライブや4.コラムのシュートで得点を追加。
ディフェンスでも三重の長めのパスを素早い動きでカットしスティールを奪ったり、その他のシーンでも三重のターンオーバーも誘発したりと、完全にシャットアウトした。
14-0というビックランを作り、完全に抜け出すことに成功した。
ただ、その後の試合運びは脆さが見えた山口。
複数回のターンオーバーとシュート失敗により、7.佐脇のトランジションスリーなどを許し、少し点差を詰められることとなった。
それでも、中盤に畳み掛けた山口が70-54と大きくリードを広げた。
-4Q-
4Qの入りには、3.川田の強度でディフェンスの圧を強めにかける三重であったが、32.吉川の冷静な対処によって21.マックスウェインJr.、31.富田の得点を挙げる山口だった。
両チームともにファウルが増えていく中で、フリースローで得点を奪い合い、時間だけが過ぎていくような展開となった。
その中で、三重のインサイドアタックを封じたリバウンドからの速攻で77.川上が3Pシュートを沈め、4Qのスコアでも山口がリードを奪う。
対する三重も、7.佐脇がきれいな形からこの日2本目のスリーを決めてやり返す。
再び拮抗した流れの中で、オフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明けは1.宮﨑のスリー、3.川田のミドルジャンパーで立て続けに三重が得点を挙げるが、その後のペイント内の攻撃やアウトサイドのシュートが成功せず、試合の大勢を変えるには至らなかった。
山口もシュート精度が高いとは言えない中、9.重冨のスピードを生かしたドライブと15.プレストンのスリーで得点を挙げ、リードを保った。
試合はそのまま終了。山口が88-72で3連勝を飾った。
-試合後の感想-
前日に続く32.吉川の活躍と、3Pシュートの精度向上によって山口が大勝を飾る試合となった。
後半は思ったようにシュートを決められなかった32.吉川だったが、ディフェンスは試合を通してさすがのプレーだった。
相手のポストアップに対するダブルチームのタイミングや手の出し方が独特なのか、彼が入った瞬間に相手のインサイド陣のシュートが決まらなくなっていくのが、とても興味深かった。
彼が入ってからの1Qの13-5のランで先手を取ったところで、この試合を終始優勢に進めることができた。その意味で彼の活躍は大きいものだったと言える。
チームとしては、シュート精度を前日より改善できた部分は良かったと言えるが、二日間トータルのパフォーマンスとしてはまだまだ物足りないものだったと思う。
次週の香川に勝利するためには、GAME2以上のパフォーマンスが必要不可欠になると感じている。
バイウィーク前、最後の試合に向けてこの1週間の準備と試合当日のフルスロットルなプレーに大いに期待をしたい。