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ヴィーガンをめぐる葛藤の末。

※以下、本文は2021年10月1日に書いたものです。現在の食生活や実践を始めてからの反応についてはまた追って書きます!今回はなぜ食に制限をかけることにしたか、そのきっかけについてです。

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自分のあまりの無知さに、精力的に環境問題について学びたいと思い立ってはや1年。ドキュメンタリー映画や、講演、ビデオなどあらゆる方法で今の世界の状況を断片的に知っていった。少し学び始めてから、どうやら地球がいい方向には進んでいないことが私にも分かった。

畜産業の二酸化炭素排出量の多さを認知し、劣悪な環境の屠畜場について知り、ヴィ―ガンの友達が初めて身近にできてたのが半年前。この半年、自分のこれまでの行動がいけなかったかもしれないと思って、時々苦しくなることがあった。どうしたって、お祝いで食べた豪華なディナーも肉が写っている時点でストーリーにあげられなくなった。「また食べてしまったな…」と毎回思ってしまうことが引っ掛かっていた。であっても、自分は実家暮らしであることを理由に、できないと決めつけていた。

それでも、問題に気づいて何か少しでも変えようと、ヴィ―ガンのお菓子をつくって載せたりした。肉が好きな知人に、「代替肉が肉と同じくらいおいしかったら食べるのにな」と言われたことがある。だから、私はヴィ―ガンのものを作って、それがおいしいことを証明できれば少しでいいから、変えてくれる人が増えるのではないかと思った。

いきなり変えると周りの反応が怖い。だから、「私はヴィ―ガンに関心があるんだ」という私なりのメッセージでもあった。

お菓子だけヴィ―ガンのを作って、普段は食卓に並ぶ肉を食べる。それが見せかけであるということに、私はずっと気づいていた。


そんな時、2週間ヴィ―ガン生活をやってみる機会が巡ってきた。福島のDanavillageという環境負荷を極力かけない生活をするゲストハウスを訪ねた時だった。


私は、まさか自分が東京に戻った後も続けるなんて思いもしなかったけど、ずっとやってみたかったからもってこいのチャンスだった。

苦しいし、物足りないと感じるだろうと思っていた。しかし、2週間やってみて・・・・何も苦しいことはなかった。むしろ心も体も楽だったのだ。

ある知人からヴィ―ガンになったきっかけ、思いを聞いて印象的だった言葉がある。

「遅く始めれば始めるほど、なぜ早く始めなかったかを一生後悔する」

私はその言葉に揺り動かされた。「これだ」と直感的に判断した。

帰宅後、ヴィ―ガン生活をしていたという事実を伝えるのは簡単だ。そしてそれを機に、食生活を変えようとしていることを伝えやすいとも感じた。

私は身近な人にまず伝えることを決めた。それが私への見方や生活を変えてしまうかもしれないことはわかっていながらも、言うなら自分の気持ちがくじける前の今しかないと思った。

アメリカ暮らしで分厚いステーキを子供のころから食べてきた私は、肉が大好きだった。そんな私たちに父親は、毎週末豪華な肉料理を張り切って作ってくれていた。それが、「食べない」と言ったらどんな顔をされるか。

毎食作ってくれる母の料理に入っている肉をよけることがどんなに申し訳なかったか。

それが苦しくて、ずっと変えられなかった食生活。でも言えないでずっと暮らすのは、もっと苦しかった。

たしかに人間は愚かで醜くてどうしようもなく卑劣だ。(私もその一員なのであって、命を奪って食べなければ生きていけない。)だから、畜産業のことも言ってたらキリがない、と言われるのはわかっている。一個人の消費の変化が環境問題に与えうる影響なんて対してないという考え方を持たれるのもわかっている。人にまた「真面目だね」「気にしすぎ」とか言われるのが嫌で、今までずっと言えなかったけど、そんなことはこの際関係ない。自分に言い聞かせるためにも言いたい。

あくまでこの選択は私のためだ。

周囲に食生活を変えることを強いりたいわけじゃ全くないし、私に気を遣う必要は全くない!目の前で肉を食べること、食べたい、好きだと言うことに私は憤りを覚えたりしない。その気持ちは私も痛いほどにわかるから。

この選択はあくまで私のポリシーでしかない。

世界には農業従事者がたくさんいて、仕事に誇りを持っていて動物を大事に育てている場所もたくさんあることは私にも分かっているから、今すぐになくなればいいわけではないのを分かっている。でも行き過ぎた消費を変えていくため、1消費者として、これから社会が少しずつ変わっていくムーブメントの一つの因子になりたい。

だから、私はヴィ―ガンを続けることにした。妥協点を決めながら。

家族とも相談しながら、決めた一つの自分ルール。

「肉は食べない」

完全なヴィ―ガンからは程遠くても、私の中でこれは、とてつもなく大きな一歩。

社会問題ってどこまでも深刻で、知れば知るほど自分の無力さにつらくなる。問題を知ってしまったら後戻りはできない。その現実から目を背けることはできても、みんなが揃ってそうしていたら変わるものも変わらない。あまり周知されていなくとも、知っているからこそ起こせる行動がきっとある。

いつでも始めるのに遅いことなんてないんだから。


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【後記】

賛否両論ある中で、現段階での私のポリシーでしかないから、わざわざ書くべきか悩み続けて、下書き完成から半年も眠らせていたものを思い切って発信することにしました。

自粛が少しずつ明ける中で今まで以上に対面で食事をする機会が増え、尋ねてくれる人が増える中で、誤解なく、そして誰かを不快にさせることなく、その場で言葉にすることがなかなかできずにいました。

そんな中でも、関心を持ってくれる人、共感してくれる人、一緒に挑戦してくれる人、さまざまな反応があってその後押しを受けて、今言葉にしています。

知ってほしい反面、絶対に押し付けたくはない。肉アレルギーなんだーってくらいの感じで捉えてくれればいいと思いながらも、少しでも誰かに届いてほしいという思いがないと言ったら嘘になります。

個人的な見解ですが、この問題は正直、社会の構造上、誰も悪くありません。根深い問題であることは承知の上でまず知ることから。神経質になりすぎずに、ヴィーガンやベジタリアンについてもっとフランクかつオープンに話し合えるようになりたい。その中で、少しずつでもヴィーガンへのイメージが変わっていったらいいなと、切に願っています。

【参考】

ヴィーガンの基本をわかりやすく解説している動画を最後にご紹介します。


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