🇦🇺30歳成人女性、激ヤバ大家からrun awayの巻🇦🇺その①

副題: 最初から「ヤバいな〜」とは思っていたけど諸々の事情で住まざるを得ず、住んでみたらやっぱり色々ヤバくて夜逃げのように新居へ脱出した話

今回から解決したてほやほや&私の中で今一番hotな事件の顛末について、お話していきたいと思います。

ところはシドニー北部。とある家で4人の女性が肩を寄せ合い暮らしておりました。

〈登場人物〉
大家: オーストラリア🇦🇺在住歴40年越えのベテラン。65歳前後のおじいちゃん。敷地内の家は全部自力で建てた。

大家の妻: 日本人。

私: 海外旅行をすっとばしていきなり1年間の長期滞在に挑戦した30歳。語学学校を卒業してしまった今はただの無職。

ルームメイト①:この家で半年踏ん張った猛者。関西人。ジブリが好きで、会話にもよく台詞を引用する。トレーニーみたいな飯を食ってる。優しい。

ルームメイト②:旅慣れているので海外でのサバイバルスキルがある。イタズラが好き。優しい。

ルームメイト③:英語ネイティブのバイリンガル。とっても若いのに頑張ってる。優しい。

事の発端は“あり得ない程の寒さ”でした。室内には蟻が出入りできるくらいの隙間があちらこちらにある上に、天井には大きな穴。周りは森に囲まれている上、敷地内で伸び放題の木々が日光を遮るというフルコンボのせいで、その辺の公園の方がまだあったかいやろと思える寒さの部屋が出来上がってしまっていました。

「オーストラリア🇦🇺の冬っつってもアレやろ？どうせ半裸みたいな格好でビーチでchillできる程度にはぬくいんやろ？」と思ったそこのあなた！現地から衝撃の事実をお伝えしましょう。5月以降秋冬のオーストリアは激寒です。それこそ朝晩は足先指先が悴んで、息が白くなる程の寒さです。おまけに結構な頻度で土砂降りの雨も降ります。誰やねんオーストラリアは年間300日晴れだよ〜とか言うたやつ。私と一緒にずぶ濡れになれ。

話は戻りまして、大家は日本人の奥様と3月下旬〜6月下旬までの3ヶ月間日本🇯🇵に滞在。5月中に大家のみがオーストラリア🇦🇺に一時帰国したので、その際にルームメイト①と一緒に「部屋寒過ぎんねん。ヒーターか何か付けてぇや」とお願いしたところ「ほな1人、$10/per week な」と返ってきたわけです。1週間1,000円、月4,000円の追加料金を払えというわけです。「家賃には全てが含まれる。追加料金などは取らない」と大家自らが言ったはずなのになんでやねんということで、ルームメイト全員が揃ったタイミングで話し合いましたが、私を含む4人ともが「追加料金払ってまでこの家に住み続けるメリットよ」「1つの家から月16,000円を徴収するがめつさよ」と、この家で踏ん張るモチベーションが失われていくのを感じていました。そうなのです、大家自らが趣味で建てたこの家の問題は寒さだけではありませんでした。いつまでも完成に至らないという点を踏まえるとオーストラリアのサグラダファミリアと言うことも出来ますが、はっきり言ってナニコレ珍百景で取り上げられるタイプの見た目の家なわけです。おまけですが、交渉時に「君はまず靴下を履け」と言われた風呂上がりのルームメイト①は「靴下ごときでどうにかなる寒さちゃうねん！！」とブチギレていました。

そして同時期に激務を極めていたルームメイト③が「もう無理！職場に近いところに引っ越す！」と体力気力の限界を迎え、引っ越しを決意。日本の敷金礼金に相当する家賃4週間分のbond10万を捨てて出ていくことになりました。

仲の良かった4人組、もうこんなん崩壊の足音ですわ。崩壊が忍び寄るとかそんなもんじゃなく、崩壊が猛ダッシュで迫ってきている状態でした。

引っ越しを決意した彼女は早朝に家を出て、深夜24時に帰宅の毎日。引越しに際して職場から数日の休みをもらい、その時に久し振りに明るい昼間に自分の部屋をまじまじと見たそう。

「ぎゃーーーーー！！！！ひづめちゃん！！こっち来てぇぇぇぇ！！！！」

楳図かずおもびっくりな形相にルームメイトたちとなんやなんやと彼女の部屋に押し掛けると...

「す、ストシン...？」

Netflix オリジナルドラマ“Stranger things ”に出てくる“向こうの世界への入り口”顔まけの何かが壁に出来上がっていました。

「いやぁ！！ストシン出てくるぅ！！」
「待ち！！これ...カビやん！！！！」

よくよく見てみるとそれは無数のカビ！！

もはや「こういう模様なんかな？」「こういうマーブル柄の壁紙なんかな？」というレベルの青カビ！！！

その場にいた全員が鳥肌の立つ思いでした。
色々な記憶が脳を過ぎり、そしてパズルのピースが噛み合うがごとく繋がっていきます。

がめつ過ぎる大家は自分が日本にいる間も、住人の許可なく勝手に入居希望者に内見をさせていました。
「何かこの家、カビ臭くないですか...？」と内見に来た人からの一言。3週間の大雨後から止まらない咳と鼻水、中々治らない肌荒れ。

「「「「間違いなくこのストシンもといカビのせいやないかい！！！！！」」」」

そこから全員で家中を見回ると、既に至る所にカビが繁殖し手が付けられないような有様になっていました。

「燃やすしかないよ」

その前の晩、オーストラリア版Netflixで「風の谷のナウシカ」を一緒に見たルームメイト①が、そう呟きました。

〈続く〉