🇦🇺30歳成人女性、海外でアルバイト探しの巻-無限無職編-🇦🇺その③〈不器用な自分に出来る仕事はあるのか&面接でのあれこれ〉

日本の母は言いました。

「ひづめちゃん。折角海外行くんやから、ひづめちゃんのしたいこと何でもしたらええんよ。ひづめちゃんが楽しく生活してくれたら、お母さんもこんな嬉しいことないわ」

「でもねぇ、他人様にご迷惑をお掛けするようなことだけはしたらあかんよ。例えば飲食店のホールスタッフとか」

そう、私はとんでもない不器用なのです。
母は洋裁、ビーズ刺繍、編み物その他何でもござれなとても器用な人。一方で私はボタン付けが精一杯、刺繍なんかやった日にゃ肩凝りで湿布代の方が高く付くタイプの人間。

不器用ってのは、そういう手仕事だけに止まりません。手先の不器用さに不注意と空間把握の苦手さが合わさると、自分のために淹れた1杯のコーヒーをテーブルに持って行く途中でキッチンの角にぶつかり、2/3の量になったコーヒーにべちゃべちゃの両手と床掃除のおまけ付き、そして手を洗って掃除をしている間にコーヒーを淹れたこと自体を忘れる、という摩訶不思議な事が起こるわけです。

オーストラリアに渡航する直前、母と私は温泉旅行に行ったのですが、早朝ホテルの室内でのこと。急に蕁麻疹が出てしまった私はトイレに行ったついでに便座に腰掛けたまま、足にぬりぬり薬を塗布しておりました。塗り終えて軟膏をお薬ポーチにしまおうとしたところ、なんと手が滑りに滑って便器の中に軟膏がダイブ！そのまま流れて行ってしまったのです。

「えっ！？えぇ！！？？」

今日開封したばっかりなのに...9割5分残ってるのに...

呆然としたままベッドに戻った私と寝起きの母。

「めーちゃん、どうしたん？」
「あっあのねぇ」

かくかくしかじか。

「えぇ...？へぇぇ...？」

力が抜けたようにベッドに倒れ込む母。

「母さん、どうしたん！」

「どうしたんちゃうわ！！」

普段穏やかな母の強い口調に固まる私。

「お母さんねぇ、めーちゃんのこと全然心配してないんよ。めーちゃんやったらどこ行ってもやってけるって思うてるから。外で仕事してお金を稼ぐ能力については全く心配してないんよ」

「でも、この手先の不器用さと注意力の無さ！あっちこっちに行く意識！！この前も家の中でスマホ失くして大騒ぎや！！いくつになっても整理整頓も出来へんし！仕事以前の生活力のところで躓くこの感じ！！もうお父さんそっくり...！心配で仕方ないんよ！！」

「ふぇぇ」

心配性の母は2泊3日の旅行の半分を、娘に対する不安から寝て過ごすこととなりました。ほんと、不甲斐ない娘でごみんね...

とまあ前置きが長くなりましたが、両腕にお皿をいくつも置いて運ぶなど以ての外、両手使っても1杯のコーヒーがまともに運べず、親にまで「飲食店で働くのはまず無理だろう」と悲しい太鼓判を押されてしまった私は「何とか自分に出来る飲食関係の仕事はないか」と頭をこねくり回したわけです。

そうして私が辿り着いた候補はこちら！

「カスタマイズ無しの既製品を売るお店」です！！

例を挙げるとドーナツやおにぎり、rice cake(餅や大福系)、パン、フルーツ飴でしょうか。ケーキは繊細な上、詰め方も難しそうなので私は候補から外しましたが、各々の「不器用レベル」に寄ると思います。あとはケーキを販売するお店はカフェ併設のことも多いので、バリスタの資格があるオールラウンダー(何でも出来る人)じゃないと厳しいかも。

上記の商品を取り扱うお店ならカスタマイズは無さそうですし、含まれている成分についても説明出来そうです。あとは自身の英語力ですよね。例え聞き取れなかったとしても、指差ししてもらえれば何とかなりそう、というところもポイントでした。

方向性が定まれば行動あるのみ！！あとはひたすら候補となるお店に応募をし続けました。私の場合は1/10のぐらいの確率で、面接の機会に恵まれました。

面接で聞かれることは大体決まっておりまして
・ビザの種類と残り期限
・職歴がある人なら、前職は何をしていたのか
・英語力レベル
・何故オーストラリアに来たのか

案外「なんでうちに応募したん？」みたいなことは聞かれませんでした。勿論聞かれれば皆それなりに理由を付けて話すでしょうが、結局のところ「生活費のため」が多くの人にとっての本音で、採用する側もそれを承知しているからでしょう。

また面接で使用される言語は日本人オーナーならほぼ日本語、日本人以外のオーナーなら勿論英語なので、確実に聞かれる内容に関しては日本語でも英語でもスルッと出てくるように練習しておくのがおすすめ。

ここからは余談というか愚痴になってしまうのですが、中には悪い意味で「日本らしい面接」に居心地悪く感じる場面もありました。

オーナー「お給料は$24.10です。これが高いか低いかは置いといて、これにプラスして僕ら経営者は保険やら色々経費掛けてるわけね？だからその人がこの1時間でどれくらいの量の仕事をこなせるかとか───だからまあ、これだけのお給料をもらっているという自覚を持って───」

私「そうですよねっ、はい！」

私は何で初対面のおっさんに説教されてんの...？まだ雇われてもいないのに...？

オーナー「語学学校はどうだった？」

私「自分が稼いだお金で自分がずっとしたかった勉強が出来るのが本当に嬉しかったです！毎日知識が増えていくのが楽しくて！」

オーナー「えー？語学学校ってさ、友達作りに行くところだよ？だいたいみんなそこで友達作ってこっちでの人脈広げて〜って感じで。え〜、でもあなたはそうだったんだ。ふ〜ん」

私「もちろんたくさんの良い友人にも恵まれました(引き攣り笑顔)」

お給料のくだりに関しては$24.10って確かに日本人からしたらとんでもなく良い時給ですけども、価値としては大阪の1,064円と一緒なわけですよ。だって最低時給なんだから！！最低賃金のスタッフに高い責任感とモチベーションを求めるこの感じ。　

あ゛〜〜〜！！わしこれ嫌い！！こんなん大嫌いじゃ！！！

学校のくだりは、新卒での就活を思い出しましたね。あの時も「え？君、大学行ってたのにサークルも入ってなかったの？旅行も無し？え？何のために大学行ったの？笑」「ここまで勉強一辺倒だと協調性がないんじゃないかと心配になるんですよねぇ」など言われまして「勉強してる人が嫌なら、何で大卒を採用したいんやろ...？」とショックを受けたものです。まさにあの感覚でした。人生には遊びと余白が必要？そりゃそうでしょう。当時大学生の私にとっては、飲みサーと化したテニスサークル主催の破廉恥極まる飲み会や誰とどんな話をしたらいいのか分からず隅っこで砂の掛かった固い肉を食う羽目になるビーチでのBBQよりシャーレの中身の方が大事だった、ただそれだけのことです。あぁ、苛立ちからまた早口のキモオタになってしまいました... 偏見とコンプレックスの入り混じった幼稚な悪口を、恥ずかしげもなく述べる私めをお許しください。

何か書いてる内に落ち込んできました...やっぱり自分にも多少の原因がある気が......というか、もうこれ多少じゃなくない？完全に私の気難しさが原因じゃない？

ということで今回はここまでです。
〈撃沈・続く〉
※写真はあの日見上げた悲しい夕暮れです。