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松浦鉄道に乗って 〜有田→佐世保〜

2025年2月27日、朝7時。私はとある旅に出るため、博多駅にいた。
目的地は佐世保。特急に乗れば2時間で着く距離だが、今回は北松浦半島を経由して行く。
ここまで言うとピンとくるかもしれない。
旅の目的は、そう...「松浦鉄道完乗」である。

松浦鉄道(西九州線)は、佐賀県の有田から長崎県の佐世保までの93.8キロを結ぶ第三セクター鉄道。卒業論文で扱った松浦を通るということもあり、一度乗ってみたかったのだ…。


0.博多→武雄温泉→有田

まずは有田駅まで向かわなければならない。
博多から武雄温泉駅間は特急を利用する。

博多7:16→武雄温泉8:25 (リレーかもめ5号)

武雄温泉駅で乗り換え。
西九州新幹線への乗り換えは対面方式で利便性が高いのだが、特急(新幹線)から特急を除く在来線へ乗り換える時は、一旦1階に降りて改札を出て入りなおす必要があるようで…。
少し迷ってしまったが、なんとか在来線ホームに着いた。

7:32武雄温泉発、普通列車早岐行きに乗車。

8:48、無事に有田に到着。

有田駅はJR九州と松浦鉄道の共同使用駅である。
JRの列車を降りると駅員が出てきて集札していた(初めて見るシステム)。切符を渡したあと、そのまま3番線ホームへ。

1.有田→伊万里(伊万里街歩き)

ホームには、待ちに待った松浦鉄道が…!


松浦鉄道、略して「MR」
「肥前 WEST LINER」かっこいい名前!

効率的に完乗を目指すため、まずはここ有田から伊万里へ向かう。

ちなみに、今回は松浦鉄道の一日乗車券を使う。各有人駅や車内で販売されており、有田駅出発前の時間に運転手に声をかけて購入した。大人は2,500円。有田~佐世保の運賃が3,090円なので、かなりお得に感じる。

9:00、有田を出発。

9:24、伊万里に到着。
次の列車まで時間があったので、伊万里の街を少し歩いてみる。

伊万里駅。左(東側)がJR、右(西側)が松浦鉄道の駅舎


2.伊万里→松浦(松浦街歩き)

駅に戻る。
10:07伊万里発の佐世保行き列車に乗車。

福島口の近くに佐賀県(伊万里市)と長崎県(松浦市)の素敵なカントリーサインがあるのだが、ここで降りてしまうと次の列車まで時間を潰すのが難しそうだったので今回はパスした。いつか車で訪れたい…。

「伊万里」のオブジェのもう少し奥に、両自治体のカントリーサインがある

実はそこまで海が見えない松浦鉄道だが、鷹島口~前浜の間は伊万里湾を眺めることができる。

海の向こうには、以前訪れたことのある鷹島がある(右側の島)。

調川川。「調川」で「つきのかわ」は読めない…。

このまま乗っておけば終点佐世保に着くのだが、せっかくなので少し寄り道をしてみる。
10:45松浦で下車。

駅の待合室には元寇特集コーナーがあって興奮してしまった…。

道の駅まで歩いて行けそうだったので行ってみる。

志佐川

志佐川を渡る上り列車!

道の駅松浦海のふるさと館に到着。

建物の左手に突然現れる舟。
大河ドラマ「北条時宗」の撮影で使われたものらしい…!!!

鷹島の道の駅で見かけたのと同じようなアジフライの聖地モニュメントがここにもあった。

そして、このあたりで昼飯にありつけたらいいな…と考えていたところ、ちょうど生鮮コーナーにブリ丼が。しかもなんと400円!
アジフライと一緒に購入し、店内で食べる。

口に入れた瞬間広がる甘さ。こんなブリ、食べたことない…!

あまりの美味しさに感動しながらゆっくり食べていたが、気づけば列車の時間が迫っていた。急いで駅に戻る。

松浦の新鮮なブリが美味しすぎて、ほかのブリを食べられなくなるのではないかと不安になってしまう、そんな松浦訪問となった。

駅に着くと、地元の高校生がたくさんいた。卒業アルバムを広げながらおしゃべりしている生徒も。卒業の季節…なんだかしみじみとした。


3.松浦→たびら平戸口(日本最西端の駅)

12:22松浦発佐世保行きに乗車。列車は北松浦半島を西へ西へと進む。

12:46たびら平戸口に着いた。ここで2回目の寄り道をする。
この駅で降りた理由、それは…

ここが「日本最西端の駅」だからだ…!!!

駅員に声をかけて、訪問証明書(200円)を発行してもらう。

駅舎の右手には「日本最西端の駅」の碑もある。

また、駅舎の中には「鉄道博物館」なるものもあり、自由に見学できる。

いい感じの…!
国鉄松浦線潜竜駅(現・潜竜ヶ滝駅)昭和21年4月の時刻表


次の列車まで1時間ほどあったので、港まで行ってみることにした。

田平港から、平戸島に架かる平戸大島を眺める。

少し右の方には平戸城も見える。
田平港からは、向かいの平戸島や、その北にある的山(あづち)大島への市営フェリーも出ているようだ。いつか訪れたい…。


4.たびら平戸口→佐世保

13:48たびら平戸口発佐世保行きに乗車。

あとは一気に佐世保まで向かうだけ。

佐世保市江迎町末橘にある「すえたちばな」駅。
正式な駅名は平仮名表記で、駅名標には漢字表記も併記されている。
どちらにしてもなんだかお洒落な駅名。
「佐々」は「さざ」
こんな車両もあった

そしてここの区間で見逃せないのが「大学」駅。

近くには長崎県立大学佐世保校(主に文系キャンパス)がある。
「大学前」駅、「○○大学前」駅は全国各地にあるようだが、「大学」単独の駅名はここだけ。
絵馬のデザインの駅名標のほかに神棚もあった。


最後のほう、佐世保駅に向かう西肥バスと並走してテンションが上がった…!

そして15:07、終点佐世保に到着した。


有田→伊万里→佐世保と回って、松浦鉄道をついに制覇した!!!

半日ともに旅をしてきた鉄道。寂寥の念を抱きつつ、乗り場を後にした。


5.佐世保市街地を歩く

佐世保は長崎県第二の都市である。
ハウステンボスに行った記憶しかないので、少し駅の周辺を歩いてみることにする。

佐世保駅の東口を出てすぐ目に入るのがこれ。

「日本最西端佐世保駅」。

そうか、JRではここが端になるのか…!
松浦鉄道に乗ってきた者にはお得感が半端ない(笑)

反対側のみなと口から海はすぐそこ…。

佐世保港。

佐世保ポートサイド公園

ここから福江や宇久に行くフェリーも出てるんだよな…。いつか行きたい。

佐世保の街は想像以上に都会で、軍港都市の名残のような雰囲気を感じることができた。

6.日本一駅間距離の短い中佐世保~佐世保中央

佐世保に来て見逃してはならないのが、松浦鉄道の中佐世保駅と佐世保中央駅である。
ここは駅と駅がわずか200メートルしか離れておらず、日本の鉄道では筑豊電気鉄道の黒崎駅前~西黒崎とともに駅間距離が最も短い場所となっている。
その距離を体感するため、実際に歩いてみる。

まずは中佐世保駅を確認。

余りにも

あまりにも昔からの住宅街に馴染んでいて、困惑してしまった。

この先に佐世保中央駅があるようだ。

階段を降りて通ってきた道に戻り、国道を渡る。
「させぼ四ヶ町」という商店街の向こうに佐世保中央駅がありそうだ。

地面にも「MR佐世保中央駅」

ここも中佐世保駅同様、駅はどこだろう?と迷ってしまうくらい住宅街と同化していた。

中佐世保駅と佐世保中央駅、確かに道路を挟んですぐそこの距離だった。

最低限のミッションをクリアした瞬間に自分の電池が完全に切れたようで、「日本一長いアーケード」を歩く力もなくなってしまった。

松浦鉄道の一日乗車券もあるので、佐世保まで1駅乗って戻ることにする。

列車を待っていると、上り列車でとても素敵なラッピング車両がやってきた。

「祝!西九州新幹線開業 ようこそ日本最西端鉄道へ」と書かれてあったり…

松浦鉄道の鉄道むすめ「西浦ありさ」もデザインされたりしていた。

やっぱりこのキャラクター、めっちゃ可愛いな…。

16:05発の下り列車に乗車。16:07、佐世保駅に到着した。
今度こそ本当に松浦鉄道とお別れである…。


7.させぼ号(佐世保BC→天神高速BT)

あとは福岡に帰るだけ。もちろんここは最短ルートを選択。
西鉄の高速バスも好きなので、帰りは「させぼ号」を利用する。

佐世保バスセンターのバス乗り場は、佐世保駅南東、西肥バスセンターの中にある。待合室もあって安心だ。

させぼ号は西鉄と西肥バスの共同運行。もちろん西鉄運行便を選んだ。

17:00、バスセンターを出発。

40分ほど走って、佐賀県武雄市に入った。
今回の旅はほぼここから始まった。長い長い道のりだった…。

定刻の19:03から少し遅れて、バスは天神高速バスターミナルに到着。
福岡市と佐世保市は高速を使えば約2時間。思いのほか近かった(なお、特急を使っても所要時間は2時間、たいして変わらない…)。

〈感想〉松浦鉄道完乗の旅を振り返る

長い間温めてきた鉄道旅を今回無事にやりきることができた。
そもそも松浦鉄道に興味をもったきっかけが、中世の肥前国や松浦党について学んだことにある。
史跡を巡ろうと思ったら車でないとなかなか難しいが、上松浦の雰囲気は松浦鉄道の車内からでも十分に味わうことができた。

一度行ったら二度、三度と足を運びたくなる佐賀県、そして長崎県。

これからも少しずついろいろな土地を訪問したい。

とりあえず次の目標は、島原鉄道だ…!


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