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八木新宮線に乗って 大和八木→新宮路線バスの旅
「日本一長い路線バス」と言われれば、旅好きとしては一度乗りたくなる。
五條BC~星のくに間は利用したことがあるものの、やはり新宮まで乗ってみたい…!そのような思いを昨年からずっと抱えてきた自分。そしてようやく、和歌山旅行のついでにこのバスに乗る決心がついた…。
そのような経緯で、長い長い路線バスの旅が始まった。
旅のはじまりは大和八木
2025年1月17日朝9時、奈良県橿原市にある近鉄大和八木駅に降り立つ。
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奈良交通の窓口で168バスハイク乗車券(6,150円)を購入。
ここから6時間半、この車内に閉じ込められるのだと覚悟を決める。
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9時15分、大和八木駅を出発。
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「特急301系統 五條バスセンター・上野地・十津川温泉・ホテル昴・本宮大社前・湯の峰温泉・川湯温泉経由 新宮駅行きです」。
この車内アナウンス、めちゃめちゃ好きだ…!
バスは橿原市から大和高田市、葛城市、御所市を経て五條市へ。
五條に入るまでは市街地を走るので、体力温存のために寝ておこうかと思ったが、カントリーサインを撮影することにしたためあまり休めなかった...(笑)
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五條市~五新鉄道遺構~
10時30分頃、五條バスセンターに到着。ここで1回目の休憩がある。
6時間半の乗車とはいっても、ずっと車内に閉じ込められるわけではなく、途中で3回のトイレ休憩があるのだ…!こんな路線バスなかなかない。
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五條バスセンターはイオンに隣接しているため、慣れた人は10分の休憩時間の間にイオンの食品売り場で昼食を調達するそうだが…事前に準備しておくのが無難だろう。
バスセンターを出発して吉野川を渡ると、いよいよ紀伊半島の山中に入っていくことになる。
賀名生皇居跡や大塔宮護良親王像を眺めながら、どんどん山奥へ…。
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これがめちゃくちゃかっこいい。
前回このバスを利用した際の目的地は実はここだった…。
ちなみに天辻峠を越える際の車内アナウンスでは、この地が西熊野街道(現在の国道168号)の最難所であること、昭和34年に新天辻トンネルが開通したことで利便性が格段に上がったことなどが紹介された。
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ところどころ雪も残っていた…!
また五條市では、国鉄未成線として有名な五新鉄道の遺構も見逃せない。
五條市と新宮市とを鉄道で結ぶ計画は明治時代末からあり、昭和14年から建設が始まった。太平洋戦争により工事が中断することもあったが、昭和35年に五条~城戸間の路盤工事が完了。その後も城戸~阪本間の建設が進んでいたが、経済状況の悪化により昭和50年代に工事は中止されることとなった。
鉄道敷設を目指して整備された道は平成26年まで路線バス専用道(国鉄→JR→奈良交通)として利用されており、五條市内には現在でも五新線遺構の橋やトンネルが残されているというわけだ。
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少し話が脱線したので気を取り直して八木新宮線の旅に戻ろう。
11時50分、バスはいよいよ十津川村に入った。
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十津川村~上野地・十津川温泉~
12時5分頃、2回目の休憩地・上野地に到着。
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バス停のすぐ近くには、十津川村で一番の観光名所ともいえる「谷瀬の吊り橋」がある。ここでの休憩時間は20分あるので、怖がらなければ吊り橋を往復することもできそうだった。私は以前2度谷瀬の吊り橋を訪れており、今回も渡れる自信はあったものの、あまりの強風のため断念した…。
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上野地を出発。
長慶天皇陵のある国王神社のそばを通り、風屋貯水池、風屋ダム、十津川村役場などを眺めながら…
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13時30分、3回目の休憩地・十津川温泉に到着した。
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バス利用者用の足湯もあった。
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十津川温泉を出発。十津川村の旅ももうすぐ終わってしまう...。
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そして出発から5時間、ついに和歌山県に入った!
田辺市
和歌山県に入るとすぐに熊野本宮大社前を通過する。
本宮大社近くの「大斎原」。これは読めない…
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このあたりには温泉もたくさん。
湯峰温泉で時間調整のために停車しドアが開いた瞬間、温泉地らしい硫黄の匂いが漂ってきた...!
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10分ほど走ると川湯温泉。
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川に温泉…?!冬季のみらしい。
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そして新宮市に入る。
旅のおわりの新宮市
十津川第二発電所。和歌山県に入ると十津川村は熊野川となるが、ここはまだ「十津川」なのか。
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和歌山県を走る奈良のバス。川の向こうは三重県。
不思議すぎる光景だ。
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正直寝てもいいのではと思うくらい景色が変わらない…熊野川、大きい。
山間部を抜け、バスは市街地に入る。
そして定刻通り15時47分、新宮駅に到着した。
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奈良からの長い長い旅もこれで終了。
離合困難な狭い箇所も多い道を6時間半、一人で運転してきた運転手さんには頭が上がらない…。
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〈感想〉
地方の公共交通機関、乗れるうちに乗ろう!という信念のもと決行した、日本一長い路線バスの旅。
これで1日楽しめるのだし、旅としては十分ありだと思った。乗り心地は実に快適。それどころか眠くなるくらいで、最後のほうは睡魔との闘いだった…。
そして同一便で乗り通した強者には、記念乗車証&路線図という素晴らしい記念品が与えられるのだ。
嬉しい…!
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国道168号五條新宮間では、道路整備を求める看板をたくさん目にする。そして、通るたびに工事が着実に進んでいることを実感する。
「災害に強い道路」、それは紀伊半島にとってなくてはならないインフラだ。
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基本的にずっとバスの中で過ごす旅ではあったが、紀伊半島という土地の雰囲気をなんとなく感じることができた。
八木新宮線は6,000円出して乗る価値が十分にある路線バス、これだけは断言しておきたい。
時間と体力のある方は、ぜひ乗ってみてはいかがだろうか。
(補足)
ちなみに今回使った168バスバイク乗車券は本来、大和八木〜新宮間の運賃そのままで途中下車が可能となる乗車券である(2日間有効)。記念乗車証にこだわらなければ、十津川村や本宮大社で降りて観光・宿泊するという巡り方もできる。
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