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創ったものに対して自信がないという罪|肥前文俊
私は創作についてよく相談を受けるのだけれど、自分の作品に対して、どうしても自信が持てない人がいます。
あるいは、別の作品には自信満々だけれど、この作品はチョット……という人も。
これはものすごい問題だと、私自身は思っています。
というのも、自分の作った作品に対して自信が持てないのに、誰かに時間やお金といった対価を払ってもらいたいと思っているから。
あるいは、自分でも自信が持てない作品を、誰にも評価されないと悩んでいるから。
これってすごく矛盾していることじゃないでしょうか?
ある意味ではとても傲慢。
あなたが料理屋さんでご飯を食べに行って、
「私この料理全然美味しい自信がないんですけど、お金払って食べてもらえませんか?」って言われたらどうですか?
嫌でしょう?
薦められるなら「私これめっちゃ自信作なんです! 一度食べてみてよ!」って言われたくないですか?
たとえ実際に食べてみたら自分にとってまあまあの味でも。
とはいえ、自己評価ってのは簡単には変えられない根深い問題でもあります。
「自信を持てって言われても、自信が湧いてこない」
こんな声が聞こえてきそうですよね。
・自分の作品に対して、どうやって自信を持てばいいのだろうか?
・どうしても自信が持てない時にはどうしたらいいのか?
この2つにたいして、私なりの答えを紹介しておこうと思います。
自分の作品に対して、どうやって自信を持てばいいのだろうか
私は小説を書くとき、どれだけ素晴らしい(と思える)アイデアを思いついても、ぜったいにすぐには書きはじめません。
文字に起こす前になんどもこれは本当に面白いだろうか。自分が書く必要があるだろうか。読者が求めてるものだろうか? といった自問自答を繰り返します。
実際にアイデアを思いついてから、書きはじめるのに三か月、あるいは半年や一年かかることもあります。(没もたくさんあります)
その間にも、それ以前に思いついて熟慮したアイデアがあるので、書く題材がないということはありません。
アイデアは常にいくつもストックを抱えていますから。
じっくりと時間をかけて、確信が持てるから、自信も出てきます。
そして、これを書くぞと決めてからは、徹底的にプロットを作りこみます。
そして書きあがったら、じっくりと見直します。
ウェブの作品の良い所は、後々になって編集ができる所ですよね。
実際に代表作になった青雲を駆けるは、いまだにチマチマと修正しています。(noteさんには参考のためにアナリティクス導入できるようにしてもらえないかなって思ってます。カクヨムさんみたいに)
精度が上がればますます自信が持てるようになります。
どれだけ時間と労力をかけていても、本が書店に並ぶときには不安で仕方がなくなります。
「売れなかったらどうしよう」
「面白くないって言われるかもしれない」
出版は自分一人で完結しない仕事です。出版社から書店の方、流通の方、応援してお金を出してくれた読者さんに申し訳ない。
なにより手を抜いたら他でもない自分自身が一番分かってしまいます。
正直なところこれが一番怖いです。
こんな面倒そうなことをするのは、私自身がかつて失敗した苦い経験があるからです。
かつて早く仕上げたいばかりに甘いプロットで執筆に乗り出し、思うように筆が進まずスランプに陥りました。
そして結局復活までに二年もの歳月を費やしました。
だからこそ、十分な準備の必要性を確信しています。
どうしても自信が持てない時にはどうしたらいいのか?
とはいっても、書きあがってどうしても自信が持てない時もあるかもしれません。
そんなときは自信満々なふりだけでもしてください。
誰がどんな作品を気に入るかなんてわかりません。
読んでもらえるまで評価なんて決まらないんです。
最高傑作です、と言えなくても良いんです。
・自分が一生懸命書いた作品です。
・私の今持てる精一杯の想いと技術を込めて書きました。
せめてこんな風には言えないでしょうか?
そして、たくさんの時間と労力を費やして、成功体験を積んでいけば、きっと心から自信を持って人に薦めることができるようになる筈です。
今はまだそこまでいかなくとも、そこを目指して進みませんか?
Twitterアカウント(@HizenHumitoshi)で創作についてよく呟いています。
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