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何も無い今日のこと

今朝は早くも遅くもないくらいに目が覚めた。時間にすると8時か9時か、はっきりとは分からない。というのも目が覚めてからすぐスマホがベッドから落下してしまい、拾うという動作がこの世の何よりも億劫だったので時間を確認することが出来なかったのである。(僕の部屋には時計は置いていない)
無駄にサイズ感のあるベッドなので、何度か端まで身体をはい寄らせなければ、あるいは寝返りを1回転ほどしなければたどり着くことが出来ない。たったそれだけと思うかもしれないが、その「たったそれだけ」がその瞬間において、この世の何よりも面倒で退屈で目を背けたくなるような行為だったことを力強く主張させてもらいたい。おそらくその瞬間に時間を確認できなければ会社をクビになると言われていても、その宣告を快く受け入れていた事だろう。要するに、という一言で済ませてしまうと寝起きが良くないのだ。

カーテンの隙間から陽の光が入る時間になり、やれやれと身を起こす。そういえば、と、落下したスマホを拾い上げると元々傷だらけだった保護フィルムは更にヒビを重ね、年月の積み重ねを感じるほどの様相を呈していた。とりあえず見なかったことにしてシャワーを浴びる。シャワー終えると髪を雑に乾かしながら手帳を眺める。今日の予定は夕方までは特に無いらしい。何も無い休日は久々な気がする。
僕の休日の過ごし方は大体パターン化していることが多い。予定を入れている時は朝から出かけっぱなしだが、そうでない時には普段あまりできていない部屋の片付けをして、買い出しをして、普段会えない人にSNS上で雑に絡んで、それ以外の時間でギターを弾いたり文章を書いたりしている。
最近、自分でも理由がわからないが人生でこれまでに無いくらいにやる気が無く、気分が鬱蒼としているので、誰かと話したりでもしてみようと思い、知人をだれか捕まえることに決めた。
こういう時はとりあえずSNSに浮上している人を狙いすます。お、こんな平日の昼間からインスタ更新してるじゃねえか、みたいな感じでとりあえず声掛け。無事に話のお供をGET致しました。

そこまで家から離れていないくらいの商業施設内のスタバ(今回のお供はスタバ愛好家)で、とりあえず新作のフラペチーノ飲めと言われたので、言われるがままにオーダー。誕生日で送られてきたスタバのギフトカードはまだまだ無くならないようだ。遡ってギフトを探すので、もはや誰からのものを使っていて使えていないのか分からなくなってきた(笑)ほんとにすいません。
今日はたまたま職場の同僚が捕まったので、仕事の話からただの世間話なんかを延々と喋りあった。僕は雑談をするのが好きだ。雑談というのは、話す内容なんかどうでもよくて、それを話す時に感じられる価値観や共感性の受け渡しで相手の人となりが分かっていく。お、そんなタイプなんだ。と意表を突かれるような発見もある。無駄に真面目な話をしている時よりも相手の素に近づける感じがあるのではないかと個人的に感じる。
とっくに空になっていたカップを無駄に揺らし、そろそろ帰ろうかと提案し、買い物をしてから帰るという知人とそこで別れた。
ふとフィルムの割れたスマホを見るとなんと4時間くらい経過していた。朝落としたからぶっ壊れたのかと思っていたがもちろんそんな訳ではなかった。没頭するというのは時間を忘れさせてくれる。

その後うっすらと頭に思い描いていた今日の日程は全て白紙に戻して、今日は何もやらない事に決めた。今日はそういう日でいいのだ。何もできなかったのではなくて、やらない日なのだ。部屋を片付けていない自分を許し、力を振り絞ってなんとか洗濯だけは済ませた自分を愛し、夕方からのボイトレをこなした自分はなんと立派なことかとファンファーレを高々と鳴らす。
今日も生きたね。と自分を可愛がり(他意は無い)、なんとなく部屋のスピーカーでプレイリストからランダムにBGMを鳴らす。飛び出してくる歌は僕が自分のために厳選した個人的に好きな歌ばかりだ。隣の部屋に気を使い、程々のボリュームに絞ったその音は、逆にその曲の世界に僕を連れていってくれる。並行して作業をしながら耳に飛び込んでくるのではなく、久々に体全体を音の方向に向けているのだ。一頻り音楽を堪能した後に今日はスマホを手に取りnoteを執筆している次第である。
なお部屋は未だに片付いていない。

前回の記事でも書いたが、僕は今死んでいる。今日は何かあったかと言えば何も無い一日で、それでも今日という一日のことをなんだか愛おしく思えた。


〆。

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