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新人に出来ることは何か
新しい職場に入ったばかりの頃は出来ることが少ない。新人でも出来ること、それは挨拶だ。まだ仕事は出来なくても挨拶は出来る。気持ちよく挨拶する、まず出来ることをやる。そう教わり、いつでもそうしてきた。
夜の世界のことは、入るまで何も知らなかった。お客として行ったこともなければ、会社の飲み会すら、お酌するのが苦手すぎてパスしていた。
セット料金とかハウスボトルとかひやしぼとか、用語も何だかわからなければ、水割りの作り方も知らなかった。そもそも飲めないので、適度な濃さがわからない。ママや先輩や、ときにはお客さんに教わりながら、少しずついろんなことが出来るようになってきた。
働き始めてから、ずっと心がけていることがある。
「丁寧にお酒をつくる」ということ。
落ち着いて、音をたてず、ゆっくり丁寧につくる。この1杯が、良いお酒になるようにと願いながらつくる。楽しくなるよう、心が軽くなるよう、明日に残らないよう。目の前のお客さんのためだけに、ちょっと魔法をかけるような気分で。慌ただしくつくると、がちゃついた空気がグラスに入って、なんとなく美味しくならないような気がするからそうしてきた。
最近は、私のつくるお酒が飲みたい、お酒を注いでほしいといって、お客さんがきてくれるようになった。初めは不慣れなせいで、ゆっくりしかつくれないだけだったのだが、その分気持ちをこめてつくりつづけてきた。それが届いた気がして嬉しかった。
出来ないことにばかりフォーカスしていると、その出来なさに落ち込んで、嫌になってしまう。いまの自分に出来ることはなにか。どんな些細なことでも、出来ることは必ずある。飛び込んでみる、試してみる。失敗は怖いけど、失敗しない方がもっと怖い。リアクションやフィードバックを受けて、じゃあどうするのがよかったのか、次はこうしてみようとか、向き合い続けることで磨かれていくのだ。
偉そうにいってみたけど、自分もまだまだ、まだだ。