江の島珍道中① 高所恐怖症がのぼるシーキャンドル
誕生日は、仕事しないで海を見に行こうと決めていた。沖縄まで行きたいけど、距離的にしんどい。羽田行くまでの人混みでくたばりそうだし、飛行機乗るのがしんどい。
しばらく旅行に行っていない。どっか行きたいけど、ペーパードライバーのプロなので、レンタカーは無理。電車で移動できるところ。方向音痴でもなんとかなるところ。
気を遣わず、嫌なことはせず、自分のペースで動いて、食べたいときに食べ、疲れたら帰ってきたい。だったら、他人を誘いづらい場所に行ってみよう。
行き先は江の島にした。
湘南・江ノ島エリアとかではなく、人気観光スポットの鎌倉でもなく、あの、ひょうたん島のような、『島』の部分。たしかてっぺんに展望台があったし、洞窟みたいなやつもあったはず。目指すものが明確なので、方向音痴でもいけるはず。
日帰りでも行ける距離だけど、せかせか移動するのも疲れるので、江ノ電始発の藤沢に前泊することにした。
全国旅行支援で、ちょうど神奈川の割引が再開したタイミングだった。格安で希望のホテルが取れたので満足。
前泊日は雨だったので、早々にチェックイン。
レディースプランのアメニティが、ジルスチュアートでテンション上がる。ゆっくり湯船につかり、普段よりお高いパックをして、全身にクリーム塗りたくって就寝。
翌日、藤沢から乗車。
鎌倉方面はかなり空いていた。
江ノ電エリアは観光スポットとして有名だけど、当然暮らしてる人たちや働いてる人たちがいる。平日の朝なので、スーツや制服の人々が多く藤沢で降りていく。
住宅街をすいすい抜けていく電車の中で、海がそばにある環境は、やっぱりうらやましいと感じた。死ぬ前に一度、海沿いで暮らしたい。
9:00頃に江ノ島駅着。歩いて江の島を目指す。
島の上の方にある突起物、シーキャンドルのてっぺんから海を見渡すのだ。バカは高いところが好きといわれて育った。バカ万歳。
海にかかる橋を渡る。雲がだんだん晴れてきた。寒いし風が強いけど、もう春だ。潮の匂いが嬉しい。
橋を渡り切ったところに仲見世があり、アクティブシニアと学生グループがすでにたむろっている。ただ時間がまだ早いので、開いている店が少ない。空いてるうちにてっぺんを目指す。
楽々とてっぺん到着。
エスカーというエスカレーターに乗らなければ、石段を延々30分近く登ることになる。ここまでで結構歩いているので、乗ってきて正解。くだりはないので帰りは歩きだけど、なんとかなるっしょ。
広いサムエル・コッキング苑の敷地に、お目当てのシーキャンドルはある。ここの庭園、明治18年に貿易商サムエルさんが私財で作ったんだそうだ。別荘がここって単純にすごい。珍しい植物とか、咲き乱れる花とか、イルミネーションとかでも有名らしいけど、まだ春になるかならないかの時期で植物はまばら。
エレベーターでシーキャンドルのてっぺんへ。
ガラス張りの展望台から、さらに階段をのぼると、手すりに囲まれた最上階の展望台に出られる。歩く場所が意外とせまくて、空に浮いている感覚。足元がほぼ海。めちゃくちゃきれい。
上に来てから思い出したけど、高所恐怖症だった。
年々怖くなるものってあるよね。それです。
展望台は風が強く、あおられて足元がふらつく。いまコケたらアウト。スマホ落としたらまじでアウト。これ以上怖くなる前に戻るべし。さっと一周して引き返し、さらに外階段で降りようとしたあたり、もう判断力が鈍っている。
シーキャンドルは、内側の芯を囲むように、らせん階段が設けられている。ここはさっきの展望台より歩く幅が狭い。強い風吹きさらし。しかも前日の雨で階段が濡れている。まじで怖い。のぼってくる人も後ろから降りてくる人もいないので、たった1人だ。ゆっくりでも降りるしかない。
ここ、彼氏と来てたら喧嘩してたかもしれない。行きたい行きたい言って無理やり連れてこさせたうえに、怖いってぐずってるうちに、最初は優しかった彼氏もだんだん険悪に。そんでお互い無言できまずく階段を降りて仲見世あたりに戻るみたいな。あれ、岩屋行くんじゃなかったの?みたいな。
1人で来てて正解でした。