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ルイ・ヴィトンのリメイク

19歳くらいの頃、伯母からルイ・ヴィトンの財布をもらった。買ったけど思ったより使い勝手がわるいから、という理由でのおさがりだったが、私にとっては初めてのブランドもので、嬉しかったのを覚えている。

我が家の女性陣は、ファッションの好みが全く異なる。許容はするが、基本それぞれのセンスを相容れないものとして、共感も理解も示さない。伯母はブランド崇拝主義者でゴールド好き、母はキャス・キッドソン系のファンシー柄&パステルカラー専門、私はシンプル柄なしモノトーンかターコイズブルー偏愛者。

畑違いである私の元にきたヴィトンの財布を、我ながら不思議なくらい愛用したと思う。ときにリペアやクリーニングをしながら使っていたけれど、ついに端が擦り切れすぎてしまい、使うのをあきらめた。生地のほつれだけに直すにも直せず、仕舞い込んでしまっていた。

先日、大掃除の際に、件のヴィトンの財布が出てきた。使わなくなってからも劣化が進んでしまったようで、革はさらに古びてべたつき、くたびれ度は増していた。処分を迷ったけれど、捨てるのはどうしても気が進まなかった。気に入った洋服だったらリメイクしてでも着るのに。

革製品のリメイクはないのだろうか、と思い調べたら、かなりの数の業者さんがヒットした。ブランドの革製品のリメイクは、意外と手軽に行われているようだった。

革バッグから生地をとり、さらに小ぶりのバッグにしたり、手帳や文庫カバー、パスケース、小銭入れなどにリメイク。業者さんによっては、そのブランドの製品かのように仕上げてくれるところもあった。このかたちでなきゃイヤ、という人は別だろうけれど、お気に入りを違うアイテムにつくりかえてでも持ち続けたい人には、すごく良い。

沖縄の、ある革工房さんとご縁ができ、つくれるものを提案してもらった。財布がベースの場合、バッグと違って生地がかなり限られているので、パスケースは難しいがキーケースなら可能、との事だった。こだわりはなかったので見積もりを出してもらい、リメイクをお願いした。

先日、レターパックでキーケースが届いた。革をぴかぴかにみがきこまれ、丁寧に縫製されて帰って来た姿は、見事な生まれかわりようだった。可愛いし、嬉しい。

伯母に自慢してやろう、と思う。
もったいない!って言うだろうな。

19歳のときと同じく、いまもブランドものを持っていない。しいてあげればこのキーケースだけだ。純正品ではないけれど、自ら手放すことはこの先もきっとないから、いいのだ。





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