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1 TEXTILE 1STORY : SUSHI (2019)
無性にお寿司を食べたくなる時がある。
この感情は今やきっと世界中の人が思うことではないだろうか。東京オリンピックが近づいていたこともあり、海外の方に向けたテキスタイルを作りかった私はお寿司をモチーフにしたテキスタイルをつくることにした。
糸の質感を出すのが得意なションヘル織機であれば、ネタのツヤ感やシャリの粒々の感じが出せるはず、とまずは糸選びから始まりました。
ベースとなっている部分は綿。薄すぎず、厚すぎず。そこにお寿司が乗っかります。お寿司の糸は愛知県一宮にある(株)泰平商店というファンシーヤーンをたくさん取り扱っている糸屋さんで一緒に悩みました。
「ネタはツヤツヤで、シャリは粒々がいんですけどねえ。。」という話をして、ネタはナイロンのリリーヤーン、シャリの粒々は数珠モールという糸に決定。
そこから染色工場に出して、染めてもらいます。
今回はお寿司の柄をつくるのでションヘル織機のドビー機(無地とかチェックが織れる基本的なタイプ)ではなくジャカード機(曲線が織れる織機)を使います。ジャカード機を使うにあたって、「紋紙」と呼ばれる柄のデータを作らればならないのだけど、私はそれをつくることができないので今回は仲良しの (株)イワゼンの岩田さんにご協力してもらいました。
柄の大きさや柄の向きをシュミレーションで出してもらって、あーだこーだ言いながら柄が決定!
「デカネタもいいんじゃねえ?」と岩田さんがネタが大きい柄も考えてくれたんだけど、なんか虫っぽいね!ということでこれはボツに。
糸屋さんも岩田さんも全力でお寿司という布を面白がってくれて楽しい!
糸の染めが終わり、紋紙もできたので、いざ機屋さんです。ここまでで1ヶ月くらいかかりました。
まずは白の経糸(たて糸)を準備してもらいます。たて糸の準備で1週間ぐらい。
「織つけ(おりつけ)できとるでこやーよ〜」と岩田さんからTEL!
すぐに駆けつけると織れていた!!この瞬間が一番幸せ。布って面白いー!!!と思う瞬間です。
お寿司です、お寿司が出来上がっていました。シャリの部分のポコポコしていない部分が細くて密度が足りなかったので、綿の糸と一緒に入れてもらうことにしました。織りつけは織る準備ができたよ!ってことなんだけど、とりあえず布の顔を見て色々と変更したりする工程です。
ネタの部分、ナイロンのリリーヤーンが非常に強度があるのでサイドの経糸を切ってしまうみたいで、なかなか織進まず機屋さんが苦労されていた。。岩田さんと相談して次に作る時はレーヨンにしようと決定。
それでも機屋さんは文句ひとつも言わずに織ってくれて、「慣れてきた頃に終わったわあ」と織り上がりました。機屋さん本当にありがとうございました!!
そしてその後は布を洗って風合いを作る、整理工程です。私はいつもみずほ興業(株)にお世話になっています。みずほさんはいろんな風合いを作れる整理工場さんなんだけど、私はいつもサラッと仕上げ。。「もっと面白い風合いやってみようよー!」と少々いじられながらも「次はお寿司!」とびっくりしていただきました。
お寿司は裏に糸がすごく飛んでいるので、これはカットしないと整理が難しいとのことで、裏の糸をカットします。この作業が地味に大変で2週間ぐらいかかりました。切った糸は捨てずに取っておきます。いつか何かの制作に使いたいと考えています。またterihaeruは必要な分だけしか作りません。染色もすれば排水は出るし織るのには電力は使うけど、必要な分だけ作ってどんな小さなハギレになっても捨てません。terihaeruの生産過程で捨てるものは非常に少ないです。
その後ネタの部分がレーヨンの糸に変わったんだけど、レーヨンの糸を全部切ってしまうと抜けてしまい大変だったので、現在は整理工程の時に引っかかるサイドの部分だけ切っています。
のちに「イカ」を作った時は機屋さんのお手伝いもちょこっとだけしました。お手伝いをしながら機屋さんの話を聞くのが本当に楽しい。たくさんの職人さんに支えられて今回も新しい布が作れました。
SUSHI / マグロ、サーモン、イカ
TEXTILE DESIGNER : 小島日和、岩田義之(株式会社イワゼン)
YARN : (株)泰平商店
紋紙制作:野田紋工
WEAVER:本人様のご意向により未公開
WASH:みずほ興業(株)
デザイン・制作にかかった期間:4ヶ月
terihaeruのサスティナブルポリシー
・大量消費を目的とした大量生産はしません
・生産する上で出る、糸や布は廃棄しません
・terihaeruの商品を作る職人の幸せを優先し技術に正しい金額で生産します
・素材を吟味し、循環できる素材をなるべく使用します
動画でもご紹介しています!