毛玉

白く凍りつく吐息を
包み込むような温かな口づけで
氷点下に落ちる街を横目に
わたしたちは恋に落ちる

ゆっくりと踏みしめた地面の
足の感触もきっと忘れやしない
大好きなあなたと2人
歩くだけで幸せ

真夜中の地平線
どこまでも続いてないような
続いているような
不安定な景色を眺め
深く暗い恋に落ちてゆく

あなたの青色と
わたしの桃色が絡み合う

視界なんて
呼吸なんて
あなたで満たして

わたしの命なんて
しょうもないんだから
あなたの手で輝かせてよと
懇願するわたしに
恋は堕ちてゆくもので
美しいものでは何もないと
あなたは重ねた指をほどいた

幾度となく重ねた身体に
愛情も付随していると
思っていたのは私だけ

残されたのは
むらさき色にはなれなかった
青色と桃色の毛玉だけ。

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