〝悔いなき選択〟について悶々と考えた#5〜夢を公に語る意義〜
あなたは夢を口に出して語った事が
あるだろうか?
例えば、口に出してしまったら
バカにされるだろうとか
否定されるだろうとか
自分でもそう思うような夢を
あなたが持っていたとしよう
もしくは、自分が置かれている
現状に対して自分でも場違いだと
思えるような夢を持っていたとして
あなたは素直に誰かにその夢を
語る事ができるだろうか??
人は実現が難しくなればなるほど
自分の夢を語らなくなるように思う
しかし、自己啓発系の本には
〝夢を語ると夢が叶う〟なんて
大袈裟な事書いてあったりする
語るだけで夢が叶うなんて
バカな事そうそうあるわけない
が
もし
もしも誰かの〝夢〟に
自分の未来を賭ける〝選択〟を
しなくてはいけない場面があったら
そんなことがあったら
どちらの人の〝夢〟に賭けるだろうか?
夢を公然と語る人と語らない人
『進撃の巨人』のリヴァイくんが
第84話 『白夜』で出した選択の結果は
〝夢を公然と語る人と語らない人〟の
どちらを選ぶかでもあったように思う
人の生死を決めるという〝選択〟である
悔いなど残したくないし
残すべきではない
どんな選択だったかは
詳しく下の記事に書いたので割愛しますが
リヴァイくんの『白夜』での選択は
アルミンとエルヴィンそれぞれの
〝夢〟の持つ可能性を選択材料にした
のではないかと書いた
実は、もう1つ
アルミンとエルヴィンの〝夢〟に関して
大きな違いがある
それは
まさに夢を公然と語っているか
語っていないか
夢を公然と語っているのはアルミン
夢を内に秘めている
秘めるようになったのがエルヴィンだ
そう人は年を重ねると
夢を語る機会もなくなるし
語るをやめてしまうことが多々ある
理由は様々だが。。。
アルミンは15歳の少年
エルヴィンは30代のおっさんで
団長と言う社会的責任も背負っている
まぁ、その差は大きいと思う
エルヴィンも訓練兵時代は
自分の夢をよく仲間に語っていた
そして
調査兵団に入って
その〝夢〟を証明したいと
たとえ仲間に屁理屈だと
揶揄われても語っていたのだ
しかし
実際に調査兵団に入って
エルヴィンは変わった
〝ある現実〟を痛感し
自ら夢を語らなくなった
自分の夢に
そして夢を語ることに
ある種の罪悪感を感じたのかも
実際に巨人と対峙して
圧倒的な力の差を目の当たりにし
人類のためにと戦って
命を落としていく仲間に
自分の夢を語るべきでないと
思ったのかも知れない
命を投げ打って
〝人類を救いたい〟と言う
利他的な行動を目前に
父の死の真相を
世界の真実を知りたい
という自分の夢は
あまりに利己的な夢だと
一方のアルミンは
小さい頃から夢を語っては
異端者扱いされイジメられていた
しかし
イジメに屈せずに
夢を語り続けたのがアルミン
『どうした異端者
悔しかったら殴り返してみろよ!』
とイジメっ子に挑発されたアルミンは
『僕が言ったことを正しいと認めているから...
言い返せなくて殴ることしか
出来ないんだろ?』
『そ...それは!
僕に降参したってことじゃないのか!?』
アルミンは幼い時から
腕力で負ける相手にも言い返せるほど
弁が立って勇気があったんですね
まぁ、必ずエレンやミカサが
助けに駆けつけてくれたけどw
こう書くと
他人の目や体裁を気にして
〝夢を語る事〟を辞めるか辞めないかは
価値観が〝自分基準〟であるか
〝他人基準〟であるかの差にも感じられる
アルミンの〝夢〟は『進撃の巨人』に於いて
かなりキーとなる
最初に夢が出てきたのは1巻だ
その後、重要な曲面で何度も出てくる
もともと壁の外の世界に興味を
もっていたアルミン
最初は
『100年壁が壊されなかったからといって
今日壊されない保証なんか
どこにもないのに...』
という危機感もあり
いずれは人類は壁の外に出るべきと考えていた
アルミンの夢を大きく変えたのは
おじいさんが隠し持っていた
外の世界のことが書かれている本を
みつけてからだ
諫山さんここも表情が巧いですよね
ワクワクが伝わってきますw
幼いアルミンが大興奮する
その内容は。。。。
すっかり外の世界を探検する夢の虜ですw
最後のコマに注目すると
外の世界を夢見るアルミンの横の
エレンの冷ややかな目が印象的です
これこそ『白夜』でリヴァイくんに訴えた
ことの伏線になっている
『白夜』の舞台であるシガンシナでの
ウォール・マリア奪還作戦
18巻 第73話『はじまりの街』で
その道中が描かれている
ウォール・マリア奪還作戦の重責から
震えが止まらないエレン
『怖いの?』と聞いたアルミンが
次にエレンに訊ねたのが
エレンが初めて巨人化する切っ掛けとなった
〝あの時〟の事だ
『普通はみんな巨人が怖いんだよ』
『僕なんか...
初めて巨人と対峙した時
まったく動けなくなったんだ...』
『でも...そんな僕を...
君は巨人の口から出してくれたんだ』
『...何で君はあんなことできたの?』
エレンは自分の幼い頃を振り返る
『目?』
『お前は楽しそうに夢を見ているのに
オレには...何もなかった』
1巻の〝あの1コマ〟は
18巻で書かれている〝目〟の伏線
〝目〟を意識して対比した考えられた構図
だったのですね。。。諫山さんスゴいです
1巻の表情に隠された心理を
18巻で答え合わせできる。。。脱帽です
アルミンが〝夢を語った〟ことで
エレンの〝進撃〟が始まった
と言っても過言でないかも
アルミンはこの時点では夢は叶ってはないが
自分の夢を語ることで
エレン(他人)に大きな影響を与えたのです
漫画的には、ここで
アルミンの〝夢〟がエレンの根底にある
という宣言する事は『白夜』での
エレンの最後の訴えの布石になっている
21巻 第84話 『白夜』
アルミンを諦め切れないエレンは
最後リヴァイくんに次のように訴えます
『…兵長
海…って知って…ますか?』
『いくら見渡しても
地平線の果てまで続く…
巨大な…湖のことです』
『しかも…そのすべてが
塩水でできているって…
アルミンが言うんです』
『この壁の向こうにある海を…
いつか見に行こうって』
しかし!
これだけ聞いただけで
長年に渡って共に死線をくぐり抜けてきた
かけがえのない友であり
〝人類の勝利〟に不可欠なエルヴィンより
数ヶ月前に出会った新兵であるアルミンを
選ぶ決定的な理由になるだろうか??
否!
たぶん人伝いに初めて聞いた
〝他人の夢〟に共感はしないだろう
実は、リヴァイくんがアルミンの〝夢〟を
聞いたのはこの『白夜』が初めてではない
18巻 第73話『はじまりの街』の1つ前
第72話『奪還作戦の夜』の中で
リヴァイくんは
アルミンがエレンに夢を語っているのを
ひっそりと聞いている
このシチュエーションから
リヴァイくんはアルミンの表情を
見ることができないと思うが
声のトーンや息づかい
感情の起伏なんかは充分感じられる
アルミンの〝夢〟に対する熱量や
思いの強さは伝わっただろう
『白夜』で
『この注射はエルヴィンに打つ』と
人払いをしたリヴァイくんが
エルヴィンとアルミンに対峙した時に
脳裏に最初に浮かんだシーンとして
描かれているのがまさにこのシーンだ
最後のコマのリヴァイくんの穏やかな表情に
ホッとさせられる
上の記事でも書いたがリヴァイくんは
この頃エルヴィンとの関係がギクシャクして
私的にはハゲちゃうのではないかと
心配するくらい落ち込んでいた
アルミンが純粋に夢を語るのを聞いて
エレンとアルミンのやり取りを聞いて
純粋なリヴァイくんは癒された一時を
過ごせたのではないかと個人的には思っている
アルミンはリヴァイくんに聞かせる
意図は無かっただろうが
自分の〝自分の夢を口に出して語った〟ことで
後に自分の命が救われたのだ
そして
リヴァイくんの選択により
生き延びたアルミンは22巻で
〝海を見る〟という
夢を叶えられるのです
あれ?
結局よく自己啓発系の本に書かれている
〝夢を語ると夢が叶う〟って
ホントだったじゃんとなったとこで
今回は終わりですw
ただし!
現実はそんな甘くないけどねと
皮肉たっぷりの言葉を添えてw