ワリエワとジークとこども家庭庁と〜子どもは邪悪になれるのか?〜

最近少しテレビを見るようになったが、
スポーツにもオリンピックにも興味がない

そんな私の耳にもワリエワのニュースは
入ってきた

たぶんまだ本番前だと思うけど
インタビューに
『感情がありません、、、
 精神的に疲れました』と答えていたのが
すごく記憶に残った

まだ15歳の子どもにそんな事を言わせる
オリンピックってなんだろう?

その後、彼女に興味を持ち
ショートプログラムを見た
ワリエワの演技は初めて見たけど
可愛らしくスタイルもいい
ジャンプの良さとかは語れないけど
体の柔軟さや手足の長さ
スピンはとても綺麗だったし
表現力もあったと思う

結果、高得点で1位となった

その頃、彼女が3位以内になったら
メダル授与式をやらないと発表され
さらに、非難が強まった

世界中の大人や元オリンピック選手など
影響力のある人間が匿名とはいえ誰でもが
わかる形でSNSに投稿して
それを大人が報道する
大人で公に発言する存在である解説者も
彼女の演技の解説をボイコット

『薬で天才といわれているだけ』 

とすら言うバカな大人すら現れる

まぁ、落ち着け
私が同じ薬を10倍飲んでも
ジャンプはおろか滑ることすら出来ない
薬以前に、そこに
才能と努力(練習)は確実にある
これは断言できる
薬飲んだだけでドーピングしただけで
やったことないことできるワケない

感情がなく、精神的に疲れた状態で
むしろ、よくショートを滑り高得点を
取れたと思うと
子どもながらに国を代表する選手として
自覚と強い責任感をもっている子なんだと
感心させられる

日本のメダルへの期待と
ロシアのメダルへの重責は比べもにならない
国家レベル、政治レベルのものだ

そんな彼女に次に重くのしかかってきたのは
彼女が最終的にメダルを取れば
メダルのセレモニーをしないというもの
彼女だけでなく銀、銅を取った選手にも影響する
実際にそうなった場合の批判は
さらに加熱するだろうことくらいは
15歳の子どもでも肌で感じていただろう

現にワリエワは、

『少なくとも、
 これで表彰式が中止されないだろう』

とコーチに語っている

なんて切ない。。。
希望に溢れる舞台になるはずの場で
自身でもありえない演技をした
ショックもあるだろうに
表彰式が中止されないことを発言した
如何にそのことが
精神的重圧になっていたか伺える

『要保護』
15才で才能も未来もあるワリエワを
本当の意味で〝保護〟するのであれば
このような世界的なブーイングの中
競技に出場させるべきでなかった
人々の誹謗中傷の矢面に
子どもを立たすべきでなかったと思う

今回、出場できなくても4年後でも19才
ここまで精神的に追い詰める必要はなかった

スポーツ仲裁裁判書は
出場を認めたことについて
出場機会を失うことは〝回復不能な損失〟と
文章で明らかにしたらしいが馬鹿げている
寧ろ、世界中の誹謗中傷の的にされることこそ
15歳の子どもには〝回復不能な損失〟だ

大人がちゃんと配慮すべきだと思う

15才、、、
自分の意志である程度のことが
できるようになってからまだ10年くらいなもの
社会との接点や社会的成熟度もまだない
善悪の分別とかそう言う問題でなく
コーチや周りのサポートする大人に対し
自分の意思と違っても抗える術があるのか疑問

なんとなく流していたワイドショーが
世界アンチドーピング機構の会長の会見として

『子どものドーピングは邪悪であり
 許されるべきではない』

と伝えていてギョッとした

後に、テレビの報道、日本語訳の問題と
理解してちょっとホッとした

『子どもへのドーピングは邪悪であり
 関係した大人は許されるべきでない』

つまり、子どものドーピングの裏には
大人がいて、その大人を非難した言葉

一瞬、ワリエワ本人を痛烈に批判している
ように感じる。。。。

たくさんの批判にさらされれば
全てが批判的に感じてしまう
当事者なら尚更だろう

大人が不用意に避難すれば
こどもも当然に避難して良いものと判断する
親が批判すれば、その子どもも批判する
だって絶対的に正しいはずの大人が言うんだから
子どもにとって大人の影響は絶大だ

自分を保護する対象(親、教師、コーチ)に対し
本能的に服従してしまうのが子ども
嫌われたら生きてはいけないし
大人には、力でも言論でも敵わないのだから

虐待された子どもが
親に『転んだと言え』と言われたら
そうでないと知っていても『転んだ』言う

新しくできる予定のこども家庭庁に
児童虐待の調査・勧告のための第三者機関を
新設することに対し
『誤った子ども中心主義にならないか』という
異論が出ているらしい

そのニュースを見て、、、

いくら対処する機関があったからといって
虐待されている子ども自身が親を告発するなんて
ほぼ無理じゃん、、、ジークでもあるまいし
と思った

しかし!

ジークは両親を告発したが
心を寄せ信頼する大人であるクサヴァーさんが
両親を告発することを提案し説得したからで
ジークは両親と共に反逆者として罰せられ
終身刑である楽園送りになり巨人となる覚悟を
一度はしてクサヴァーさんに別れを告げている

子どもにとって世界はまだまだ狭く
親・家庭や学校など限られた世界が全てで
生まれてきた環境を自分の力で
変えられるなど思いもせずに
運命と当然のように受け入れてしまう

良識ある大人が手を差し伸べて
子どもの取り巻く世界や
考えを広げてあげなくては
いけないのだと私は思っている

そして、大人は都合よく
子ども扱いしたり
大人と同等に扱ったりせずに
未熟な部分も加味しつつ
子どもの権利を子ども自身を尊重し保護して
その成長を見守るべきだと思う