26.「難しい」という言葉の扱い方
仕事をしている中でたびたび使ったり聞いたりする言葉の1つとして「難しい」という言葉があります。この言葉には、そのシチュエーションごとに“遠回しな否定”の意味、“諦め”の意味、“言い訳”の意味、そして、“鼓舞”の意味を表していると私は感じています。その中で今日は、私が組織のリーダーが意識すべきと考えている「難しい」の使い方について書いていきます。
まずそれぞれの意味について、私の解釈を述べておきます。
“遠回しの否定”は、何か依頼を受けた時に使いがちな言葉です。「うーん。それは難しいなぁ。」といった具合で、「無理です」とまではいかなくても遠回しに無理と言っているような感じです。
“諦め”は、何かが起こった後、特にそれを成功できなかったときに、「難しかったから仕方がない」という趣旨で使いがちな言葉です。
“言い訳”は、何かが起きる前も後も使います。前であれば「難しいからできるかわからない」、後であれば「難しかったからできなくても仕方がない」といった感じです。“諦め”の時と近いものがありますね。
そして“鼓舞”は、何かに取り組む前に投げかける言葉です。一般的には「難しいと思うが頑張ってほしい」という風に使われるのではないでしょうか。
「難しい」を使うには、姿勢
組織のリーダーがメンバーに「難しい」という言葉を使うことは、僕は気を付けるべきだと思っています。なぜなら、リーダーの思惑とは違って伝わることがあり得るからです。例えば、「難しいと思うが頑張ってほしい」という言い方をしたとしましょう。するとメンバーには「難しいならできなくても仕方ないな」と解釈されると思います。そして往々にして「難しい」という言葉を発しているときは暗い表情、もしくは半分諦めた半笑いの表情になっているはずです。
とはいえ、私もよく「難しい」という言葉を使いますが、使うときに意識していることが2つあります。1つは“笑顔”。相手に自信を与えるような表情です。言っている自分自身が(仮に本当は自信がなかったとしても)自信満々であるような態度で臨むことです。もう1つは“使い方”です。私が「難しい」という言葉を使うのは複数人で何かに取り組んでいるときですが、「大丈夫。今難しいことをしているから!」といった後に、ちゃんとバックアップする旨、何としてもみんなで解決・達成しよう、という趣旨の話につなげます(「これはできる人の方が少ないから落ち込まなくていい、慌てず乗り越えていこう」といった具合です)。そうすると、「できなくて焦っていた自分がいたが、そう言ってもらえて力が出た」といったレスポンスが返ってくるようになりました。
結局のところ、「難しい」には基本的に“ネガティブ”の意味の方が大きいため、この言葉を使うには、笑顔だったり言い手の自信といったような他の要素を組み合わせて使うといった配慮をしなければ飛躍する組織にはならない。ただこのネガティブな意味を持つ言葉をうまく扱えれば、メンバーの士気を向上することができるというのが私の考えでした。何かの役に立つ内容になっていれば幸いです。