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とっても、だいすき

大山のぶ代さんが亡くなった。

子どもの頃、毎週テレビの前に座って楽しみにしていた『ドラえもん』。
その独特のフォルムや「タケコプター」にワクワクし、何よりもドラえもんの声を聞くと、安心感が広がる。
大山のぶ代さんが演じるドラえもんは、私にとっては友達、兄弟、そして時に「あたたかい目」で見守る母のような存在だった。

困った時にはいつも「しょうがないなぁ、のび太くんは…」と言いながらも、手を差し伸べてくれる。
どんなにダメなのび太くんでも、見捨てず、見離さず、存在を否定せず、いつも信じ、味方でいてくれる。


社会人になってからも、ドラえもんへの愛は変わらなかった。
一人暮らしで余裕はなかったが、ボーナスで数万円もするドラえもんのDVDボックスセットの初回盤を大人買いした。今でも一年に一回は、そのDVDを全部見直す。

小学生の頃は、毎年のように父が私と妹を映画館に連れて行ってくれた。
映画館に観に行くと、毎回貰えるドラえもんのおもちゃが嬉しかったのを今でも覚えている。
ドラえもんの思い出は、父との思い出でもある。

その思い出もあって、いつか自分に子どもが生まれたら一緒に見るんだと、ずっと夢見ていた。
だから、DVDボックスは引っ越しのたびに大切に運び、結婚した時も嫁入り道具として持って行った。

時が経ってついに子どもが生まれ、その夢が叶った瞬間、感動はひとしおだった。今では、わが子にとってのドラえもんは、私と同じく大山のぶ代さんが演じたあのドラえもんだ。


大人になってからは、のび太を支え、あたたかい目で見守るドラえもんの優しさと包容力がさらに沁みるようになった。
「どんな人と結婚したい?」という女子会あるあるの質問には、第一声「ドラえもんみたいな人」と答えていた。

もちろん、本気で受け取る人はいない。
「丸い人が好きなの?」と笑われる。
私も半分ノリなのだが、本心としては、あの安心感と包容力、無条件に受け入れ、夢を叶えてくれるその存在が、私の理想像そのものだ。


「ドラえもん」は大人にも響くセリフがある。
むしろ大人だからこそ、さらに響くのかもしれない。

映画『ドラえもん のび太と銀河超特急』で、のび太の印象的なセリフがある。

「ねぇ、みんな。やっとおもしろくなってきたじゃない。ぼくたちは、いつもこんな冒険をしてきたんじゃなかった?なんども戦い、そのたびに乗り越えてきたじゃない。今度も逃げないでぶつかっていこうよ。」

映画『ドラえもん のび太と銀河超特急』より


困難に直面して落ち込んでいる時、私の心の中ののび太がそう語りかける。
「やっと面白くなってきたじゃない!何度も戦い、その度に乗り越えてきたじゃない!」と。
そうだった、いつもそれなりに乗り越えてきたな、と思い出し、勇気をもらえるのだ。


これからもずっと、大山のぶ代さんへの感謝の気持ちは変わらない。
彼女のドラえもんは、私にとって特別で、かけがえのない存在。
大山のぶ代さんの声と「ドラえもん」は、これからもずっと私の心の中で生き続ける。

心よりご冥福をお祈りします。


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