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濃いめです

私の血は、「濃いめ」らしい。
ヘモグロビンの数値が一般的な女性よりも高く、健康診断では血液検査の結果に時々「H」が付くことがある。

なぜこんなに濃いのか。
どうやら母方の祖父からの遺伝らしい。
祖父も生前、血液検査のたびに「ヘモグロビンが高いですね」とお医者さんに言われていたとか。

スキンヘッドでツルツル頭の祖父は少し怒りっぽかった。
孫と犬には優しかったが、それ以外の人には厳しい一面があった。

その印象もあって、ある時お医者さんに「ヘモグロビンが高いって、血の気が多いということですか?」と尋ねたことがある。
「それは関係ありませんよ」と笑われてしまった。
どうやら短気とヘモグロビンの濃さは無関係らしい…とはいえ、私も結構せっかちなところがある。

そんなわけで、この「濃いめな血液」を持つ私は、ある使命を自分に課している。
それは「献血」だ。
先祖から受け継いだこの濃い血、どうせなら役立ててもらいたい。

本日もその使命を果たすため、数ヶ月ぶりの献血ルームへ向かう。

まずは問診。
パソコンで前回の血液検査の結果を見ていたおじいちゃんのお医者さんに「いい血だねぇ!」と驚かれる。「女性はヘモグロビンの数値によっては献血できない人もいるんだけど、あなたは大丈夫そうだね」とにっこり微笑まれた。
「遺伝なんです。よく男性並みのヘモグロビンですね、と言われます」といつもの返答とすると、さらに笑われた。

そして、今日のヘモグロビン濃度チェック。
指先からパチンと血を採られ、看護師さんが数値を確認。OKサインが出た。
今日のヘモグロビンは「14」らしい。基準値内なので、ちょっと安心。
遺伝とはいえ、血液検査の結果に「H」が出ると毎回少し不安になる。

サクッと献血を終え、私のお楽しみはドリンクバー。
無料で飲み放題、お菓子やアイスもある。
のんびり過ごしながら待機時間を満喫する。
お土産がもらえたり、ポイントを貯めるとグッズがもらえたり、定期的に血液の状態も把握できて、何より誰かの役に立てるかもしれないという。
だから、献血はやめられない。

ただ「男性並みの数値ですね」と言われて喜ぶ女性は、私を含め、多くない気がする。
褒められているのかどうかはともかく、ヘモグロビンの高さもこうして活かせるなら悪くない。

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