私のマキマさん
車に乗る時、グリーン車に乗る時、何かにつけてはよくチェンソーマンのマキマさんのモノマネをして腕をついてみる。
マキマさんは私の憧れなのだ。憧れというか、偶像だ。
余裕があって、底が見えなくて、人を惑わせる魅力があって。吸い込まれそうな力がある。さすがは支配の悪魔。魔女だ。
今まで自分の中にぼやぼやとした理想の塊のようなものがあって、それが具現化されたものの一つがマキマさんなのだ。
あの動きが、あの声が、あの瞳が。ひとつひとつが「魔女」であり悪魔である。
マキマさんの真似をしてみると、世界がゆっくり回っているように感じられる。
周囲が切り取られて物語のようになる。今は暑すぎてフィクションの世界の物語を保ってられるわけない。でも涼しい車内ならなんとなくできる。
一瞬だけでも鬱の辛さと症状を忘れたい。そのために誰かに成りきろうとしている。物語に入り込むことによって現実から辛さを切り離そうとする。
彼女は私にとってそのための道具にすぎないのだろうか。
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