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コラボして早朝に目が覚めた話。
まただ。またこんな時間に目が覚めた。朝5時である。新聞配達もまだ来ないし、空はまだ暗いままだし、始発バスだって来ない。そんな時間にのこのこと起きだしてしまった。
普段なら二度寝を決め込んで布団にもぐりこむのだが、今日はどうしても寝られない。目が冴えるのは、あわてんぼうの花粉症のせいだけではないようだ。昨日の出来事を思い出してワクワクが止まらないのだ。
「それを書き留めておきなさい」
何かの神様から言われている気分だ。そう思いパソコンを立ち上げる。いつも通りnoteを開く。ついでにYouTubeを開き、手ごろなBGMに使えそうな動画を流す。文章を書く。それだけでひやむぎには至高の時間なのだ。
ひやむぎは音声配信アプリSpoonの配信者である。といってもまだまだファンも少なく認知度も低いので、地方ローカル局の中でも群を抜いて認知度の低い番組とでも言っておこう。
Spoonの配信の中でもその大半を占めるのが、LIVE配信だ。配信者のことをSpoonでは「枠主」と呼び、それぞれが雑談や恋バナ、弾き語りなど自分のスタイルで「枠」を開く。
ひやむぎの枠は通称「五七五枠」と呼ばれており、その名の通り「五七五」を詠んでいく枠だ。2月14日は「バレンタインの五七五」だったし、2月21日は「お休みについて五七五」だった。
お題に沿って詠みあういわば句会のような配信。spoonにいる枠主の数は多いとはいえ、こんなことをするのはおそらく自分だけだろう。だからこそいろいろやってみたくなる。ただ詠むだけじゃなくて大賞作品のノミネートをしてみたり、Twitterで賞状を送ってみたり、noteに傑作選を作ってみたり。やっているうちにワクワクが抑えきれなくなる時がある。仕事ではないが、こういうことを自分は待ち望んでいたんだ。
なんて考えているうちに時刻は5:43。始発バスのエンジン音で現実に戻った。戻った瞬間に眼球が花粉大魔王との臨戦態勢に入りかけたので、目薬でなだめすかす。まったく厄介な時期になった。
起きるといつも自分の「枠」について考えている。次の枠のお題、番組構成、傑作選の作り方。そして、マネージャーの二人のこと。時間を忘れるほどに考え事をするのはいつ以来か。
五七五枠だけでは飽き足らず始めたらコラボ。リスナーの誰かがコラボ申請をして突如始まるトークセッション。初めてで、しどろもどろになりながら感想した。いつも一人で話している枠に、出演者がいる。それだけで枠の雰囲気はいくらでも変わるし、賑やかになる。
楽しい。
やみちはなぜかガチガチに緊張しているし、TOMOKUNはめちゃめちゃ褒めてくれた。専マネの禊(みそぎ)は、色んな人にいじられるようになるほど楽しんでくれていた。
というかいつの間にか疑惑を呼んでいる気がしてならない。だってさ、コラボに上がった瞬間に、
「ひやむぎさん、大好きです」
これは反則でしょ?こんなに幸せなことあります?
「てめぇ、なにかわいい子からそんなセリフ言われたからって鼻の下伸ばしてやがる。夢を見るのも大概にしろ!恥を知れ、畜生め!」
というリスナー(主に男性)の怒号が聞こえてきそうだが、もう少しだけお付き合い願いたい。
枠主になって2か月。まさかこんなにも温かく接してくれるリスナーが僕を囲んでくれるなんて思っていなかった。アンビリバボーである。ビート武もきっと番組で喜んでくれるだろう。そんなくらい自分には信じられないことだ。
でも一つだけ言いたい。
僕の方がみそぎのことは大好きだし、MITも大好きだし、同じだけリスナーのみんなが大好きだ。
最近の枠の構成はどうか。いろいろと挑戦しているうちに変な方向に向かっていはしないか。リスナーの楽しさを度外視した自己満足な枠になってはいまいか。最近の考え事はそこだ。
「じゃあ、結局のところ自分の枠をどうしたいの?」
そう聞かれると、迷いなくこう答える。
「みんなが仲良くなれる枠だよ。」