長男の異変
次男が生まれて、2歳11か月で「おにいちゃん」になった長男。彼にはプレッシャーが次々襲いかかった。
「おにいちゃんなんだから」「もうすぐ3歳になるんだから」「おむつ卒業してパンツマンになろう」…幼い彼には重圧だったろう。
次男がお腹にいた頃から、いろんな人に「上の子のケアをしっかりしてね」と言われた。次男が寝ている間は、極力長男の相手をして自分なりに長男への愛情表現をしていたつもりだ。それでも「もっと、もっと」と長男は甘えてくる。
ある日長男が話したことばが気にかかった。「おかあかあかあ、さーん。ぼぼぼぼく、くね、おな、な、なかすいた、たの、のー」
これは、吃音?なんで?ここ2~3か月でいろんなことがあって長男が受け止めきれなくなったから?
私は悩んで悩んで悩みまくった。それとはうらはらに、夫や義母が次男の話し方をからかった。義母には言えなかったが、夫には「長男の話し方をからかってはいけない。長男の心の中に抱えているものが、吃音として表れているのではないか」と泣きながら抗議した。これに驚いた夫は、彼の姉に相談したようだった。
なんとか長男の吃音を直したい、と、子育て支援のサークルを担当していた保育士さんに相談したり、市の「子育て巡回相談」というものに申し込んだりしたが、解決しなかった。が、巡回相談を申し込んだときに受付をしてくれた職員の方が、「ことばが急激に増える時期だし、あまり悩まないで長い目で見てあげて」と言ってくれたのが心に残った。
3歳児健診のときや、幼稚園の入園申込みの面接のときにも長男の吃音について気になっていることを話したが、前出の職員さんと同じようなことを言われた。
長男が幼稚園に入園してしばらくして、話し方がスムーズになっていることに気が付いた。いつのまにか吃音が治っていたのだ。幼稚園で毎日お友達や先生とたくさん喋っていろいろ刺激を受けて、話し方が上達したのだろう。
今になって思う。長男のあれは、吃音ではなく、「話したいことがたくさんあるのに技術が伴わないせいで、ことばが渋滞を起こした状態」だったのではないかと。
小さいお子さんをお持ちで、お子さんの吃音に悩んでいる方がいたら、あまり悩みすぎないでほしい。もしかしたら、私の長男のように「ことばの渋滞」なのかもしれないので、構えずに、長い目で見てあげるのも良いのではと思う。
現在、高校生になった長男は、親とはあまり話したがらないが、気が乗るとそれはそれは流暢に喋るようになった。それはもう、吃音に悩んだのがばかばかしく思えるぐらいに。
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