立花 緋和子(Hiwako Tachibana)

24歳 小説家志望 Waseda Univ. HSS→???

立花 緋和子(Hiwako Tachibana)

24歳 小説家志望 Waseda Univ. HSS→???

最近の記事

夏が急に殺された件について

夏が急に殺された。 あれほど世間を阿鼻叫喚に陥れ、"この世をば我が世とぞ思う云々"と言いたいばかりに、でんと居座った今年の夏が、あっけなく殺された。 9月20日 金曜日。 夜明けに訪れた豪雨が、夏を綺麗さっぱり洗い流してしまった。 それ以来、肌を焦がすような日差しは刃を潜めた。夕方に外に出れば、昼間の温かな空気は一切存在しておらず、ただただ身を震わせたくなる涼しさである。 夏よ。あまりにあっけなくはないか。 先週はまだ真夏日だったではないか。 初めて日比谷野音でライブ

    • 「助詞はなくなってしまうのか?」無くなりそうな助詞ランキング!

      「10年後、20年後にはねぇ、私は助詞がなくなってると思うんですよ」 大学2年生の時に、イタリア語を教えていただいた先生がそう言っていた。 大胆なことを言うなぁと思うと同時に、「待てよ、本当にそうなるかもしれない」と感じた。 それはSNSのちょっとしたつぶやきを見れば明らかである。助詞を飛ばさずきっちりと書いている方が珍しいかもしれない。それに、日々のちょっとした会話に目をやると「私やるから」「それ取って」など、助詞がないものばかりではなかろうか。 助詞は将来無くなる。

      • 蚊箱

        しつこかった夏もようやく過ぎ去ろうとしているので、一夏の思い出を書き残しておく。 私が中学生のときだから、もう10年も前になるだろうか。 3つ下の弟と、「蚊箱」なるものを作っていた。 東北の片田舎にある実家。 夏休みに、私たち兄弟は2人並んで勉強するのが常であった。 クーラーや扇風機がない部屋であったし、あの時代は死ぬほど暑くもなかったわけで、部屋の窓を開けて風を呼び込むことで涼んでいたのである。 窓を開けているとどうなるか。田舎に住んでいる人なら、いや、もしかしたら住

        • 【エッセイ】焼いたししゃも、上から食べるか、下から食べるか

          某映画のタイトルをもじったのでよくわからなくなったが、つまりは、ししゃもを頭から食べるかしっぽから食べるかという問題である。 好きな方から食べろと言われればそれまでなのだが、この問題はそう簡単に済まされるものではない。 なぜなら、ししゃもの食べ方一つで、得られる能力が変わってくるからだ。 ご存じの方も多いだろうが、ししゃもの食べ方には、あるジンクスがある。 頭から食べると頭が良くなる、しっぽから食べると足が速くなる、というものだ。 頭と決めて食べる人もいれば、逆もまた

        夏が急に殺された件について

          『冬に咲く光の花』 詩

          私は灯り 1500万個の電球の一つにすぎない、ただの灯り 花が死に絶えた季節に、冷たい花弁をまとって憧れた花になりきる 所詮、私は電気のなれの果て 野に咲く花にはなれぬけれど、暗く長い冬をそっと照らし出す 花のように儚く、あたたかく その身を懸命に輝かせて 私は花 冬に咲く光の花

          『冬に咲く光の花』 詩

          詩 『花には花の切なさがある』

          花は夏の主役ぶりをうらやむ。 夏は花の美しさにしわを寄せる。 私はあの子の清らかさに唇を噛む。 あの子は私の完璧さに口を閉ざす。 本当の姿など、私にはわからない。 私のことしかわからない。 花に花の切なさがある。 夏には夏の寂しさがある。 私には私のやるせなさがある。 あの子にはあの子の苦しみがある。

          詩 『花には花の切なさがある』

          『彼岸と此岸』 -意味不明で怖い小説②-

          そよ風に吹かれ、草花が触れ合う音。とうとうと静かに流れる水のせせらぎ。 その心地よさにたまらず目を覚まして起き上がると、あたりにはこの世のものとは思えない美しい景色が広がっていた。 「ここは……」 左右に顔を動かすと地の果てまで花畑が続いていた。人もちらほら見える。なぜかぼんやりと生気のないように佇んでいた。視線を前に向けると、右から左へ川が流れていた。水の澄んだ綺麗な川だった。 どこか見覚えのある場所。自分で見たことはないけれども、なぜか知っている場所。それがどこであるか

          『彼岸と此岸』 -意味不明で怖い小説②-

          「間違えました〜」 -意味不明で怖い小説-

          宵の刻の新橋はもう賑わっていた。 ビルというビルから仕事終わりのサラリーマンがこぞって出てきている。 皆、一息ついたような晴れ晴れした顔だ。 まだ水曜だというのに、大方飲みに行くのだろう。一様に駅の方へ向かっていくようだった。 その様子をこじゃれたオフィスビルの5階から眺めていると、やはり良い気分はしない。 窓から目を離してフロアを見ると、100人は働けるようなだだっ広い職場に珍しく誰も残っていなかった。 「最近の若いやつらは、やたらプライベート重視だからな。ワークライフ

          「間違えました〜」 -意味不明で怖い小説-

          うつくしいものを美しいと思えるあなたのこころがうつくしい

          10月、大学時代に4年間過ごした東京に半年ぶりに赴いた。 今回からは、"旅行"という形で。 新しく買ったミラーレスカメラを片手に、高揚感を覚えながら色々なところへ足を運んだ。 大学のキャンパスや、よく飲みに行った高田馬場、色々と思い入れのある浅草。 限られた日数で、できるだけ多くの思い出を回収したかった。 そして、六本木。 正直、六本木は大学時代に数えるほどしか来たことがない。 森タワーの中にあるApple社に見学に行ったり、クリスマスのイルミネーションを見にきたり。 思

          うつくしいものを美しいと思えるあなたのこころがうつくしい

          November - エッセイ

          また11月がきてしまった。 カレンダーをめくっても、「もう8月か、早いな」と、時のうつろいをおざなりに感じるばかりだが、11月は違う。わずかに特別な感慨が含まれるのだ。 23回目の誕生月を迎えてしまった。 ハロウィンで盛り上がる10月と、クリスマスや年の瀬といった大きな催しがある12月に挟まれ、11月はどこかアイデンティティーが薄いように思える。 事実、11月は秋か冬かも曖昧だ。 中学校のとき、新しいクラスで親睦を深めようとフルーツバスケットをした際、 「秋生まれの人!」

          浅草に今も残る爪痕 

          おのぼりさんが必ずといっていいほど訪れるのが浅草である。 地方から修学旅行できたのか、同じ制服を着た中学生の一団や、ツアーガイドさんの持つ小さな旗にいそいそとついていくご年配の方々。 コロナ禍の今では、誰がどうみても観光客のオーラを出している人は以前より少なくなったが、東京で最も有名な観光名所の一つとしての立ち位置に揺らぎはないように思われる。 なぜ、これほどまでに観光客を惹きつけるのか。その理由は人それぞれであろうが、浅草にいかなければ東京を観光したことにはならない、と

          ハエに好かれりゃ万々歳

          私、立花緋和子、22歳。 花も羨むいい女。黒髪の似合う大和撫子。 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はセイタカアワダチソウ。 道を歩けば誰もが二度見し、カラスも上から贈り物を落とす。 このとおり、どこからどう見てもいい女のはずなのだが、それに似つかわしくない大きな悩みを抱えている。生まれてこのかた、いまだに背負い続けている深刻な悩みである。 口に出すのも恥ずかしい。これを言ったら、いよいよ嫁のもらい手がなくなるのではないか。華の22歳女性が打ち明けてよい悩みだとは到底思えぬが、

          はじめまして

          はじめまして。 立花 緋和子(たちばな ひわこ)と申します。 小説家志望の22歳です。 これまで小説家になりたくて、13歳の頃からファンタジー小説の公募に応募するなどしてきましたが、大学の同期に長編を書くだけではなく、短い小説、文章を少しずつ書いて載せてみたら?と言われ、今回noteを始めることにしました。 日々思ったこと、エッセイ、短い小説などを載せていけたらと思っていますので、よろしくお願いします! 好きな小説家は太宰治です。自分自身の弱さをしっかり見つめているとこ