「音読」で表現力・教養・生活を豊かに〜国語の基礎基本②〜
今回は、「国語の基礎基本②」、音読についてです!
音読って・・・?
音読は、「読む」の超基本事項です。「音読は意味がない」、と言われるのを聞いたこともありますが、私は、低学年では特に音読は大事だと思っています。なぜなら、声に出して読むことで、「発声」「滑舌」「発音」が練習できますし、ただ目で追う「視覚」だけでなく、しっかり発声して音読をすることで、「聴覚」も活用しながら、姿勢、声量、スピード、表情、声音、強弱、音量、なども意識し、「読む」ことになります。これは、表現活動としては結構な要素が含まれていると思います。
また、「読む」「読み取る」という視点からすると、「目で追い」、「抜けや漏れがなく」、「言語や文章をまとまりで捉え、読む」(途切れずにスムーズに)ことを練習することができます。これができるようにならなければ、「読む」ことは難しいです。
読書は、学びの王道です。しかし、「読む」ことができなければ、学びの質は落ちます。その前に、読書意欲が湧きません。
音読の指導の具体
言語の専門家によると、低学年のうちは、「目で言葉や文章を追い、読む」ことは発達段階としてまだ難しいんだそうです。
ですから、教師が短く文節を区切って読み、それを真似させることで、読むことを練習させるのが良いそうです。
私も、低学年の国語の「読み」はそうしています。何度も何度も練習します。そして、子どもたちが暗唱できるくらい読ませます。どのくらいの長さなら、スムーズに真似して読めるか、その都度探りながら、区切る場所を変えるようにしています。
そして、音読中も座席の間をぐるぐる回りながら、全員の声を聞くようにします。一人一人、どれぐらい読めているか、確認するのです。
たどたどしい読みの子がいれば、そこで立ち止まり、すぐ横で読んであげます。そして一緒に読みます。
これを繰り返し行うことで、一年生の3学期には、全員が、教科書の教材を大きな声でスラスラ読めるようになりました。
音読の効果とは?
音読の効果としては、先ほど挙げた
・「発声」ができるようになる
・「滑舌」がよくハキハキ話せるようになる
・正しい「発音」を覚える
・「読むときの姿勢」が良くなる
・声の大きさを調整でき、強弱をつけられるようになる、つまり、抑揚がつけられるようになる
等、多くの効果が挙げられます。
これは、表現力に他なりません。めちゃくちゃ大事なものばかりです。
そして、密かに私が最も重視していることは、「書き言葉」の習得です。「書き言葉」のみならず、美しい日本語表現を覚えられるっていうことなんです。
一年生の光村の国語の教科書には、初めの方で「あいうえお」という詩が出てきます。「あかるい あさひだ あいうえお」から始まります。一度は聞いたことがあるでしょう。
朝日を見たときに、「お日様出た~すご~い」というのは「話し言葉」です。「あかるい あさひだ」とはなかなか言わないです。しかし、「すご~い」だけでは、語彙が貧困になることは明らかです。
「うきもに こえびも およいでる」まず「浮き藻」という言葉を知らないですし、使わないと思います。泳ぐ「小えび」を見たことがない子もい多いでしょう。「浮藻に小えびが泳ぐ」というような表現は、なかなか一年生の話し言葉で話す経験はないでしょう。
これらの、普段使わない言葉たちを、音読によって暗唱するまでなじませることで、語彙は確実に豊かになります。
「話し言葉」と「書き言葉」
そして、「書き言葉」と「話し言葉」は全然違います。「書き言葉」を覚えないことには、「書く」際に、何を書いていいのか、どう書いていいのかわからなくなります。
さらに令和の子供たちの話し言葉は独特です。平成育ちの親たちの話し言葉を聴きながら育ち、Z世代のユーチューバーの言葉遣いやオンラインゲーム用語を合体させて、新しい令和の「話し言葉」になっています。「話し言葉」をそのまま文章に書く子も多いですので、それを「書き言葉」に修正していくことの難しさといったらありません。
一年生のはじめから、音読になれることにより、子どもたちの言語表現が変わります。「話し言葉」も変わります。TPOに応じた言葉遣いができるようになるのです。これは、超重要な「教養」です。
「音読」は、「話す」ことに直結します。綺麗な言葉遣いを身につけさせたいものです。
「音読」を一年生のはじめから習慣化させることによる効果が大きいことは、お分かりいただけたのではないでしょうか。
教師の音読!
そして、音読の指導をする際、もっとも大事なのは、それを教える教師の音読です。
教師の範読が、「発声」「滑舌」「発音」が正しく、姿勢、声量、スピード、表情、声音、強弱、音量を工夫していなければなりません。教師の表現力が問われますね。
そんな風に言うと、「む、難しそう・・・」と思われるかもしれませんが、はじめから上手に読む必要はないのです。
ただ、それらを意識し、先生が一生懸命に読む姿勢を見せると言うことが、とっても大事だと思います。
先生が、恥ずかしがらずに、堂々と、楽しく読む姿を見せることで、子どもたちにも読むことの楽しさはダイレクトに伝わります。
それは、音読ならではなのでないでしょうか。読み聞かせにも、同じことが言えますね。
「音読」→「読書」で、表現力、語彙、教養、生活を豊かに。
「読書」って、めちゃくちゃ楽しい!の、入口が、「音読」だと、私は思っています。
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