見出し画像

【番外編】日本語の連体節について考える①

先日、放送大学の「日本語と世界の諸言語の対照研究」の講義を受講しました。あらためて日本語の表現について考えるきっかけになったので、先日の講義を振り返りながら、何回かにわけて更新していこうと思います。

連体節とは

昨日私が購入した本はとても面白かった。

「昨日購入した本」は、「昨日購入した」という節が、名詞「本」を修飾して、成立したものになっています。このように、名詞を修飾する従属節のことを指します。(益岡1997:48)

一方、英語の場合はどうかというと、

A relative clause(RC) is a subordinate clause which delimits the reference of an NP(Noun Phrase) by specifying the role of the referent of that NP in the situation described dy the RC

Andrews 2007:206

と定義されています。英語がわからんとなんのこっちゃって感じですが、ここで言われているのは、連体節を形成するときに、連体節内での役割を明示する要素が指定される、ということが示されています。
これは何かというと、いわゆる「関係代名詞」と言われるものが、英語の連体節(関係節といったほうがわかりやすいかも)では挿入されるよ、ということ。(厳密にいうと省略されることもありますが)

日)昨日私が購入した本
英)The book which I bought yesterday

のように、此処から先は従属節ですよ~というマークが英語の場合は挿入されます。
英語の授業で、関係代名詞なんのこっちゃってなったのを思い出しますが、日本語にはそういうルールがないので、当たり前といえば当たり前なんですよね。

この連体節のマークのようなもの、世界的にみると、日本語のように現れないもの、英語のようにマークとして文中に存在するもの、またヘブライ語のように、連体節のマークがあるのにもかかわらず、従属節にその名残が残るもの、など、いろんなパターンがあるそうです。

そしてこの連体節、文中のどの格でもできるのかというと、これも言語によってばらつきがあるとのこと。次回は、どういうばらつきがあるのかを記していこうと思います。

参考文献:
• Andrews, Avery D. (2007) Relative clauses. In: Timothy Shopen (ed.) Language typology and syntactic description (second edition), volume 2:  Complex constructions, 206-236. Cambridge : Cambridge University Press.
• 益岡隆志 (1997) 「文法の基礎概念1:構造的・形態的概念」益岡隆志・仁田義雄・郡司隆男・金水敏『文法』岩波講座言語の科学5, 41-78.東京:岩波書店.

いいなと思ったら応援しよう!