波多野爽波俳句全集を読む④
第四句集「一筆」は、昭和60年から昭和63年までの「青」に発表した句から375句抽いた句集。
あとがきに、
とあり、これを踏まえながら、この句集で気になった句を抽いていきます。
個人的に好きだった句、客観的な「写生」、ものやこともそうなのですが、人の「写生」が多いと改めて気が付きました。「写生」における取り合わせの妙なんかも。
客観的なものこと「写生」句、「剪定の脚」「桐の木を」あたり
人の「写生」句では、「胸の裡」「レース来て」あたり。
「写生」における取り合わせの妙だと、「ソース瓶」「五山の火」「玩具から」の句。特に、
この句は、五山の火にグランドピアノが焚べてあるようで、衝撃的な一句でした。この前後の句群に、
とあり、音楽と五山の送り火が一体となった連作となっていて、非常に心惹かれました。おそらく「青」にこの連作が掲載されていると思うので、実際にどのような連作だったのか、確認したくなりました。
また、
の句は、波多野爽波の代表句の一つですが、この句は、
おそらく正岡子規のこの句をうけたものなのかなと。正岡子規の生涯をかんがえると、この頃から波多野爽波の体調があまり思わしくなかったのかなとかも想像してしまいます。(このあたりも「青」を読むと、当時の心境がわかるのかなと思っています。)
俳句雑誌「青」は、日本近代文学館にあるという情報を頂いたので、近いうちに訪問しようかと思っています。(つづく)
関連ブログ
ちーかまさんによる波多野爽波俳句全集の投稿は下記より御覧ください。