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書評_自分のどのアンテナにビビッとくるかお楽しみ__不老不死の研究

【書評】自分のどのアンテナにビビッとくるかお楽しみ。『不老不死の研究』
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どんな功績を残した人でも、寄る年波には勝てない。だからこそ、宇宙規模で見れば儚い命を大小色とりどりの花火のようにどう咲かせるかが人生の醍醐味だ。とはいえ人生はいわゆる健康寿命が長ければ長いほど、得るもの、周りに与えるものも大きいだろう。花火の火が燃え尽きる時間のように。
本書は「不老不死」についての堀江貴文氏及び予防医療普及協会の著書である。現在最先端の研究を、分かりやすくかつ真っ向から、そして様々な方向から網羅したものとなっている。
少し内容をあげてみると、、
まずはミトコンドリア長寿法の章。そもそも『ゾウの時間 ネズミの時間』から本書に引用されているように、生涯の心拍数と一分間に打つ回数からいくと、人間の寿命は26.3歳で、実際縄文時代には寿命が31歳であったという説がある。人間は文明と医療で寿命を伸ばしたが、一方で毎日食べて排泄するため、「腸と腎臓」の老いとの戦いがアンチエイジングのカギだという。これを防ぐため、堀江氏も飲んでいるという血糖値を下げ臓器に負担をかけない「SGLT2阻害薬」に話が及ぶ。
また、人工冬眠実用化への道、の章。リスやクマなどの冬眠のメカニズムを解明し、人間に応用することで、救急医療や宇宙旅行にまで役立てようというのだ。実際に山で遭難し、20日以上後に救助された例は低体温で冬眠に近かったのでは、と分析(朝日新聞)。脳内物質「Qニューロン」のコントロールで、通常の100分の1の代謝量に落とし、飲まず食わず、排泄もせず冬眠状態を作ることができるのではないかという小説のような話が研究されつつある。
勿論、ちょっとした豆知識もあちこちにある。例えば「有酸素運動の心拍数最大値は(220−年齢)で、これに近づくよう負荷をあげるとよい」、とか 「胃がんの99 %はピロリ菌」など。アルツハイマーやがん特効薬の話も最新だ。

目の前のことを先決にした日常や、現在健康な場合、なかなか読む機会がないのがこういった健康や病気の予防の類の本だろう。しかし、たまたま怪我や病気になったりすると、とたんにアンテナがはるものだ。きっと、読者の背景により個々のアンテナにビビっとくる部分は違うだろう。しかし何処をとっても刺激的な近未来とその入口が目の前にあることを実感できる一冊である。



不老不死の研究
作者:堀江貴文,予防医療普及協会
発売日:2022年12月15日
幻冬舎

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