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書評_いじめはヒトが備える社会的排除行動__ヒトはいじめをやめられない_

【書評】いじめはヒトが備える社会的排除行動。『ヒトはいじめをやめられない』
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21世紀にもなって戦争を始めた国がある。
歴史は繰り返すというが人間は本当に愚かだとつくづく思う。
どこかの本で「ヒトはジーパンとアップルウォッチをした原始人である。」と表現していたがその通りだと思う。

ヒトは生存確率を高めるために群れながら生き抜いてきた歴史がある。その群れはフリーライダーや異分子を見つけると「組織の秩序維持」という名の下に制裁活動を主体的に行い、狙われるのは体が小さい人、弱い人、太っている人、行動や反応が鈍い人などリベンジの可能性が低い人である。自己保存のために理屈をこねて他者を攻撃する生き物なのだ。

そこで私たちが認知すべきなのは、ヒトは集団にいると基準から逸脱した者に対して制裁を加えようとする本能を持っていることであり、いじめを無くすということを目標にするのは不可能ということである。振り返ると、職場も学校も仕事や勉強ができない者に対してどのくらい寛容になれるのか?という葛藤が根本にあり、所詮、理性と本能の戦いをしているだけである。
 
いじめの回避策はいくつかあるがその1つは「あの人には敵わない」と思わせることである。(p125)悲しいが、いつの世も弱肉強食なのかもしれない。スマホ脳で理性を司る前頭葉が機能不全になっている現代人が今後も増加してくると考えると、自分の身は自分で守らないといけないのかもしれない。今後、スマホによってヒトはさらに本能的な生き物に進化していくのだから。



ヒトは「いじめ」をやめられない(小学館新書)
作者:中野信子
小学館

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