書評_8ページで感じる村上春樹の世界__スパゲティーの年に
【書評】8ページで感じる村上春樹の世界。『スパゲティーの年に』
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春になると読みたくなる村上春樹の超短編小説である。出会い、別れ。遭逢、邂逅、別離、喪失という時の流れの中にある何も変わらない日常。その日常に人間の本質に迫る小説である。さぁ、村上ワールドへようこそ!
この著書はスパゲティーを茹で続ける「僕」の話である。ただスパゲティーを茹で続ける変化のない生活に、突然女性から電話がかかってくるという話である。
僕は決して退屈な人生を送っているわけではない。スパゲティーを茹でるというルーティンをこなしているだけなのだ。その日課をこなしている中に起こった他人からの接触を拒否するのである。結果そこに在るのは静かな孤独だ。
女性は艶かしい口調で僕に話しかけてくるが、僕は関わることがめんどくさいと感じ拒否する。女性と関わることで変わる日常があったかもしれない。だが、僕は変わらないことを選択したのだ。僕は決して不幸でも嘆いているわけでも憂いているわけでもない。僕は僕の人生を選んだのだ。
人間は孤独であることをこれでもかと言うほど見せつけてくる小説である。たった8ページでその孤独について表現する村上春樹の真骨頂である。誰でもある「僕」。誰と居てもどこに居ても何をしても、結局は人間は孤独な生き物であると痛いほど痛感する。一人で産まれ、一人で死んでいく。ただその間の生が美しい。
カンガルー日和 (講談社文庫)
作者:村上春樹
講談社
この著書はスパゲティーを茹で続ける「僕」の話である。ただスパゲティーを茹で続ける変化のない生活に、突然女性から電話がかかってくるという話である。
僕は決して退屈な人生を送っているわけではない。スパゲティーを茹でるというルーティンをこなしているだけなのだ。その日課をこなしている中に起こった他人からの接触を拒否するのである。結果そこに在るのは静かな孤独だ。
女性は艶かしい口調で僕に話しかけてくるが、僕は関わることがめんどくさいと感じ拒否する。女性と関わることで変わる日常があったかもしれない。だが、僕は変わらないことを選択したのだ。僕は決して不幸でも嘆いているわけでも憂いているわけでもない。僕は僕の人生を選んだのだ。
人間は孤独であることをこれでもかと言うほど見せつけてくる小説である。たった8ページでその孤独について表現する村上春樹の真骨頂である。誰でもある「僕」。誰と居てもどこに居ても何をしても、結局は人間は孤独な生き物であると痛いほど痛感する。一人で産まれ、一人で死んでいく。ただその間の生が美しい。
カンガルー日和 (講談社文庫)
作者:村上春樹
講談社