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書評_日々の変化_楽しんでますか__なずな

【書評】日々の変化、楽しんでますか?『なずな』
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赤ちゃんというのは求心力があり、周りの者を魅了して惹きつける。可愛いから?なずなを読むとそれだけではない何かを感じる。田舎が舞台のなずなと周りの人達との見えない縁の物語。都会のストレスに疲れた方に読んで欲しい。

主人公は40代半ばの新聞記者の独身男性。やむを得ない事情により、弟夫婦の子「なずな」を預かる。生後2ヶ月のなずな、子育てした事ない主人公、なずなの成長に手を貸してくれる周囲の温かい人々。物語は2〜3ヶ月という短い期間であるが、確実に成長していくなずなが描かれている。当たり前の話だが、大人の1日と赤ちゃんの1日はこうまで違うものかと。そういうところに赤ちゃんの神秘性を感じる。また周囲の人々の微妙な気持ちの変化、描写自体そこまではっきりとはしていない。これが大人の成長なのか。

なずなを読んでいると子育ての苦労と言葉には出来ない親になるという感覚が伝わる。初めて声を発した時、首が座り始めた時、指しゃぶりをした時、そういう小さな成長が親達にとっては大きな感動を生むのであろう。私は周囲の人々の一人としてなずなの成長を楽しんでいた。


なずな (集英社文庫)
作者:堀江 敏幸
集英社

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