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書評_500年の時を経て公になった芸術論の傑作__現代語訳_風姿花伝

【書評】500年の時を経て公になった芸術論の傑作!『現代語訳 風姿花伝』
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能を大成した著者の世阿弥が約40年の月日の中で修正を加えながら作成した秘伝書である。「ジャパネットたかた」の創業者である高田明氏のバイブルであることも有名です。世阿弥が若くして時の権力者である足利義満氏の目に留まり、後ろ盾を経て能を大成しながらも、のちに佐渡島へ流されてたという人生を踏まえた内容になっています。

本著は大きく3つの花がテーマになっており、若い頃にチヤホヤされる事て自分の実力を過信する「時分の花」、物事には因果関係があるので努力を怠らない事という「因果の花」、能を見せる際に全ての演出を見せない事により差別化・そしてレベルを上げを図る「秘する花」である。かの有名な「初心忘るべからず」も世阿弥が生み出した言葉です。

この本の最後には「能が伝える事を理解できないものには、子であってもこの内容を伝えてはいけない」という言葉で締めくくられています。実際に書きはじめたのは1400年頃からですが、吉田東伍氏により学会発表されたのは1909年なので約500年も限られた人にしか伝えられたかった、まさに秘伝の書です。

その内容を読んでいますと、芸術論の本ではありながら哲学や人生論を描いた本とも読み取れる大変奥の深い内容となっております。ページも110ページ前後となっており読みやすいと思いますし、より芸や初心に関する記述のされた「花鏡」と合わせて読んで頂きたい一冊となっております。




現代語訳 風姿花伝
作者:世阿弥
発売日:2005年1月21日
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