【R6.7.14】函館記念の予想

【馬場は前有利?】

 ここ2年が雨馬場での施行ということもあって、最終週は函館の短い直線でも関係なく外からの差が決まっていた。先週Bコース替わりになってからの雨開催もあったことで内は結構傷んでいるかな?という想定だったが土曜の競馬を見る限り思ったよりも差さらない……というか4角を回る段階である程度ポジションを押し上げることが出来なければ馬券に絡むことはできておらず、直線だけでは届かないというのが土曜日の傾向。
 ただ、土曜日に行われた芝のレースは1800mの牝馬限定2勝Cが中距離以上だと最も上のクラスであり、このクラスにいる差馬の脚力では届かないだけという可能性もそれなりに高い。パトロールを見る限りは内の方が流石に少し荒れているように見えるが極端な有利不利が出るほどではないというだけで、外の方が綺麗でスピードの出る状況にはある。
 土曜日の結果だけを見ると前有利、日曜も函館記念までにあるのは未勝利と1800の1勝Cが一つだけなので、恐らく前々の馬で決着しそう。強い差馬のいない前有利の条件でそういう極端な馬券傾向になると、騎手の意識も前掛かりになりやすい。
 そんな状況でコース形態的に1800mに比べて圧倒的に差が決まりやすい2000m。ハイレベルなメンバーでレースが行われることで”この2日間前々で決まっていたのになんで重賞だけ差決着~~!?”となってもおかしくないかなと思う。

【函館2000】

 函館1800並びに2000を1コーナーに入る時のスピードと遠心力による負荷で考える。 スタートから下り坂で勢いがついている上にコーナーを曲がっている時も下りが続いているので隊列が定まらないままにコーナーに入った時の負荷はかなり強く、それで外を回していた場合はそこだけでかなり致命的な体力消費が生まれる。
 1コーナーまでが長く、外からでも前を取りに行ける2000mの方がもちろん流れたままでコーナーに差し掛かることが多いので先行は1コーナーでのダメージが大きく、コンパクトに回った後方勢に有利。
 逆に2000でもあっさり隊列が決まって先行勢がスピードを抑えながらコーナーを回るとあっさり前残りで決まったりする。
 一般的に前有利と言われがちな1800でも前に行きたい馬が内外で散らばって、1コーナー殺到という感じで隊列が定まらないままに回ると分かりやすく差決着になったりする。

 これは平日にXでポストした内容ですが、基本的にはこの通りで1コーナーまでの長い直線で勢いをつけながらコーナーを曲がることになる2000mでは1800に比べると圧倒的に差が決まりやすい。
 過去の函館記念を見ても差が決まっている……というわけでは無く、年によってはまえが残り、前が残ったと思えば次の年は差決着になったりと傾向がはっきりしないし、馬券購入者も裏をかかれ勝ちで大荒れ決着が珍しくない波乱重賞。
 ただ、一応前か後ろかを考える上で指標になりそうなのは「1000m通過タイム」。大雑把に
・1000m60秒前後:前残り
・1000m59秒前半:中団からの差優勢
・1000m58秒前半:後方待機勢優勢の差決着

 過去の結果とラップを見比べると概ねこんな感じ。
 じゃあ今年はどうなるの?と考えると先行馬は多いものの明確な逃げ脚質は9アウスヴァール一頭のみ。ホウオウビスケッツは前走逃げて勝ったものの距離延長で函館コースの理解度が非常に高い岩田パパ騎乗ならば、外から強引にアウスヴァールを制して自爆気味に逃げることは考えづらい。先行勢は多いものの基本的には番手争いが激しくなるだけで、逃げ自体は単騎で行きそう。番手争いの煽りを受けて楽逃げにはならなさそうだが、アウスヴァールのペースで逃げられるとしたときにどの程度のラップになるか。
 まず一つの参考として前走の鳴尾記念のラップは逃げたのはバビットでアウスヴァール番手の隊列ではあるが12.2-11.1-11.6-11.9-11.9の58.7。2走前が単騎逃げでスローに持ち込んで京都1800を前半59.8。
 近2走でまず60秒を切っており、かなり楽に逃げた2走前でも59.8……その流れから下りで勢いのつきやすい函館2000で54㎏の軽斤量。それまでのレースは前有利で、長くコンビを組んでいる古川騎手の継続騎乗、近走もとにかく前を取らなければならないという意識でスタートを押して出しており、ハナはいらずとも好位を求めてスタートを出す先行馬を制しての逃げ、流石にこの条件ならばマイペース気味に行ったとしても60秒前後というのはあり得なさそう。基本的には遅くとも59秒前半は固いと見る。
 そして更に早くなるかどうかは最内に入ったサヴォーナがカギを握りそうで、前走の天皇賞春を見ても池添騎手の重賞級の馬と比べると末の切れでは劣るから、スタミナを活かして前から押切に行きたいという意識が見える。この意識を前提にした上で、それまでのレースがかなり前優勢な決着になっていた場合、1人気を背負って最内で前に行けず、包まれて終了というのは何よりも避けたいはず。例の騎乗停止の件もあって結果を急いている可能性も考えるとスタートから出鞭を入れる勢いで先行する可能性は大いにあり得そう。このパターンで内からサヴォーナが押し上げて主張して来たのに競りながらの逃げになると58秒台前半まであり得そう。
 ”アウスヴァールのスピード””函館2000のコース形態と先行馬の多さ””サヴォーナと池添騎手の心理”このあたりから展開としては前傾ラップで中団~後方の差馬有利を想定したいと思います。

【函館はスタミナが求められるコース】

 函館2000mって高低差3.5mあるんですよ。
 3.5mと言われてもあまりピンとこないかもしれないですが、他のコースで言うと中京、急坂があるコースである中京コースの高低差も3.5です。他に坂があると言えば阪神、中山ですが阪神は意外にも高低差は外回りでも2.4m、中山は流石に全レーストップの5.1m。
 函館の3.5mよりも高低差があるのは中山と京都の外回りの2つだけ。函館に漠然と「ローカル平坦」という印象を持っている人も少なくないと思いますがその実は中央の競馬場で上から3番目の高低差を誇るコースであり、その高低差が急坂ではなく緩やかで長い下りと登りで組み立てられているが故に馬力だけでなく、長く上り下りをするスタミナが求められるコースと言える。
 向こう正面を目いっぱい使ってその3.5mを上り切るわけですが、函館2000mで展開が流れた時に差が決まりやすい理由もシンプルにこの高低差にありそうで、前半を58秒台みたいな流れたペースで行くと、下りで体力を消耗したところから長い上り坂を上ることになる上に、登っている途中で差馬からのプレッシャーがかかり始める。そうなると3.4コーナーを回るころには体力が残っていないのも必然であり、前がぱったり止まって差が届く。
 逆にスローで進むと、後方の馬は長い上りの途中で動きながら差しに行くことが求められるので中々届きづらい。前半のペース次第でがらり有利不利が変わる要因には、意外にも大きいこの高低差も大きくかかわっていそう。
 そんなスタミナを求められるコースだからこそ、過去の結果を見ても2200以上の距離での実績&非根幹距離での実績を持つ馬の好走が目立っている。今年のメンバーだとその実績を持っている馬は案外少なく
・サヴォーナ:福島1勝C2600
・アケルナルスター:函館3勝C1800&中山2勝C2500
・デビットバローズ:中京1勝C2200&阪神2勝C1800
・チャックネイト:AJCC
 機械的に長めの距離の実績と非根幹距離実績を持っている馬で絞ると4頭しかいません。柔軟に条件を考えるとしたら
・サンストックトン:中山2勝C2200を0.0差2着、捲り差しで札幌2000勝
・トップナイフ:かなりタフだった札幌記念で内から捲って2着
・ハヤヤッコ:函館記念で1着→5着
 今回は差優勢の決着を想定するので、この中で機動力のある差馬はと考えるとアケルナルスター、サンストックトン、ハヤヤッコの3頭になるので、必然、今年の函館記念の本命はこの3択です。
 ということで、ここまで長くなってしまいましたが、予想印に入ります。

【予想印】

◎5サンストックトン
〇14ハヤヤッコ
▲2オニャンコポン
△11アケルナルスター、4グランディア
 えらい人気薄ばかりになりましたが、これで行きたいと思います!!

【各馬の評価というか印の理由】

 まず前提として先行馬の評価は下げています。今回先行馬と判定しているのが
 1サヴォーナ、3エンパイアウエスト、9アウスヴァール、12ホウオウビスケッツ、15チャックネイト
 の5頭です。まずここには印は回しませんし、抑えもしません。
 先行馬だけど一概に消しにくいのが13のデビットバローズ、鞍上の武豊騎手は函館の理解度が高い故に、前走で操縦性の高さを確認してからの2走目となる今回、外枠ということもあるので無理に前に行かず、そっと控えながら中団に構えるという可能性もかなりありそうで、そうなった時に馬券内の可能性は大いにあるので抑えに。
 トップナイフも脚質自在、能力的にも足りるとは思うものの流石に故障明け一発目で仕上がりもここに向けて万全とは見えず、只でさえスタミナを要するコースで初の57.5㎏、走られたら仕方ないで軽視したほうが馬券的には正しいかなと。
 リカンカブールは能力はあると思うが、シルバーステート産駒の洋芝成績が頗る悪く、中距離以上では即消しして良いレベル。その点で買えずの軽視。
 差し勢で印が回っていないのは4枠の2頭と大外マイネルクリソーラ。
 ここに印が回らなかったのは長めの距離の実績がないというかそもそも経験がほとんどないのは今回スタミナ的に大きく不安要素になる。
 マイネルクリソーラは大外も苦しく、外々回して追い込めるほどの力は無いと見る。プラチナトレジャーはかなりタフな展開となった福島民報杯の3着粘りを評価して、大荒れの使者となることに期待しての抑え。
 印を回さなかった馬の概要はこんな感じです。

◎サンストックトン
 なぜこの馬を本命にしたかというともちろん調教で動けていたとかもあるんですが、単純に条件を満たした馬の中で最も内かつ斤量が軽いからです。
 内外の差がそこまで大きくない今の馬場であれば最終的に捲りながらポジションを押し上げるとしてもそれまでは内でコンパクトに回ってきた方が有利。近走の走りを見てもAJCCでは荒れた内を突っ切りながらの0.6差などタフな馬場への耐性は非常に高く、血統的にも開催終盤の内枠は合いそう。
 近走はOPで結果は出ていないものの常に堅実に上がりを使っており、コーナーでの機動力が求められる札幌で捲って差し切りの勝利実績があるのも評価点として大きい。
 キャリア20戦で上がり3位以内を逃したのは3走のみ、どんな相手、どんな舞台でも上位の上りを使うことが出来るのは今回確実に活きてきそう。展開を味方にすることが出来れば激走あり得るタイミング。

〇ハヤヤッコ
 函館記念はとんでもなくトリッキーな条件ですが、定石としてトリッキーであればあるほどリピーターが来やすいというのが競馬。
 斤量や近走成績から厳しいと見られているのかもしれませんが、G2で2着→前目に行った馬と内から完璧な騎乗で差したルージュエヴァイユで決まったG1で外回しながら上がり3位の0.8差は横の比較で上位でしかない。
 そもそも前走の大阪杯は低レベル低レベルと言われながら結局宝塚では勝ち馬以外の掲示板は全て大阪杯組、安田記念にいった組も善戦しており、メンバーレベル、レース内容共に高水準と言っていい。前半がミドルで流れて前に行った馬が捲りに反応しながら11.5-11.5-11.4-11.4-12.2に対応しきったレースを外回しで差し切るのはハヤヤッコのように一瞬のキレ味が魅力ではない持続的な差馬にはかなり厳しく評価を下げる必要はない。
 調教もかなり動けており、前が流れてこの馬のコーナーでの機動力やタフさが活きる可能性は十分ある。馬はまだ若いよ。

▲オニャンコポン
 これは期待を込めての▲評価。
 前走は前目の馬がワンツーする展開を外回しの上り最速で4着。エイシンフラッシュ産駒に多い傾向として溜めて溜めて短い直線での3F勝負ならば通用するが4F以上のロンスパ戦だと足が止まる。これまではオニャンコポンもその例にもれず、勝利した京成杯も11秒台はラスト3Fだけでハマったレースだった。それが前走でロンスパ展開を外回しで追い込んで上がり最速というのは馬が変わってきた兆し。古馬になってから順風満帆とは行かず、陣営が悩みながら色々な条件を使ってきたその努力が結実しようとしている。
 中団で溜めて、コーナーから押し上げながら上がりを使うことが出来れば今回の展開にもマッチしそうでキングマンボ×サンデー系は今の馬場合っている。これまでOPクラス以上で4F以上のロンスパ差しを決めたエイシンフラッシュ産駒はG1を取ったヴェラアズールただ1頭のみ。5歳の夏にしてその域に一歩近づけるか、今後の飛躍がかかった一戦だが、調教の動きも中一週で更に上がっていそうなくらいで、十分期待できる状態まで仕上がったと思う。頑張ってほしい。

△アケルナルスター
 条件は満たしているけれど丹内騎手じゃないからなぁ……というのが大きい。スタートは行き脚がつかず、道中でかなり動かさなければならないので決して乗り替わりですぐに能力を発揮させられる馬には見えない。
 でも、乗り替わりだけで本命3択にまで残った馬を軽視してこられたら悔しいので、人気もないししっかり高めに評価して狙っていきます。(丹内騎手だったらオッズ半分くらいだったんじゃないかな?)

△グランディア
 長い距離での実績こそないが右回りの非根幹距離で実績目立つ。溜めた時の切れ味ならばメンバー内最速なので、距離延長ローテで自分の競馬に徹したときに、最後上がり最速で馬郡を縫って滑り込んでくる可能性は十分ありそうと見ての△評価。調教からは洋芝も苦にならなさそうで。。

【まとめ】

 ということで、土曜の傾向からは逆張りの差優勢の予想で行きます!
 逆張りなので人気薄ばかりになりましたが、そもそもの前提として「クラスが低いほど走っている馬の脚力は弱い」→「差脚質の馬の切れも鋭くないから前有利になりやすい」ので、「本当は外差優勢の馬場になっているのに重賞に至るまでのレースが前々で決着」→「前に行く意識が高くなり展開激化、クラスが上がって鋭い決め手を持つ馬にあっさり差される」というのは意外と珍しい現象ではなく「重賞だけその日の傾向と真逆」というのは良くあること。
 そして今回はメンバー構成的にもサヴォーナ、ホウオウビスケッツ、チャックネイト(デビットバローズ、トップナイフ)と人気馬が前目に行く馬なので、人気馬が互いにマークしながら展開を早める可能性も高く、尚更差優勢になりそう(函館記念が波乱決着になりやすいのも「前に行く人気馬が多い→ポジション争い激しく前傾ラップ」、「後方脚質に人気馬が多い→前の争いが手薄でそのまま残ってしまう」が起こりやすい舞台設定だからでは?
 と長くなってしまいましたが、馬券の方向性としては
・単勝 サンストックトン、ハヤヤッコ
・ワイド 5.14-2.4.5.11.14
・3連複 5-2.4.11.14-2.4.5.8.11.13.14
 こんなイメージです。人気薄だらけなのでワイドが引っかかるだけで負けは無い、単勝か3連複が取れれば大勝というイメージで。
 今回も相変わらずの人気に逆らう大穴予想ではありますが、結構しっくり来ているというか、筋の通った穴狙いになっているんじゃないかと思いますので、大勝ち目指して、明日は現地で叫びたいと思います!!

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