本書は、歴史学者の磯田道史氏が、鎌倉女学院高校で行った特別授業を書籍化したものである。磯田氏が、若者に、歴史をかたった言葉は、磯田氏の他の書籍には、見られなかった新鮮な語り口があった。本書籍レビューで、私が印象に残ったものを紹介したいと思う。
初めに磯田道史氏に触れる。磯田道史氏は、1970年、岡山県に生まれる。子どものころから、歴史に深い関心を持ち、慶応義塾大学で歴史学を学ぶ。磯田氏が世に出たのは「武士の家計簿」の出版。数々の文学賞を受賞、映画化もされる。その後も、歴史研究と並行し、多数の歴史関連書籍を出版する。現在は、国際日本文化研究センター教授をつとめ、令和の司馬遼太郎とも呼ばれる日本を代表する歴史学者である。
それでは、はじめに、鎌倉女学院高校での特別授業から。
最後に、生徒との質疑応答について
以上が本書の概要である。
本書を通じた私の学びは、
・歴史は、反復性があり、教訓を含む
・歴史的にものを考えると、前よりも安全に世の中が歩ける。歴史はむしろ実用品であって、靴にちかいもの。先のことは、わからないが、歴史の教訓は、自分の生き方に生かすことができる。人それぞれが、自分の人生にしたがって情報を集めて、どうやっていくかを考えることが役に立つ
・これからの時代の価値創造には、自分が触れたことのないもの、誰も見ていないもの、学校では教えないもの。それにたいして自分の体が動いて、関心をもって、それを結びつけて、おもしろいとか、みんながそれに賛同してくれるものをつくる事が大切
である。
本書には、磯田氏が、歴史に対する哲学的な思考と同時に、知的好奇心にあふれた子どものころから現在に至るまでの面白エピソードが満載に語られており、愉快な書籍である。磯田ファン、歴史をかじって見ようと思われている方には、ぜひ一読をお勧めする。