みなさんは、前例のない事、自分の経験がない事への挑戦における行動、意思決定のための考え方に興味はないだろうか?
本書は、不確実性の高い状況における意思決定の一般理論として、近年注目されている「エフェクチュエーション」の日本で初めて出版された入門書である。
エフェクチュエーションは、サラス・サラススパシー教授(ヴァージニア大学)が、新しい市場の創造や産業の創造という、極めて不確実性の高い問題に繰り返し対処してきた熟達した起業家を対象に意思決定実験を行い、彼らが共通して活用する思考様式を見い出したものである。
著者は、本書を、
・スタートアップや既存企業で、新規事業開発や市場創造、イノベーション創出など、極めて高い不確実性を伴う問題に取り組んでいる方々
・起業家やイノベーターのように、新たな価値を創造する人々への憧れはあっても、自分にはできないと感じて、なかなか行動に踏み出せずにいる方々
・エフェクチュエーションの学習・教育に何らかの関心を持つ方々
にとって、エフェクチュエーションを知る入口となればと、執筆したと述べている。
そして、学習を促すポイントとして、
・エフェクチュエーションが、実践を伴うことで初めて深く理解できる思考様式で、自らの不確実性を伴うチャレンジを前に進めてもらう、アクティブ・ラーニングを前提とする。
・身近にエフェクチュエーションの実践者の先達を見つけ、具体的な実践例を知ることで、構成する思考様式、その全体プロセスへの理解が深まる
ことを挙げている。
サラスパシーは先に挙げた熟達した起業家に対する意思決定実験で、
・彼らの意思決定における明確なパターンの存在
・具体的には5つの特徴的なヒューリスティクス(経験則)であること
を発見した。
そして著者は、この発見の意義を述べる。
それでは、「エフェクチュエーション」の内容について、紹介する。
「エフェクチュエーション」は、これから紹介する5つの思考様式のサイクルを回し、不確実性がゆえに直面する出来事を活用しながら、新たな未来を作り出す。
以上が、本書の概要である。
本書を通じた私の学びを、以下に記す。
〇社会の変化が大きく不確実性の高い現代において、新しいキャリアの開拓を考えている私にとって、「エフェクチュエーション(実効理論)」の考え方、そのロジック、行動原理は、実践活用出来るものと思った
〇特に手持ちの手段、許容可能な損失の考えは、新しい挑戦への一歩を後押ししてくれる
〇エフェクチュエーションの考え方に一貫している
・まずは行動して、フィードバックを得ながら、自分の目標を見つけ、その目標に近づいていく
姿勢は共感出来るものだった
本書は、エフェクチュエーションの5つの思考様式の詳細な解説、実例が豊富に語られている。本書籍レビューに触れ、エフェクチュエーションに興味を持った方には一読をお勧めする。あらたなチャレンジを考えている方には、広く活用出来る思考様式である。