死んだ子の歳を数える
夏に流産した。
私には3人子どもがいて、みんな何事もなく無事に産まれてくれていたので
4人目も大丈夫だろうと思っていたのだが
そんなことはなかった。
検査薬で陽性反応が出てから母子手帳が交付されるまでには意外と結構な時間がかかる。
2週間おきに病院に通い
「次は予定日が計算できるので
母子手帳も発行できますよ」
と言われたその次の検診で心臓が動いていないことがわかった。
22週未満で赤ちゃんが死ぬと稽留流産になる。
死産の場合は、死亡届を出して火葬をするらしいが
稽留流産の場合はそういった手続きなどもなく、ただ自然に出るのを待ち、
出ないのなら手術をするだけ。
当然、母子手帳もない。
稽留流産は何も残らないのだ。
唯一あるとすればエコー写真だけ。
子どもが出てからは悪阻症状がなくなったようで、驚くほど体調が良くなった。
それでも他に何も残らない虚しさを感じながら、エコー写真を眺めた。
今までの子はエコー写真を見返したことなどはなかった。
目の前で生きていて、日々成長していくのだからわざわざ不鮮明な写真で見る必要はない。
エコー写真は数年経てば消えてしまう。
今のうちに写真に撮っておくか、何かしらをしておかないと、この子がいた証は何一つ無くなって消えてしまう。
少し悩んだ。
なぜ22週未満だからというだけで母子手帳も、届出も、葬式もなにもないのだろうとずっと虚しく思っていた。
だけど、いずれ消えてしまうエコー写真を眺めているとそれらがない理由が何となくわかってしまった。
死んだ子の歳は数えない方がいい。
このエコー写真が消える頃に
この子を亡くした傷が本当に癒えるのかもしれないと踏ん切りがついた。