ジョジョラビット ママ・ロージィのハットを作る 2/2
ジョジョのママ、ロージィのハット。続きです。
最高にカワイイジョジョの親友「ヨーキー」を演じるアーチー・イェーツくん。
ちょっとおマヌケな太っちょキャラと見せかけて、ストーリー序盤からすでにリベラルな考えを持っていることがわかる。それでいてジョジョを否定したり責めたりしない、なかなかの人物なんです。
さて、帽子制作に戻ります。
前回制作の「丸く型入れしてへこませる」のでなく、今回は「最初からへこみを入れたかたちで型を作る」です。
前回の記事
ジョジョラビット ママ・ロージィのハットを作る 1/2
どうしてもクラウン(頭が入る部分)のかたちがつかめないので、粘土でミニチュアを作ってみて感覚をつかもうとしております。粘土は触っているだけでなんだか楽しい。
どんな風に凹みが入るとフロントとバックのデザインがうまく繋がるのか…こんなに悩むとは思いませんでした。完全にナーメテーター。
ツバのかたちは手持ちの木型を参考にしました。
この木型はおもにダブルブリム(帽子のつばを二重に作る)にするときに使っています。
なんとか木型起こしました。
ツバの後ろ部分は凹型に押し込む感じです。この型に帽体といわれる帽子用のフェルトを入れて、かたちづくります。
※モノクロにしているのは後からねんどを盛って直したところがあまりキレイでないので。
ママ・ロージィの帽子部分をざっくり切り抜いてみました。羽根の装飾がわかりやすくなったでしょうか。
最後の仕上げをトリミングと言います。巻き飾りのリボン、羽飾りなどをつける、装飾センスが問われる部分です。この作業が一番好き、という人もいます。
メンズのハットの場合、多くはリボンをつけて終了ですが、このハットは羽飾りがなかなかにゴージャス。手前に向かって大きくカーブしている羽がなかなかのクセモノです。
(あ、カンタンみたいに言っちゃったので念のため。メンズハットのリボンはシンプルですが、技術の現れるところです。美しく作るには経験も必要なのです。キリッ)
さて、装飾の細部がよくわからないのでこの先も想像とカンで作ります。
最近は売っている羽根のバリエーションが少なくて、このグリーンの羽根はなんとか近いものを探しました。羽根の色を殺さないように、着彩は控えめに、カーブは大胆に!羽根を加工するのも帽子屋のオシゴトです。
できました…。
青味が強く出ていますがリボンはグレーです。羽の色に合わせてリボンの配色は少し変えてみました。手持ちのグログランを使ってしまいましたが、タフタの方が良かったですね。帽子が小さいのでリボンの硬さが目立ちます。
フロントの角度ももうすこし直したい…。
うしろの角度はきれいに出ました。ピンチ(前部分の2カ所のへこみ部分)の入れ方はこれで正解なのか?…ああ、現物が見たい!
羽根はアイロンで根気よく曲げます。カーブはきれいに出ましたが、根元の硬いところがちょっとカクッとしてしまった…無念。ママ・ロージィの帽子は長くてしなやかな羽根みたいですね…一体どんな羽根を使っているんだろう。
見直す点はありますが、一旦手から離します。
つね日頃からイメージができている「自分の作りたいかたち」をつくるのと、「しらないかたち」をつくるのは違うんですね。難しかったです。あらためていつか、リベンジしたいと思います。
■ジョジョラビット 音楽も良かった!
劇中のデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」ドイツ語版。
ベルリンの壁崩壊のアンセムになっているこの曲が流れるクライマックス。ここでわたしの涙腺も崩壊しました。
1987年、西ベルリンで行われたデヴィッド・ボウイの野外ライブの際、スピーカーの一部は壁の向こう、東ベルリンに音楽が届くように向けられました。ドイツ語による「この壁の反対側にいる我々の友人たちのために幸せを祈ろう」というメッセージと共に歌われたのがこのヒーローズ。ベルリンの壁の下で落ち合う恋人たちの曲です。
このライブが1つのきっかけになって1989年11月ベルリンの壁は崩壊するのです。
2016年1月10日。ボウイが亡くなった時、ドイツの外務省は異例の追悼ツイートをしています。
グッド・バイ、デヴィッド・ボウイ。あなたは今、ヒーローズ の一員になりました。壁の崩壊に力を貸してくれてありがとう
段々戦況がひどくなってくる後半、悲しい別れや、隠し部屋の少女エルサ(カワイイ!)との新しい絆。彼女のことを意識するあまりおかしな手紙を書いたり、秘密を共有するうちに共闘意識が目覚めたり、二人のやり取りも楽しく、またハラハラします。
聡明な彼女の知性にふれて自分のせまい考えを知り、誰かを貶めているのは自分の弱さであることにしだいと気付いていくジョジョの成長がたのもしく、ちょっと切ないです。
サム・ロックウェルのキャプテンKも最後にいい仕事しました。ヤラレタ…。
戦争モノとしては明るく、時に笑える作りですが、たくさんのメッセージを含んでいます。音楽も素晴らしい。そしてキャラクターがみんな魅力的です。上映館も少なくなってまいりましたが、機会がありましたらぜひ!