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現代手芸考 その1

今読んでいる本。現代手芸考〜ものづくりの意味を問い直す〜著:上羽洋子・山崎明子 フィルムアート社
その道では有名な方達が「手芸」とは何かを中心にコラムや対話で展開していく本。そういう歴史的背景があったのか!など面白いことがたくさん書いてある反面、なかなか頭に入ってこないというか、なぜこの方達は「分類」したがるんだろう。。。という疑問が頭の中に残りなかなか前に進まない。
これは多分、私の特徴でもある「矛盾が苦手」だからなのか。。。
まぁ、この中でも「手芸とは」の答えがなかなか出てこない。まだ読み終わっていないのでこの先出てくるとは思うけれど、その「分類」についてなぜしなければならないのか。。。ということも気になる。

芸術大学では少し前まで「手芸的にならないように」という教えの元制作が行われているという記述があり、それにはびっくりした。私自身高卒(それもスポーツ系)なので、大学で何が行われているのかほとんど分からずにこの世の中に溶け込んでいるつもりだが、芸大で手芸はそのような扱いとこの本で知った時に「なんじゃそら!」と怒りさえ覚えた。しかし読み進めるとそれには時代背景があり、その差別化によりそのような分類がされてきたようだ。
実際に、私も羊毛フェルトを作る身として羊毛フェルトって手芸?アート?芸術?ハンドメイドってなんだ?と疑問符だらけだった。

羊毛フェルトは2000年に入る少し前に日本に入ってきたもので、本などは1990年後半ごろにハンドメイドフェルト(お湯と石鹸でフェルト化)が最初だった。世界的にみるとこのハンドメイドフェルトは紀元前の話で、織や編みの糸になる前の原始的な手法で、歴史は長い。しかし島国ならではでその後かなりの時間を要して日本に入ってきたのは鎖国の時代に「敷物」として入ってきて正倉院に奉納されたものが最初らしい。これは長らく「織物」として所蔵されていたが、実際には羊毛フェルトで不織布ということがわかったのは2013年ごろだ。
それぐらい羊毛フェルトは日本では歴史が浅い。それは「羊」という生き物が認識されたことも江戸時代末期ということもあり、土着の羊がいなかったこともあって、絹や麻の植物の文化の国だった。

この羊毛フェルトというものは実用品や装飾品、嗜好品として作られるものなので、どの分類にも属するものが作れる。
なので、作り手が「アートです」と言えばアート、「趣味なので手芸です」と言えば手芸なのだ。
ではこの手芸とはなんなのか。アートとは?芸術品や工芸、造形、ハンドメイドそれぞれ何を指して何をそういうのかなどの定義や真理などをまず最初に知りたいと思った。
これは一般人にとっては手作り=手芸 美術館で見るもの=芸術などというとても曖昧な分類なのではないかと。

結局はパワーバランスが働く、働かせるための分類なのではないかと。
手芸はその昔、貧しい人たちが生活の中で古くなった洋服や布などを繕って、そこに密かな楽しみとしてアップリケなどの刺繍を施したことから始まっている。
今現在はその手芸を通して手作りサイトで売り買いが盛んだ。そこに悲壮感や苦しさは全く見えないけどね。
多分、この本の方たちは芸術>手芸という概念から手芸を見ている方達で、私はその見方とは違っていて、手芸≒芸術 として見ているのかもしれない。だから「矛盾」に思えるのかも。
そういう視点からこの本を読んでいくと、なるほどが見えてくるかもしれないな。
・・・つづく

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