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追悼・大崎善生さん

こんばんは。ひつじのまさこです。
8月6日付の朝刊で、大崎善生さんの訃報に接しました。
お悔やみ申しあげます。

私が大好きな作品、『聖の青春』。
羽生善治九段のライバルと目され、名人をめざしながらも29歳の若さで夭逝した棋士、村山聖さんを追ったノンフィクションです。
これが、私が大崎さんを知った作品でした。

その後、『パイロットフィッシュ』などの小説で知られるようになりましたし、魅力的な小説をたくさん発表されていますが、個人的には大崎さんのノンフィクションが好きです。
たとえば、『ドナウよ、静かに流れよ』。ドナウ川で33歳の男性と19歳の女性が心中した、という記事から、彼らがその選択に至るまでを切ない筆致でつづる作品です。こういう作品に、大崎さんの仕事の粋を見る思いがします。

フィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなったのは、『優しい子よ』。表題作「優しい子よ」と、大崎さん夫妻が第1子を迎える「誕生」とがリンクしていきます。
優しい子、というのは、物語中に出てくる男の子のことでしょう。難病を患いながら、「あしはいたくないですか」と、大崎さんの妻で女流棋士の高橋和さんを気遣います。
彼を見送り、和さんが懐妊。命のめぐる物語。
これもまた、私にとっては印象深い作品です。

大崎さんの作品には、やさしさにあふれた人が出てくるように思うのです。
それはおそらく、著者自身がやさしい人だからなのでしょう。

彼の地で村山聖さんに会ったら、きっと将棋界の話をされるのでしょうね。
大崎善生さん、すてきな作品をたくさん、ありがとうございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。またご覧いただければ幸いです。