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2024年の経済を振り返る

2024年は、世界経済全体としては大きな後退もなく、むしろ「意外と好調だった」のではないでしょうか。アメリカでは景気の「ソフトランディング」が期待されていて、企業収益や個人消費も底堅く推移しました。また、雇用も堅調でした。

一方で、インフレ率の下降が想定ほど進まず、物価上昇が続いたことがFRBの金融政策を難しくし、当初の予想よりも利下げの時期が遅れました。

順調だった株式市場

S&P500はドルベースで約25%もの上昇を記録し、投資家にとっては大きなリターンをもたらす結果となりました。背景には、個人消費や雇用がしっかりしていたことで、企業が想定ほど利益を落とさずに済んだことがあります。

S&P500

一方で、S&P500のforward PER(12ヶ月先株価収益率)は22倍程度と、かなり高い水準に達しました。割高感を感じる投資家が増えると、PERの低下(株価の下落)があっても不思議ではありません

債券価格の低迷と高止まりする金利

株式が好調だった一方で、債券は厳しい状況が続きました。インフレが想定より下がらなかったことや、労働市場の堅調さからFRBが利下げに慎重だったこともあり、アメリカの長期金利(たとえば10年米国債利回り)は高めの水準を保ちました。

アメリカの利下げペースは緩やかで、2025年も債券にとっては厳しい環境が続きそうな気配です。

10年米国債利回り

2025年の経済はどうなる?

2025年のいくつかのポイントを見てみましょう。

トランプ政権による関税引き上げ
前回のトランプ政権と同様、中国などへの関税が懸念されます。輸入品にかかる関税が上がると、それだけ商品の価格も上乗せされやすく、アメリカ国内の物価を押し上げる要因になります。

インフレが再燃すると、FRBとしては金利を下げにくくなるため、景気に対してブレーキがかかりやすい状況になるかもしれません。

トランプ政権の移民政策
不法移民の強制送還により労働供給が減少し、特に農業や建設など人手不足が深刻な産業で生産力が低下します。これに伴い、賃金が上昇し、企業のコストが増加、結果としてインフレ圧力が高まります

また、労働者不足は投資の減退や経済成長の鈍化を招き、国内景気にも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、労働市場のひっ迫は生産性の低下を引き起こし、企業業績の悪化にも繋がります。

長期金利の高止まりが経済に影響する
長期金利の高止まりが続くと、企業の設備投資や個人の住宅ローンなどへの負担が増し、経済全体の活力が鈍る可能性があります。

企業が借り入れをして新しい設備や工場を作ろうとする際、金利が高いと資金調達コストが大きくなるため、積極的な投資を控えるケースが増えがちです。また、個人にとってもローンを組むことが難しくなります。

こうした動きが重なると、経済の成長スピードが落ち込みやすくなります。

まとめ

2024年は、株式が順調に上昇した一方で、債券価格は低迷しました。2025年は株価が安定的に推移する可能性もありますが、経済全体の成長には慎重な見方が求められます

2024年に引き続き、インフレが再燃するかどうか、FRBの利下げペース、景気後退への懸念度合いが注目ポイントです。

株式がやや割高だと感じる場合は、現金や債券などの安全資産を組み合わせることで、全体のリスクを抑えることができます。たとえ株価が大きく下落しても、比較的安定した資産を持っていれば損失を抑えられる可能性が高まります。

2025年も賢く乗り切っていきましょう。皆さんの投資生活がより良いものになることを願っています。

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