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インフレと関税 関税がインフレを再燃させる理由

2025年、トランプ政権は輸入品に対する関税を大幅に引き上げる方針を打ち出しました。この頃、ニュースで耳にすることもよくありますよね。この政策の主な狙いは、アメリカ国内の産業を保護し、貿易赤字を是正することとされています。

しかし、「関税は政府の収益になる」「相手国にダメージを与えるだけ」という認識は誤解であることが、これまでの事例や経済理論から明らかになっています。

本記事では、関税とインフレの関係に焦点を当て、政策がもたらす影響とリスクについて詳しく解説します。

関税は、相手国だけでなく自国にも大きな負担をもたらし、特にインフレが懸念される状況では、さらなる物価上昇や経済全体の効率低下を招くリスクがあります。


関税とインフレとは?

まず、基本的な定義を押さえておきましょう。

  • 関税とは、国が輸入品に課す税金で、国内産業の保護や税収増加、貿易赤字の是正などを目的としています。

  • インフレ(物価上昇)とは、商品やサービスの価格が全体的に上がり、通貨の購買力が低下する現象です。

一見すると、関税収入が増えれば政府の財政が潤うように思えます。しかし実際には、そのコストを最終的に負担するのは消費者や企業であり、長期的には経済全体の効率が下がる可能性が高いのです。

関税がインフレに影響を与えるメカニズム

輸入品価格の上昇

関税が課されると、輸入品の価格は関税分だけ上乗せされます。たとえば、10%の関税が課された場合、100ドルの商品が110ドルになり、その差額は消費者が負担することになります。

これが各種輸入品に波及すれば、生活費が総じて上昇し、インフレ圧力が高まるのです。

国内価格への波及効果

輸入品の価格が上がると、消費者は国内で生産された同等の商品に目を向けるようになります。しかし、国内市場での競争が減少すると、国内製品の価格も上昇します。

結果として、国内生産品の価格も上がり、市場全体の価格が押し上げられます。輸入品だけでなく、国内製品の食品や日用品などにも影響が及び、国民生活に広く負担をもたらします。

製造コストの上昇(サプライチェーンへの影響)

関税は完成品だけでなく、原材料や部品にもかかります。たとえば、自動車や機械を生産するための鋼材・電子部品に関税が課されると、製造コストが大幅に上昇します。

企業はこのコスト増分を最終的に販売価格に転嫁せざるを得ないため、消費者価格がさらに上昇します。こうした動きは広範囲の産業に波及し、結果的にインフレ要因を強めます。

貿易戦争・報復関税の悪いスパイラル

よく「貿易戦争」という言葉が使われますが、この構図は単純な「勝ち負け」ではなく、双方に損失をもたらす「Lose-Lose」の関係に陥りやすいことが特徴です。報復関税が報復関税を呼ぶ悪いスパイラルが懸念されます。

実際に、2019年にはトランプ政権と中国でお互いに関税を引き上げあいました。また、2025年1月にカナダのトルドー首相は、トランプ大統領が関税を課せば、米国に対し報復関税で応じる用意があると表明しています。

まとめ

関税政策は、一見すると国内産業を保護し、税収を増やすように見えます。しかし、実際には相手国だけでなく自国にもダメージを与え、特に消費者や企業のコスト負担を増やすことでインフレを加速させるリスクを伴います。実際にインフレが再燃すれば株式市場にもダメージを与えます。

関税は短期的な成果を得るための手段かもしれませんが、長期的には経済全体の効率を損ない、双方の国にとって不利益をもたらす「諸刃の剣」です。特にインフレが懸念される現在の状況では、関税引き上げは物価を再び押し上げるリスクがあり、慎重な検討が必要です。

関税政策の影響を理解することで、私たちは経済の動向をより深く読み解き、投資判断に活かすことができるはずです。この記事が参考になればうれしいです。


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