S&P500はなぜ2024年に25%も上昇したのか? EPSとPERから考える
S&P500は2024年にドルベースで約25%もの大幅な上昇を見せました。長期的な平均成長率が約7%とされるS&P500ですが、どうして1年間でこれほど急に上がったのでしょうか?
その背景には「EPS(1株当たり利益)」と「PER(株価収益率)」という二つの重要な指標が大きく関係しています。
本記事では、このEPSとPERがどのようにS&P500の上昇に影響したのかをわかりやすく解説します。
EPSとPERの説明
まずは、投資の基本指標としてよく登場する「EPS」と「PER」についておさらいしましょう。
EPS(Earnings Per Share:1株当たり利益)
企業が1株あたりでどれだけの利益を出しているかを示す指標です。たとえば、EPSが上昇すると、その企業の収益力が向上していると判断できます。EPSが増えれば利益が増えたということです。PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)
株価をEPSで割ったもので、投資家が1株あたりの利益に対してどれくらいの金額を払っているかを表す指標です。PERが高いと、その企業の将来の成長に対して大きな期待が寄せられていることを意味します。
この2つを簡単にまとめると、EPSは「企業の実力」を測る指標、PERは「投資家の期待度」を測る指標といえるでしょう。
1年で株価・EPS・PERはどう変化したのか
ここ1年のS&P500・EPS・PERの具体的な数値を見てみましょう。ここでいうPERは12ヶ月先予想PER(forward PER)です。そのため、EPSも予想EPSとなりますが、簡単にするためEPS、PERと表記しています。
これらの数値がどのように株価に影響を与えたのか、詳しく見ていきましょう。
EPSの増加による影響
まず、EPSが約13.1%増加したことについてです。EPSの増加は、企業がより多くの利益を生み出していることを意味します。具体的には、新製品のヒットやコスト削減の成功、海外市場での売上拡大など、さまざまな要因が企業の利益増加に寄与します。
例えば、ハイテク企業が新しいAI製品を発売し、大きな売上を記録した場合、その企業のEPSは増加します。このように、EPSが増えると投資家は「この企業は成長している」と判断し、株を買いたくなります。結果として、その企業の株価が上がり、S&P500全体の上昇につながるのです。
PERの増加による影響
次に、PERが約11.5%上昇したことについてです。PERの上昇は、投資家が企業の将来の成長に対してより楽観的になっていることを示します。具体的には、投資家が「この企業はこれからもっと成長するだろう」と期待し、現在の利益に対して高い価格を支払うようになります。
たとえば、景気の改善や技術革新、あるいは政府の政策に対する期待などが重なると、市場全体が楽観的になりやすいです。その結果、企業価値にプレミアム(期待の上乗せ)をつけて評価し、PERが高まって株価全体を押し上げます。
現在のPERは21.4と高い値ですが、5年平均では19.6、10年平均では18.1、20年平均では15.8となっています。(参考リンク)
まとめ
2024年にS&P500が約25%もの上昇を見せたのは、企業の利益成長を示すEPSが伸びた(約+13.1%)こと、投資家が企業の将来性についてより楽観的になりPERが上昇した(約+11.5%)こと、これらの両方がバランスよく作用した結果ということがわかりました。
EPSとPERは、2025年にこの傾向が続くのかどうかの観点の一つとなります。高金利の中、2025年も企業業績が好調でEPSは順調に上昇していくのでしょうか?また、投資家がさらに楽観的になり期待水準を引き上げてPERが上昇する余地はあるのでしょうか?
株式投資においては、こうした指標の基本をおさえておくと、市場の動きの背景を理解したり、予想を立てやすくなります。
これからも、株式市場の動きに注目しながら、投資の知識を深めていきましょう。この記事が参考になればうれしいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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