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NISAは「売らない」のが基本

NISA最大の敵は"売る誘惑" 長期保有へ資産配分点検」という日経の記事がありました。

「新しい少額投資非課税制度(NISA)の投資対象となっている投資信託の今年1月から11月までの購入額26兆円に対し、同期間に13兆7000億円が売却された」
「わずか1年弱で半分も売られては、長期で資産形成を支援する投信の仕組みが生かされていないことになり残念だ」

NISA枠なのに、短期間で売却する人がこんなにいるのは驚きですね。利益が出るとすぐに売りたくなる心理、他の商品に目移りする心理、市場の下落が怖くて逃げたくなる心理が、私たちの資産形成を邪魔しています。

少し儲かったからといって短期で売ってしまうと、長期投資の醍醐味である「複利効果」が働かず、さらに非課税のメリットである「節税効果」も十分に享受できなくなります。


複利効果を逃さないために

継続することで得られる複利と節税の力

複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、利益がさらに利益を生んでいく仕組みのことです。これを最大限活かすには、とにかく「投資を続けること」が欠かせません。

たとえば、年利4%で運用できた場合、毎年の利益を再投資するほど、元本が次第に大きくなり、そのぶん生まれる利益も増えていきます。10年、20年と時間が経つほど、その差は雪だるま式に大きくなるのです。

さらに、NISAのもう一つの大きなメリットは「節税効果」です。通常、株式や投資信託の売却益には税金がかかりますが、NISA口座を利用することでこれらの税金が非課税になります。

この非課税枠を最大限に活用するためにも、長期保有が推奨されます。売却してしまうと、再び同じ金額を投資する際に新たな非課税枠が必要となり、効率的な節税が難しくなります。

売買の最適なタイミングは予想困難

もう1つ見逃せないのは「市場の急上昇がいつ起こるかは誰にも予測できない」という点です。

エリス氏によれば、1980年から2008年の米国株(S&P500種株価指数)年平均リターンは約11%だったが、その29年の間で、上昇率が高い日をわずか30日逃すだけで上昇率は5.5%に半減してしまうという。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1950O0Z10C24A2000000/

つまり、ちょっとした下落や調整局面で「あ、もうダメかも」と思って売却し、また上昇時に慌てて買い戻す、という行動を繰り返していると、最も大きな上昇の恩恵を受けられない可能性が高いのです。

世界の株式市場は下落と上昇を繰り返しながら、長期的には成長し続けてきました。だからこそ「市場に居続ける」ことが、長期投資のカギだといえます。

売らずに積み立てを続ける効果

ここでは、積立期間を10年、利回りを4%とした場合の具体例を見てみましょう。

  • ケース1:途中で売らずに積み立てを継続
    月5万円を積み立てると、10年後の時点での資産は約736万円になります。利益は約136万円、節税額は約27万円です。

  • ケース2:5年目で一部売却し投資を中断
    月5万円を積み立て、5年目で全て売却して投資を中断したとします。その後、投資を再開せずに残りの5年間を現金で積み立て続けた場合、10年後の資産は約631万円です。利益は約31万円、節税額は約6万円です。

このように、同じ元本を投資しても、売却したり投資をやめてしまうことで長期の資産形成に大きな差がついてしまいます。また、投資をやめなくても、上昇率が高い日を逃すとケース2に該当するような結果になることもあります

まとめ

NISAの目的は長期投資で資産を増やすことであり、短期売買を繰り返してしまうと複利効果の恩恵を十分に得られません。市場の急上昇がいつ起こるかは予測が難しく、コロナショック後のように大きく下がった後に急に反転するケースも多くあります。

新NISAでは一定の条件で枠が復活する仕組みがあるものの、安易に使いすぎると時間をかけて増やすはずの資産が伸び悩み、結局は複利と節税の恩恵を逃してしまうことになるでしょう。

大きな出費が必要な場合も、できるだけNISA以外の資金で対応して長期保有を続けるほうが効率的です。時間を味方につけることこそが資産を大きく育てる鍵であり、NISAを最大限に活用するためにも「売らずに持ち続ける」姿勢が重要なのです。


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