アクセサリーと鉛(なまり)のお話。
ハンドメイドされる方向けに主にプラスチック素材のビーズを扱うお店としてスタートしたヒトツブビーズ店ですが、最近はリメイク材料や創作のインスピレーションの元として、ヴィンテージアクセサリーも多く扱うようになっています。
だからこそ、大切なお客さまに知っていただきたいことがあります。それはアクセサリーパーツに含有される「鉛(なまり)」のことです。
2006年のことです。アメリカで当時4歳のお子さんが、嘔吐、腹痛、呼吸困難などに陥り入院4日めに亡くなりました。原因はブレスレットに付いていた金属製の飾りを誤飲した事による鉛中毒です。
型に金属を流し込んで作る金属製チャームなどは、錫(すず)や鉛(なまり)の合金を使うのですが、錫に比べて鉛はかなり安く、鉛の割合を増やすほど安くできます。とは言え鉛は柔らかい金属のため多くなりすぎると耐久性が下がったり、表面の仕上がりが悪くなるためある程度品質を重視したものなら鉛が多く使われることはないのですが、アメリカの4歳のお子さんの鉛中毒の原因になった飾りは鉛の含有量99%以上だったそうです…
アクセサリーと鉛中毒についての詳細は厚生労働省のサイトに報告書がまとめられています。興味がある方はお時間がある時に読んでみてください。
このアメリカでの誤飲事故が日本で報道された頃、私は百貨店で販売されるブランドにアクセサリーを提供していました。報道を受け、すぐに仕入れ先の金具メーカーさんに成分表を送っていただき、鉛をほとんど使用していない事を証明していただいたので問題はなかったのですが、鉛を一定量含むチャームを使っていた他社のアクセサリーはパーツの取り替えなどの対応をしたようです。
鉛を使っているのはごく一部の粗悪品だけ、と思われるかもしれませんが、上記の厚生労働省の報告書を読んでいただいて分かる通り、含有量に差はあれ使われているものは多いのです。また鉛は古くから使われている金属のため、本当にさまざまな用途に使用され、いっけん関係なさそうなクリスタルガラスなどにも含まれます(含有量などから有害とはされていません)
また、どれくらい入っているかは見ただけでは分かりません。
現在も、鉛の使用について日本国内に限界含有量などを定めた法律はなく、一部、乳幼児向けのものが食品衛生法により規制されているだけです。
▼株式会社大王製作所さまのサイトがとても分かりやすいのでご紹介しておきます。
当店では価格よりも質重視の仕入れをしています。材質も可能な限り把握し明記するようにしていますが、ヴィンテージのアクセサリーやパーツに関しては、仕入れ先に確認しても詳細な資料がなかったりで把握できない場合が多いです。
アメリカやEUでは2000年代に鉛の限界含有量を定める規制がスタートしていますが、それ以前のものに関しては規制がありませんし、名指しすることははばかられますが、中国製の安価な金属パーツが実際は鉛を含むにも関わらず鉛フリー(含まない)として出荷されたり、完全に防ぐのは難しいのです。なので各ご家庭でも、誤飲には本当にお気を付けください。
「危険があるなら売らなければいい」と思われる方もいるかもしれませんが、それは極論です。適切に扱われなかった場合に危険な場合がありますが、大半は問題なく私たちを楽しませてくれる素敵なアクセサリーです。
ただ、あまりにも安価な金属製アクセサリーやパーツは危険が大きい場合があるので買わないという選択をしたり、そうすることで、粗悪な商品をメーカーが作らないように促すこと、それは大切なことだと思います。
低価格だけを追い求める消費は、巡りめぐって私たちに返ってきます。
\実店舗再開しました/
発熱があるなど体調がすぐれない方のご来店はお控えください。入り口での手指のアルコール消毒、マスク着用必ずお願いします。
▼ヒトツブビーズ店ってどんなお店?興味を持ってくださった方はぜひWEBサイトもご覧ください♪