夏について思うこと



私は、夏という季節が好きだ。
正確には、夏という季節の終わり方が好きだ。


この日本列島を包む高温多湿の気候は全く、好きではないのだが、
この朝から晩まで、もううんざりだと思うくらいに暑く、多少の苛立ちさえ感じていた夏が、
ある日を境にパタリと無くなる瞬間がある。

その瞬間に、秋という季節に変わる。

気づいた時には、夏の温度が無くなり、蝉の音は無くなっている。
空気が乾き、冷たさを帯び、静けさを感じるようになる。

今まで散々人々を、猛暑でかき回して来たにも関わらず、終わり方がこんなにもあっけないところに、私はいつも特別さや、切なさを感じてしまう。

また、夏の終わり方は他の季節よりも、境界線がはっきりしている。

これらは、あくまで「気がする」というだけであり、個人的なイメージなのだが、
冬から春、春から夏、秋から冬は段階を踏んでいる印象があるが、
夏から秋はどうしても、境界線があるように感じるのだ。

これは、夏は他の季節と比べあまりに「彩度が高い季節」だから、だと思う。

夏から秋に季節が移ろう時に、
温度としては、段階的に変化しているけれど、
景色や音が伴っていないことに、違和感を感じるのだと思う。
夏は、セミの声や、入道雲のある青空、夜まで比較的明るい空など、他の季節と比べても彩度が高いのだ。そこに、置いてけぼりを食らったような、寂しさや切なさを感じるのだ。


今年の夏の境目はいつだろう。
夏の境目は、四季が巡りだす合図で、冬に向かっていくことがわかるから少し寂しくなる。



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