睡眠について①

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「大丈夫?運転変わろうか?」ドライブの途中や旅行の帰り道によく言われた言葉だ。私は日中によく眠くなることがあった。振り返るとどこからだろう。中学生?高校生?授業中に眠くなることは多かった。とはいえ昼食後や部活で疲れたなどを理由に上げていたし、周りもけっこう寝ている子もいたから特に気にしてはいなかった。

大学生になってコンビニエンスストアでバイトを始めた。学生ならではの深夜帯の仕事だ。当時はコンビニも少なく、働くために車で20キロ運転していた。思い返してみるとなかなか無駄な時間だった。今と違ってやることも少なく適当にレジ打ちをして深夜の廃棄時間に仕事がわっと増え6時〜7時にパンや弁当などの商品が来るので陳列して8時に交代となる。時間でいうと22時〜8時。

0時には廃棄商品がでるのでレジカゴに商品を集める。カルビ弁当は人気なのであまり残ることはないが、そうめんやまるごとバナナなどはバイト当初は珍しくて喜んで食べてたけどだんだん飽きてくる。飽きると丸ごとバナナのバナナだけ食べるという”贅沢”をするのである。そうやって食される食べ物もあればそのまま廃棄される食べ物もある。今も昔も変わらないのであろう。学生時代はみんなカネがないのも今も昔も変わらないのか、自分が満たされた残りは持って帰って配っていた。廃棄されるよりましだ。

当時は店内防犯カメラがあり記録媒体はビデオテープ。今と違ってSDカードやハードディスクで500時間など長時間録画はできない。廃棄弁当はその隙を狙って運び出す手はずだ。深夜0時に友人のTと二人で「まるごとバナナもう飽き飽き〜」、「自慢の寄せ豆腐、自慢できんかったな〜」などと戯言を言いながら回収を始めた。お互い休憩があるのでその間に食べたいものを食べる。もちろん全部食べきれないくらいのバリエーションが有る。それを2時のテープ交換時に一気に運び出すのだ。運び出す間の記録は残らない。あとは8時まで常温保管という危険が伴うが、さすがコンビニ商品悪くなったことは一度もなかった。

あとは20キロ先の家に届けるだけでミッションクリアとなるのだが、6時台の強烈な眠気。当時はそれに衝撃を受けた。6時のパン類が届いたら陳列を行う。陳列棚から納品バットの距離わずか50cm。納品バットのナイススティックを手に取り、陳列・・・棚・・・へ・・・・ぽとり。

寝ている。立ったまま、しかもパンを持つ握力を失って寝ている。これが初めての体験だった。意識を失っていた。これが一回ではなく今後も続いていくのである。今思い出すとレジ打ち中にこの睡魔に負けなかったことは不幸中の幸いである。というより更に強烈な不幸が襲ったためにバイトを辞めることになるのだが・・・。

バイトを初めて1ヶ月が過ぎようとしている頃に事件は起こった。
夏の頃。外は朝から気温が高く愛車ミラの車内も朝からじわじわ気温が上がっていた。今なら車内放置は考えられない程度の気温上昇だったので”ぎり”行ける温度。かといって延長はやばい温度です。弁当にそうめん、冷やし中華もありました。魔の6時台を頑張って乗り越えお客様からの豆腐の種類の質問もにこやかに切り抜け、7時〜8時のラッシュを終えて交代。ようやくバイトからの開放です。

さて一息つく間もなく車に乗り込むと一気に車内の冷房を効かせ自宅へ納品します。「これでみんなが食いっぱぐれない」大げさすぎる使命感とともに車は一路自宅へ。その日はあまり気温も上がらず快適に車を走らせました。しかし10キロを過ぎたあたりで頭がふわふわ、目がパチパチ。「やばい、眠い」田舎だったので片側一車線のもちろん中央分離帯もない道路。ハンドルを握る手がうっかり右手だけになると反対車線に行きかねません。当時は冷房しながら仮眠を取るなんてアイデアも浮かばずになんとか気力で乗り越えようと必死。窓を全開でJ-popを熱唱しながらだましだまし運転。しかし歌詞が飛ぶ。気づくと100m走ってる。そんなふわふわな運転をしているといきなりその瞬間がやってきます。

「バーーーーン!!!」

そう、やってしまったのです。線路の高架下までは歌っていた記憶はありますが、通過後の記憶がありません。緩やかなカーブを曲がり切ったまでは良かったのですが、その後の直線で直進をつづけ縁石に乗り上げて車は止まりました。

通学時間も過ぎていたので誰一人歩道にいなかったのがいつ思い出しても不幸中の幸い。体も無事で車も大きな破損は見当たりませんでした。「動くのか?」と車から降りてみると前輪の左タイヤがパンク。それ以外は奇跡の無傷でした。

ふーーー。危なかった、危なすぎた。車に戻って車内を見渡すと冷やし中華が宙に舞い、そうめんが飛び出しチャーハンが完成。まるごとバナナは後部座席に鎮座。さすが。

さて、どうするかと冷静になり「スペアタイヤがあったな」とトランクからジャッキとタイヤを取り出してギコギコ作業を開始。まさかこの時間にタイヤ交換とは。初めてだった割には簡単に作業が完了し、早く帰って冷蔵庫!とまだ懲りずに持って帰えることを考えていたら、なんと!スペアタイヤがパンクしている。もう早く帰りたい一心であたりをリサーチ。中古車販売店があったのでお願いしてタイヤを一本譲ってもらいました。

その1件があってからコンビニは辞めます。夜型人間ではないということがよくわかりました。ただしこのときは自分の睡眠の質について全く考えてもいませんでした。


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