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「おいしいもの」を成立させるための3つの要素と、食べ物の「個人的おいしさバランス」

二度目まして。WEBマガジンひととき で「おいしいもの」の記事を担当させていただいています、烏丸ナオです。
皆様、この記事に御目通し戴いているという所でもうすでに「おいしいものが好き!」でいらっしゃるのかなぁと思うのですが、あの…「おいしいもの」って皆様それぞれ違いますよね。

でも具体的に「おいしいもの」って言われた時にイメージする食品は違っても、その要素だけを取り出すと人類は皆同じなのではないかと思った事があります。
今回の文章の結論は結び部分に3つ、示してありますが「食べる人がその食材に敬意を抱いて手を加え、それを本当に美味しいと感じているなら、それが最高」と称える内容となっております。

「おいしいもの」の三つの要素

さて私が認識しているところでは、三つの要素により成立していてその調和が完全にとれている物―それが、「おいしいもの」です。(つまり「バランス(栄養のバランスでなく)の良いもの=おいしいもの」ですね)

その三つの要素というのは①味わい ②芳香、そして③食感(温度含む)ですが…その完全なバランスは、可視化するならば「ぴったりと頂点の揃った高く美しい三角錐」を形成すると感じています。(それぞれの面を1つの要素が占めている)

ちょっとイメージして戴くと…その三角錐はメタリックに光って立っていて、それを形成する三面は下の辺では繋がっていますが頂点や斜めの辺では接合されていません。三面はそれぞれ自由に増減するので、一見美しい三角錐のように見えているのはそれぞれの面が完全に調和している事によるのです。
そして豊かな土壌にしっかりと立っています。

食品によって時間経過に強い物と弱い物、まれに時間の経過によって三角錐が更に大きく育つ物(ワインや葛、カビ付けした鰹節なんてそうですね)もあるかと思います。
出来立てアツアツのお料理のお皿、例えばオーブンから出したばかりのシュリンプグラタンなどは時間の経過がダイレクトに「三つの要素」の三面に響いてきますが、そういったものは出てくるなり即座に戴いたほうが一番大きな三角錐の状態を体感できる種類の食品ですね。シェフやサーヴしてくれた方、食べ方に厳しかった人生の先達の声が聞こえるような気がしますが…。

「さあ!!最高においしいうちに召し上がれ!」

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「自分だけが感じる最高地点」って、あるよね?

「それはわかる。…でも、『自分だけが感じる最高地点』ってあるよね?その『個人的な理想地点』で自分にとって最も調和のとれた三角錐にならない?それにタイミングもそうだけど、一般的に組み合わせられるのとは違う、『自分にとって理想の組み合わせ』ていうのもあるよね。
…おっとどっこい。私の脳内で時折勝手に発生する縄文的な声が、知らないうちに押し殺されていたようです。

脳内の弥生的な意見ではこうなると思うのですが、ちょっと以下に。
「食材が満を持して組み上げられた瞬間の美味しさ。それはどんな感じかって、

例えば握りたてのお寿司の、氷によって維持されていた冷たいお魚の身が、まだ温かいすし飯に柔らかに融合したその一瞬だけの、理想の温度差。
今、組み立てたばかりのケーキの、旬のフルーツと柔らかなジェノワーズ、そしてギリギリにゆるく泡立てたクリームとリキュールが一体となった瞬間の、それぞれの食感を保っている間だけ存在する美味しさ。
そんな素晴らしい瞬間の味覚情報を取り込めるんだよ!!」
「より高く美しい三角錐の頂点が楽しめる上に、お料理した人もサーヴする人もきっとすごく嬉しいはずでしょ?」

それはそうですかね…。ハレのゴハンの時は特にそうかもしれませんが。
一方でこんな事も思ってしまいます。
「…だいぶ溶けて半分くらいフニャーてなったアイスクリーム食べたい」「冷えちゃったおみおつけにあったかいゴハン入れて食べるのが好き」「三角食べ本当はキライ。オカズ全部食べた後にお茶飲んでから、ゴハンだけ食べてお米の味を最大限味わいたい」「冷たいチキンフライがスキ」等々。なんかマニアックなのも入ってますが、こちらはケのゴハンの時の意見ぽいですかね。

「これをああやって食べたらすごく美味しいんだろうなあ…」常日頃そう思う事があるなら、試してみるのも良いのではないでしょうか。(未知の美味しさが発見できるかも…!)

何と合わせるか。それによって美味しくも、不味くもなります

絵を描く時に言われた言葉で、今でも印象に残っている言葉があります。
「きたない色っていうのは存在しないの。『何と組み合わせるか』で、その色はきたなくなったり、すごくきれいになったりする」

例えば少し寂しい感じのする、世間一般の感覚からすると「最良の味」とはされない冷たいゴハン。でも、お弁当に入っている、オカズとすっかり馴染んで味の染みた冷たいゴハン。けっこう好きな方は多いですよね。
単独でも、長時間運動した後にしょっぱいお漬物と一緒に食べたり、熱々のおみおつけと合わせたりすると途端に美味しくなったりします。

チェーンのハンバーガー屋さんのフヨフヨになっちゃったフレンチフライのポテトも、仕事が遅くなって何にも買わないでうっかり帰ってきちゃってお化粧落として寝巻も着ちゃって「あ…なんも無かった。」って時に見つかったらとても嬉しくおいしい。
(ストック棚にあったコンビーフを開けて黒コショウを挽いてたっぷり振って、ポテトと一緒にトースターで熱々にして、半熟の目玉焼き乗っけて崩しながら食べる、とかでしょうかね…!ビールと?)

食べ物は、たとえ植物でも食べられる事によって、命を失っています。
でも、食べる人が「こっれっがもう!誰が何て言ってもホントに最高!美味しい!」とお腹の底から思って食べてくれるなら。

きっと何も思わずに、いわゆる「一般的な理想的組み合わせ・タイミング」で機械的に食べられちゃうより、嬉しいなあって感じてもらえるかなと思うのです。

今回の結論

・できれば、おいしいものはおいしいうちに
・でも「自分にとっての最良のおいしさバランスと組合せ」も(それをこそ!!)大切に
・マニアックな食べ方なら外食の時はこっそり、オウチごはんの時は思いっきり!

さあ。では感覚を全開にして。
どうぞ、今日も美味しく召し上がれ!!!

この記事を書いた人
烏丸 ナオ(おいしいものマスター)
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